中央の百貨店1月も5店共+、春物衣料が牽引、外国人売上も堅調

(終わりの方に参考として12月と2023年年間の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年2月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の1月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは27カ月連続となっている。

1月の売上高が24%増と10月、11月、12月に続いて5店の中でもっとも売り上げを伸ばした銀座三越。

1月は「気温が高いこともあり、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心にジャケットやブルゾンなどの春物アウターが好調に推移した」(三越伊勢丹ホールディングス)、訪日外国人観光客売上高(免税売上、インバウンド)も1月は「ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が堅調に推移し」(高島屋)、依然として「高付加価値商品への関心が高い」(三越伊勢丹ホールディングス)としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比10.6%増(12月速報値9.3%増、確定値9.2%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、12月の商品別では、呉服寝具ほか、その他のみがマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは29カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同24.0%増(同速報値23.0%増、確定値23.0%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、12月の商品別では食堂・喫茶のみがマイナス、ほかはプラス)と28カ月続けてプラスとなった。

1月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、三越伊勢丹計で12.6%増、国内百貨店計で10.9%増だった。また、3店舗共に7カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。

1月は例年と比較して気温が高いこともあり、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心にジャケットやブルゾンなどの春物アウターが好調に推移した。また、12月までと同様に、ハンドバッグや財布などの革小物、 化粧品なども大きく伸長した。加えて、各店で実施したさまざまなイベントも集客につながり、売り上げを牽引した。

訪日外国人観光客売上高は12月と比較すると落ち着いたものの、引き続き高水準を維持し、ラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品(香水・スキンケア)など高付加価値商品への関心が高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同11.8%増(同速報値8.1%増、確定値7.8%増)と28カ月続けてプラスとなった(12月の全店の商品別売り上げは家具、家電、その他家庭用品、生鮮食品、惣菜、その他食料品、食堂・喫茶、その他がマイナス)。

1月の店頭売上高は、国内顧客は中旬以降、寒暖差に対応できる汎用性の高いジャケットやニットなどの春物に動きが見られた。また、訪日外国人観光客売上高は、引き続きラグジュアリーブランドを中心とする高額品が堅調に推移した。

このため、1月の店頭売上高は国内百貨店計で同10.9%増(12月速報値9.1%増、確定値9.0%増)、2020年1月比11.8%増、2019年1月比9.0%増、訪日外国人観光客売上高は同105.0%増(同111.2%増、同111.6%増)、2020年1月比54.6%増、2019年1月比71.7%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同5.1%増(同3.9%増、同3.8%増)、2020年1月比8.2%増、2019年1月比4.4%増だった。

商品別売上高(14店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、子ども情報ホビー、リビング、食料品、サービスが前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同9.3%増(同速報値6.0%増、確定値6.2%増)と28カ月続けてプラスとなった(12月の全店の商品別売り上げは紳士服・洋品、その他の衣料品、その他雑貨、家具、家電、生鮮、その他食料品、サービス、その他がマイナス)。

1月は、ラグジュアリーブランドや化粧品の売り上げが大きく伸張したことに加え、婦人服のニット、ジャケットなど定価商品が好調に推移したことなどから、大丸松坂屋百貨店合計では11.4%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では11.7%増だった。

店舗別では、15店舗中11店舗が前年実績を上回った。大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は、163.7%増(客数153.0%増、客単価4.2%増)だった。2020年1月比9.6%増、2019年1月比41.6%増だった。

また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などを除く)は12.2%増、2020年1月比7.7%増、2019年1月比1.2%増だった。うち国内売上高(訪日外国人観光客売上高を除く既存店)は同3.5%増、2020年1月比7.4%増、2019年1月比1.9%減だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同22.3%増(同速報値18.8%増、確定値18.8%増、12月の商品別では家電、家庭用品のみがマイナス)と28カ月続けてプラスとなった。

1月の銀座店は、前年に対して2割を超える大幅な伸びを示した(2020年1月比では約25%増)。化粧品は前年比約24%増、ラグジュアリーブランドは約36%増(2020年1月比約108%増)になるなど、銀座店の強みとなるカテゴリーを軸に大幅に伸ばした。

訪日外国人観光客売上高については、円安などが要因となり、前年比約85%増(2020年1月比で約51%増)となった(訪日外国人観光客売上高の銀座店全体に占めるシェアは約38%超、コロナ前で平均約25%)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内72社180店舗(総従業員5万866人)の12月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比5.4%増の6465億2103万円と、22カ月続けてプラスとなり、回復基調は継続している。

12月は5月の新型コロナ5類移行後、初の年末商戦で外出機会の増加を背景に各社企画の催事などが活況だった他、増勢が続く訪日外国人観光客売上高も売り上げ全体を押し上げ、高付加価値商材と衣料品、化粧品が好調に推移した。コロナ前の2019年12月比でも3.2%増と業績回復が進んでいる。入店客数も4.6%増と22カ月連続プラスだった。

顧客別では、円安効果などから訪日外国人観光客売上高が122.6%増(21カ月連続、シェア7.4%)の477億円と、3カ月連続で単月としての過去最高額(前月394億円)を更新し、2019年12月比でも前月より7.4ポイントアップの58.4%増となった。国内市場も1.2%増(22カ月連続/シェア92.6%)と堅調で、2019年12月比(3カ月連続、0.4%増)においてもプラス基調が続いている。

地区別では、9地区で前年実績を超えた大都市(10都市、7.4%増、27カ月連続)が、訪日外国人観光客需要効果などから好調を維持したが、4地区で前年割れとなった地方(10都市以外の7地区、0.5%減、2カ月ぶり)はマイナスに転じた。

商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、4品目で前年をクリアし、このうち、ラグジュアリーブランドを中心とした身のまわり品と雑貨はコロナ前の実績も超えた。国内外共に好調だった化粧品は、クリスマス需要もあり、高伸した(17.0%増)。主力の衣料品は、天候与件からコートが苦戦したが、ジャケットやニットなどが動き、婦人服・洋品はふた桁の伸びを示した。食料品は、価格高騰の影響などもあり前年実績に届かなかったが、菓子は引き続きギフト需要が好調だった他、クリスマスケーキも堅調で前年をクリアし、コロナ前の実績も超えた。

全国の百貨店の12月の営業日数は前年と同じく31.0日、106店舗の回答によると、入店客は64店が増え、9店が減ったとし、76店舗の回答によると12月の歳時記(歳暮、クリスマス、年末年始商材)の売り上げについては18店が増え、12店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の12月の売上高は前年同月比6.2%増の1877億6534万円と、28カ月続けてプラスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の12月の売上高は同122.6%増の約477億4000万円と21カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが7.4%としている。

このうち、一般物品売上高は同119.2%増の約422億7000万円と33カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が152.9%増の約54億7000万円と17カ月続けてプラス、購買客数が同25.9%増の約43万8000人と20カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同1.5%減の約10万8000円で、19カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・洋品が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアとなっている。

また、同協会によると、全国百貨店の2023年の売上高は前年比9.2%増の5兆4211億3369万円と2019年以来、4年ぶりに5兆円台を回復した。東京は10.8%増の1兆6070億1400万円で、2018年以来、5年ぶりに1兆6000億円台を回復した。

過去の統計を2010年以降でみると、2010年の売上高は前年比3.1%減の6兆2921億2187万円(東京は3.0%減の1兆5582億5294万円)、2011年は2.0%減の6兆1525億6569万円(東京は3.3%減の1兆4954億3243万円)、2012年は0.3%増の6兆1453億1797万円(東京は2.1%増の1兆5203億1790万円)、2013年は1.6%増の6兆2171億4017万円(東京は3.5%増の1兆5652億0850万円)。

2014年は0.3%増の6兆2124億5842万円(東京は1.5%増の1兆5772億7612万円)、2015年は0.2%減の6兆1742億7864万円(東京は3.4%増の1兆6310億6657万円)、2016年は2.9%減の5兆9780億1363万円(東京は1.8%減の1兆6013億8475万円)と6兆円台を割り込み、2017年は0.1%増の5兆9532億5650万円(東京は0.5%増の1兆6087億0099万円)、2018年は0.8%減の5兆8870億0259万円(東京は0.6%増の1兆6191億3514万円)。

2019年は1.4%減の5兆7547億1496万円(東京は1.2%減の1兆5975億5705万円)、2020年は25.7%減の4兆2204億2523万円(東京は29.1%減の1兆1307億4882万円)、2021年は5.8%増の4兆4182億9883万円(東京は7.2%増の1兆2115億9904万円)、2022年は13.1%増の4兆9812億3010万円(東京は19.7%増の1兆4505億6444万円)と2020年から2022年まで4兆円台に落ち込んでいた。