太郎平画廊で松下誠子展、女性的、母性的なモチーフで

【銀座新聞ニュース=2023年5月4日】有限会社太郎平(中央区日本橋本町1-7-12、日本橋太郎平ビル)は太郎平画廊(中央区日本橋本町1-7-12、日本橋太郎平ビル、03-6262-6905)で5月5日から27日まで松下誠子さんによる個展「良心をさがしてー落下する玩具(In Search for Inner VoiceーFalling Toys)」を開く。

太郎平画廊で5月5日から27日まで開かれる松下誠子さんの個展「良心をさがしてー落下する玩具(In Search for Inner VoiceーFalling Toys)」に出品される作品「My Mom/My Dad(私の母と父)」(左)と「bag(バッグ)」(右)。

アーティストの松下誠子さんは1990年代にセメントで作った大きく不揃いな球体と鉄の躯体を用いたインスタレーションで注目され、その後、世界各地でパラフィン紙や羽根、ワックスなどの素材を使って表現したクッションやドレスなどの立体、実際にパラフィンドレスを身に纏ったパフォーマンス、クチバシをモチーフとしたオブジェやドローイング、絞られた色彩で表現されたアニメなど多彩な作品を発表している。

今回は、松下誠子さんは、題材とするおもちゃや可愛らしいものが語りかけるのは、子どもたちに向ける大人たちの優しい眼差しや子どもたちがそれらに抱いてきたこだわりだけでなく、幼児性に対する承認や歪んだ視線なども暗示している。一見、女性的、母性的なモチーフを使い、制作された作品は松下誠子さん自身の表層と深層をめぐる考察を提示しているとしている。

松下誠子さんは「日常の中に取り巻く社会の中に、幼児的なものや愛らしいものが溢れている。ネオテニー(neoteny、幼形成熟)につながるものや愛着性を帯びたものもあり、時として内部に爆弾を抱えて戦っていることもある」という。

そうした中で「鳥のクチバシ(防衛と供給)とピノキオの長い鼻と壊れそうな多面体の肉体で出来た異種混合のキメラ(異質同体)となって、境界と境界の間の流動性の中を浮流して良心を探そう」と試みており、今回の個展はそうした流れの中で制作された作品を展示する。

松下誠子さんは1950年北海道函館市生まれ、共立女子大学を卒業、金工を学び、1992年から個展を開いており、その後、ドイツ、フランス、チェコなどでも個展を開いている。1992年から韓国のグループ展に参加、その後、イスラエル、ドイツ、ブラジルなどのグループ展にも出品している。

5日18時からオープニングレセプションを開く。

開場時間は毎週水曜日から土曜日の12時から19時。入場は無料。