丸善丸の内で松田奈那子「どうぞめしあがれ」原画展

【銀座新聞ニュース=2024年1月15日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は2月9日まで3階児童書売り場壁面ギャラリーで松田奈那子さんによる「どうぞめしあがれ!」原画展を開いている。

丸善・丸の内本店で2月9日まで開かれている松田奈那子さんの「どうぞめしあがれ!」原画展に展示される絵本の表紙。

絵本作家の松田奈那子さんが2023年8月24日に「どうぞめしあがれ!」(ほるぷ出版、税込1760円)を刊行したのを記念して、原画展を開いている。

「どうぞめしあがれ!」はモロッコ出身の脚本家で映像監督の佐野・ブーゼルダ・マリア(Sano Bouzerda Maria)さんが企画、原案を担当し、2015年から2017年にかけてモロッコで暮らした松田奈那子さんが文章とイラストを手がけている。

物語はモロッコでの「おすそわけ」をテーマに異文化の交流を描いている。マリアは、モロッコという国でくらしており、ある日、ドアをたたく音がして、友だちのアミンがおすそわけを持ってきてくれる。次の日曜日、こんどはマリアのお母さんが唐揚げをたくさん作って、「今日は私たちがおすそわけをしましょう」。また、次の日曜日にはと、人と人との距離が近いモロッコでは、おいしいものを作ったら分け合うのはあたりまえのことで、友だちも近所の人も知らない人でも、おいしいものを囲んで話に花を咲かせるという話だ。

ウイキペディアによると、モロッコでは2023年9月8日23時11分(現地時間)にマラケシュ=サフィ地方(MarrakeshーSafi)で、M6.8の地震が発生した。日本赤十字社によると、2023年12月14日までに死者約3000人、負傷者約5700人にのぼっている。松田奈那子さんは支援の一環として、9月に「モロッコの猫たち」という2024年版カレンダー(1500円)を作成したり、「どうぞめしあがれ!」の売り上げの一部を日本赤十字社の「2023年モロッコ地震救援金」に寄付している。日本赤十字社は10月23日に国際赤十字を通じて計1億2000万円の資金援助を実施している。

松田奈那子さんが2023年9月のモロッコ地震への支援のために作成した2024年版カレンダー「モロッコの猫たち」(A4サイズ)。

ほるぷによると、佐野・ブーゼルダ・マリアさんは1990年モロッコの首都ラバトで、モロッコ人の父、日本人の母のもとに4人兄弟の次女として生まれ、家庭内ではアラビア語、日本語、フランス語、英語で会話が交わされ、幼い頃からさまざまな文化に触れて育つ。フランスのパリ・ESRA映画大学、スペインのバルセロナ・ラモン・リュイ大学大学院で映像制作を学び、異文化理解や多様性を重要なテーマとしている。

松田奈那子さんは1985年北海道江別市生まれ、2009年に札幌大谷大学短期大学部専攻科美術専攻を卒業、2011年に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻を修了した。2004年から2009年まで道展に毎回出展(2004年に新人賞、2006年に協会賞、2008年に会友賞)、2007年に第16回青木繁記念大賞展に出品、北海道新聞文化面にカットを連載した。

2009年から2013年(2012年を除く)まで三菱商事アート・ゲート・プログラムに入選、2009年に第73回新制作展で新作家賞(2010年、2012年は入選)、2011年に第49回モエ(MOE)イラスト・絵本大賞で入賞、2012年に第1回白泉社モエ(MOE)絵本グランプリでグランプリを受賞、2013年に「ちょうちょ」(文章は江國香織さん、白泉社)で絵本デビュー、2015年に「ちょうちょ」がブラティスラヴァ国際絵本原画展に出展されている。また、2015年から2017年、モロッコで暮らしている。2020年公開のアニメ「ジョゼと虎と魚たち」で劇中画を手掛けている。

開場時間は9時から21時(最終日は19時)。