丸善日本橋で中村恵美子「ステンドグラス」展、ランプや装飾品等

【銀座新聞ニュース=2024年2月9日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は2月13日まで3階スパインスペースで中村恵美子さんによる「ステンドグラスー草花の灯りとアクセサリー」展を開いている。

丸善・日本橋店で2月13日まで開かれている中村恵美子さんの「ステンドグラスー草花の灯りとアクセサリー」展に出品されている「花灯ランプ」。

ステンドグラス作家の中村恵美子さんが制作した四季折々の草花をモチーフにステンドグラスの花束を表現した「花灯ランプ」は植物の持つ自然の温かさが、ステンドグラスの優しい灯りと調和し、インテリアとして日々の生活に「癒し」や「寛ぎ」を感じさせてくれる。また、贈り物にも適したステンドグラスのアクセサリーやインテリア小物なども展示している。

ウイキペディアによると、ステンドグラス (stained glass) は、エ字形の断面を持つ鉛のリムを用いて着色ガラスの小片を結合し、絵や模様を表現したもので、ガラスに金属酸化物を混入することで着色している。キリスト教の教会や西洋館の窓の装飾に多く用いられている。

外部からの透過光で見るため、人の目に美しく映る。装飾を否定するモダニズム建築全盛の時期になるとあまり用いられなくなったが、今日では再びステンドグラスが見直され、公共建築、住宅、教会堂などに採用されている。ガラス工芸として、ランプの傘などにも用いられる。

歴史的には404年に再建されたイスタンブールの聖ソフィア寺院では着色されていない板ガラスを窓に用いられていた。一方、500年前後に完成した同地区の寺院にはステンドグラスの跡が残っている。当時のガラスはフェニキア人から伝わった吹きざお製法を発展させたローマンガラスを使用している。

歴史的には、破片の形で残るもっとも古いステンドグラスは、フランク王国(481年から887年)のカール大帝(Karl der Grose、またはCharlemagne=シャルルマーニュ、742?-814
)の支配下にあったロルシュ修道院(ドイツのヘッセン州)で見つかっている。修道院は764年創建だが、ステンドグラス自体は9世紀のものと推定され、ステンドグラスにはキリスト像が描かれていた。

また、原型を留める最古のステンドグラスは、ドイツ南部バイエルン州に位置するアウクスブルク大聖堂に残もので、ダニエル(Daniyyel、旧約聖書の「ダニエル書」に登場するユダヤ人男性)をはじめとする5人の預言者を描いたステンドグラスは12世紀初頭の作品とされている。

ステンドグラスはフランスにおいて発展し、12世紀頃になるとロマネスク美術に続いてゴシック美術が北フランスから興り、建築技術の向上が見られ、飛梁(とびばり、フライング・バットレス=flying buttress)の発明により、天井は高く壁は薄くなり、大きな窓が可能になり、ゴシック様式を採用した教会堂の窓には彩色の施されたステンドグラスが使われ、教会堂は光のあふれる空間となった。

12世紀の代表的なステンドグラスは、パリの南西90キロに位置するシャルトル大聖堂のもので、西正面と南北の入り口上部にあるプレート・トリサリー形式のバラ窓など、176ものステンドグラスを誇る。着色に使われた金属酸化物が不純物を含んでいること、ガラスの表面が平面ではないことから、複雑で微妙な色彩をかもし出している。

イングランドでは、1220年から1472年にかけて建設されたヨーク大聖堂 (York Minster) が最大級で、10万枚以上のガラス片を用いた200平方メートル近いステンドグラスが残る。ローマ帝国以後、ガラスの製造は沈滞していたが、ステンドグラスの興隆とともに、ガラス製造にも革新が起こった。1291年に海軍国家となって繁栄したヴェネツィアがムラーノにガラス工場を集積し、ローマンガラスの質を高めた。

中世回帰を目指すアーツ・アンド・クラフツ運動と、その後のアール・ヌーヴォーの装飾ではステンドグラスが好まれた。

日本では近代建築とともにステンドグラスの技法が伝えられ、素朴なものでは長崎市にある大浦天主堂(国宝)のステンドグラスがある。2015年には日本初のステンドグラス専門の公立美術館として、掛川市ステンドグラス美術館が開館した。

中村恵美子さんはステンドグラスの伝統的な技法にオリジナルをプラスし、金属や布など異素材とガラスを合わせた作品を制作しており、デザインから制作、仕上げまですべての工程を手作業で行っている。

中村恵美子さんは福岡県生まれ、1996年にカナダの「Glass studio(ガラス・スタジオ)」 にてケイムワーク(ステンドグラスの技法の一つで、絵付けしたガラスをH型の金属で接続すること)を習得し、2003年に工房「atelier du verre(アトリエ・デュ・ベール))」を立ち上げ、2009年に第9回ステンドグラス公募展で入選、2015年に「JUMPING Fes(ジャンピング・フェス)2015」でバイヤー賞などを受賞している。2013年から毎年、ステンドグラス展に出品している。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。