蔦屋書店で荒井理行展、ネット上の作品の枠外を想像で描き足す

【銀座新聞ニュース=2023年11月3日】書店やレンタル店、フランチャイズ事業などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(渋谷区南平台町16-17、渋谷ガーデンタワー)グループの銀座蔦屋書店(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3575-7755)は11月4日から24日までアートウォールで荒井理行さんによる個展「Like Paintings 005」を開く。

銀座蔦屋書店で11月4日から24日まで開かれる荒井理行さんの個展「Like Paintings(ライク・ペインティングス)005」に出品される「like paintings(絵画のように)#66」((C)荒井理行)。

画家の荒井理行(まさゆき)さんはインターネット上で収集した作品を起点に、そこには写っていないフレーム外の情報を想像して絵画を描いており、絵の具を垂らして作られる多層的な絵画空間は、主観により解釈される現実とイメージ、その不安定な移ろいを示唆しているという。

今回は荒井理行さんが近年取り組んでいる「like paintings(ライク・ペインティングス、絵画のように)」シリーズより新作6点を、会期中、前期と後期に分けて展示する。

荒井理行さんはインターネットから他者が撮影した写真(作品)をコラージュし、それをプリントアウトしたものをキャンパスに貼り、そこに写らなかったフレームの外を想像で描き足す方法で絵画を制作している。画面の中には、この絵画の始まりとなった写真の“痕”が残るが、荒井理行さんは写真の外側を想像で描き足した後に、その写真を剥がして捨ててることにしている。

つまり「他者の視点から始まった絵を、自らの視点にすり替えていくように。鑑賞者は私の視点の元となった写真を知ることはできないが、私もまたモチーフとなった写真が何であるのかを真に理解することはできないという点で、自らの視点と他者の視点を行き来し続ける」と分析している。

銀座蔦屋書店で11月24日まで個展を開く荒井理行さん。

しかも「筆による視覚言語を廃し、注射器を用いて絵具を垂らす絵画方法は、絵具は絵具でしかないという物理的側面と、イリュージョンとしてイメージを宿す概念的側面の両方を兼ねること」が目的という。結果的に「イメージ(写真)にイメージ(想像)を重ね、イメージ(絵画)を作り出す一連の所作により、多重のイメージは一度は絵画として定着をみるが、鑑賞者の存在によってそれは再び宙に放たれ、新たなイメージ(像)として結ばれていく。この不安定な移ろいの連鎖の中に、私は希望に似た何かをみている」としている。

荒井理行さんは1984年アメリカ・ウィスコンシン州生まれ、2011年に愛知県立芸術大学大学院美術研究科美術専攻油画・版画領域を修了、2022年に第35回ホルベイン・スカラシップ奨学生に選ばれる。2011年から個展を開いており、2023年にはスイスで個展を開いてる。

開場時間は10時30分から21時(最終日は18時)。入場は無料。