日本橋三越で千住博「WFオン・カラーズ」展、滝の内側から見た世界

【銀座新聞ニュース=2023年11月21日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は11月22日から12月4日まで本館6階美術特選画廊で「三越創業350周年 千住博展-伝統と革新」を開く。

日本橋三越で11月22日から12月4日まで開かれる「三越創業350周年 千住博展-伝統と革新」に出品される「ウォーターフォール・オン・カラーズ 2023年Waterfall on Colors」。滝の内側から見た私達の世界を描いている。

今回は、1994年から「ウォーターフォール(WF)」の制作をはじめ、1995年に「THE FALL(フォール、滝)」でベネチアビエンナーレ・絵画部門において東洋人初の名誉賞を受賞し、羽田空港国際線ターミナルをはじめ、多くの公共空間を彩る代表作「ウォーターフォール」に続く「ウォーターフォール・オン・カラーズ」シリーズを展示する。

「ウォーターフォール・オン・カラーズ」シリーズは滝の内側から見た私達の世界を描いており、そこには「赤、青、緑、茶、紫など限りなく色が広がっており、ここ数年、内にこもりがちであった私たちの眼を外に向けさせてくれる」という。

生命の源としての滝を見つめる「ウォーターフォール」とは逆の視点で、「滝の内側から現実世界を見つめ、そこに広がる色彩に満ちた光あふれる世界で、多様な色同士が隣り合いハーモニーを奏でる唯一無二の美しさを持つ世界が表現されている」としている。

会場では、「ウォーターフォール・オン・カラーズ」シリーズ8点と本展のために制作した軸11幅、本シリーズを原画とした版画の新作8種類を展示する。軸11幅は東西の表具師に依頼し、貴重な古い裂地を使用している。

千住博さんは、天然の鉱物を砕いて粉にした岩絵具と呼ばれる絵具を用い、「にかわ」という動物性油脂で和紙や絹で定着させる伝統的な日本画の技法を用いて描いている。

千住博さんは1958年東京都生まれ、父親が元慶應義塾大学教授の千住鎮雄(しずお、1923-2000)で、母親がエッセイストの千住文子(1926-2013)、弟が作曲家で音楽プロデューサーの千住明さん、妹がバイオリン奏者の千住真理子さん。

1982年に東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、1984年に同大学大学院修士課程を修了、修了制作が東京藝術大学買上、1987年に同大学大学院博士課程を単位取得満期退、修了制作を東京大学買上、1993年からアメリカ・ニューヨークに拠点を移し、ニューヨークで個展を開催、1994年に第4回けんぶち絵本の里大賞、第7回MOA岡田茂吉(1882-1955)賞の絵画部門で優秀賞(2002年に第13回MOA岡田茂吉賞大賞)、1995年にベネチア・ビエンナーレ絵画部門で名誉賞、1998年に紺綬褒章、2000年に河北倫明(かわきた・みちあき、1914-1995)賞を受賞した。

2003年に大徳寺聚光院伊東別院襖絵を完成(1997年に着手)、東京国立博物館で一般公開、グランドハイアット東京に高さ3メートル、横幅25メートルの滝の壁画を制作、2004年に羽田空港第2ターミナルのアートディレクター、2006年にフィラデルフィア松風荘ふすま絵(ウォーターフォールシリーズ)を完成し、2010年にAPEC2010首脳会議の会場構成を担当、2011年に東京国際空港(羽田)第1、第2、国際線ターミナルのアートプロデュース、ディレクションを担当、JR九州博多駅のアートディレクションも担当した。2011年に「軽井沢千住博美術館」を開館した。

2012年にシンガポールのOUBセンターの陶板壁画を完成、2013年に回向院の障壁画を完成、大徳寺聚光院京都本院の襖絵すべてが完成、2014年にオペラ「夕鶴」の舞台美術を担当、2015年にJR女川駅の駅舎タイル壁画を制作、台湾の故宮博物院南院プロジェクトを完成、同年に第56回ベネチア・ビエンナーレ展に出品し、シャンパーニュ委員会日本事務局より第7回ジョワ・ド・ヴィーヴル賞を千住明さん、千住真理子さんと共に兄妹で受賞した。

2016年に大徳寺聚光院に奉納したふすま絵を狩野永徳(1543-1590)の国宝障壁画とともに一般公開し、同年度に外務大臣表彰、2017年に第4回イサム・ノグチ賞、2018年にJCCIより日米特別功労賞(Eagle on the World Award)を受賞、2020年に高野山金剛峯寺障屏画を奉納、2021年に紺綬褒章飾版と木杯を受章、日本芸術院より「瀧図」(高野山金剛峯寺襖絵)に対し、令和2年度(第77回)恩賜賞および日本芸術院賞を授与、2022年に日本芸術院会員に任命される。2007年4月から2013年3月まで京都造形芸術大学(現京都芸術大学)学長を務め、現在、京都芸術大学教授。

三越伊勢丹は文化・芸術のこれからの担い手となる次世代の支援と育成を目的に、2020年に日本画に焦点をあてた公募展「三越伊勢丹・千住博日本画大賞」をはじめており、2022年8月に第2回を開き、現在、2024年1月10日まで第3回目の作品を公募している。入選作20点は2024年9月4日から9日まで公開する。募集要項(https://www.mistore.jp/content/dam/isetan_mitsukoshi/nihombashi_digi/shopnews/oubo_2023.pdf)などを参照。出品料は一般1万5000円(税込)、学生1万円。ただし、応募者が300人に達した時点でエントリーを締め切る。

大賞(千住博賞)は1点100万円(源泉税含む)、副賞は日本橋三越での個展開催、準大賞(三越伊勢丹賞)は1点50万円、副賞は日本橋三越での個展開催、三越伊勢丹美術部賞1点30万円、副賞は日本橋三越本店での個展開催。問い合わせは千住博日本画大賞事務局(mi-nihonga@isetanmitsukoshi.co.jp)まで。

開場時間は10時から19時(最終日は17時)。