丸善日本橋で寺田豊「着物と帯」展、高橋孝之、山口智佐らも

【銀座新聞ニュース=2024年4月10日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は4月10日から16日まで3階ギャラリーで「京絞り寺田 春の会『生命のしきさい』着物と帯と小物たち」を開く。

丸善・日本橋店で4月10日から16日まで開かれる「京絞り寺田 春の会『生命のしきさい』着物と帯と小物たち」に出品される作品。

4代目京絞り作家の寺田豊さんを中心に「春の会」に参加した作家などを含めて新作を発表する。天然素材や天然染料にこだわり続ける作品や生命の芽吹、風土と季節感を大切に色彩や模様を表現した作品を展示する。

今回、出品するのは「京絞り寺田」(京都府京都市北区紫野大徳寺町5、075-406-5571)の主宰者で作家の寺田豊さん、「染の高孝」を主宰する、東京友禅の作家、高橋孝之さん、爪掻本綴(つめかきほんつづれ)という織物をつくっている「綴織帯 服部綴(つづれ)工房」(京都市北区平野桜木町36-2)を主宰する服部秀司(ひでし)さん、型染の赤坂武敏さん。

西陣織の帯会社で、「かはひらこ(大和言葉で蝶)」ブランドを主宰する「西陣坐佐織(にしじんざさおり)」(京都府京都市北区紫野西藤ノ森町12ー21、075-441-3007)の代表取締役、佐竹美都子さん、クチュールエヌのデザイナーの新井典子さん、天然染料の染め屋「そめなや」(杉並区上荻1-24-22、080-8414-1256)の染織作家、デザイナーの山口智佐さん、染職家の大塚由衣さん、フラワーアーティストの森山美晴さん。

寺田豊さんは1958年京都府京都市生まれ、1994年にフランス・パリ市主催フランスオートクチュール組合後援により「バガテル城美術館」の「燦功工房展」に招待出品、東京で個展を開催、1996年にフランス・パリ国立ギメ美術館が「雪に萩」を買い上げ、2002年に「布結人の会」を設立した。

イタリア・ミラノの美術学校と交流、2007年に歌舞伎役者の中村芝雀(しばじゃく)さんの「人魚の恋椿」の衣装を制作し、2008年に京都絞工芸展で知事賞と近畿経済産業局長賞、源氏物語千年紀「夢浮橋」の几帳を作成している。

高橋孝之さんは1966年に戸塚工芸社に入社、父親より引き染ぼかしと一珍染、兄から江戸更紗を習得し、1974年に独立して工房「染の高孝」を開く。1983年に染織作家グループ「新樹会」を設立、以後年1回、作品展を開き、本格的に作家活動に入る。

1984年に第9回日本染織新人展覧会で意匠賞(1985年に技術賞)、1989年に第27回日本染織作品展で「竹林2」が技術賞、「墨流し」が佳作(1990年に日経奨励賞)、第29回伝統工芸新作展で「群翔」が入選(1991年も入選)、1991年に第14回日本染織作家展で「彩流」が奨励賞、「源流」が佳作(1992年に京都新聞社賞、1993年に佳作、1996年に名古屋三越賞、1999年にセイコきもの文化財団賞、2001年に京都新聞社賞、2009年に京都市長賞、2012年に京都市長賞)。

1996年に第34回染芸展で「響き」が三越賞(1999年に三越賞、2000年に商工会議所会頭賞と高島屋、西武百貨店賞、2001年に国際モード協会賞、2002年に東京産業貿易協会会長賞、2003年に染芸展賞、2004年に東京都立産業技術研究所所長賞、2005年に国際モード協会賞、2006年に田島比呂子賞、2010年に新宿区長賞といち居賞、日本きもの文化協会会長賞、世界文化社きものサロン賞、2012年にコスモス賞、新宿区長賞、松屋賞、第50回記念人間国宝山田貢賞)。

1997年に東京都優秀技能章、2001年に新宿区地場産業25年表彰を受ける。2002年に東京都伝統工芸士に認定され、2007年に東京都工芸染色協同組合理事長に就任、2008年に国の伝統工芸士に認定され、現在、東京都染色工芸組合理事長。染色作家グループ「新樹会」会長。

「服部綴工房」は1962年に服部秀司さんの父親、服部實さんが1788(天明8)年に創業した「服部機業店」(現服部織物株式会社)から独立し、設立した。

服部秀司さんは1958年京都府生まれ、同志社大学を卒業、河合玲デザイン研究所テキスタイルコースを修了、その後、「服部綴工房」に入り、爪掻本綴の織物を制作している。

赤坂武敏さんは1981年兵庫県神戸市生まれ、2004年に大手前大学美術学科工芸を卒業、兵庫県展で入選(2005年も入選、2006年に同大学専攻科を卒業、株式会社栗山工房に入社、2008年に第52回宝塚市展で奨励賞、2009年に第55回全関西美術展で入選、2011年に京展 で入選(2012年も入選)、2013年に京都府美術工芸新鋭展で入選、2017年に栗山工房を退社、2018年に「型染工房tint」を設立している。

「西陣坐佐織」の親会社、佐竹孝機業店は1913(大正2)年に福井県福井市で「佐竹辰五郎商店」として漆業をはじめ、大東亜戦争により休業し、石川県へ疎開し、1949年に織物業をはじめ、西陣帯地の製作に取り組み、京都の地で「佐竹孝機業店」をはじめた。現在、代表取締役の佐竹司吉(かずよし)さんは1947年福井県生まれ、1970年に西陣織の制作に携わり、1995年に加賀絹「月光」で中小企業長官賞、1999年に近畿通商産業局長賞、京都府知事賞、京都市長賞などを受賞している。

佐竹美都子さんは佐竹司吉さんの娘で、1976年京都府京都市生まれ、1999年に同志社大学経済学部を卒業、同年に三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行、2002年に三和銀行(当時はUFJ銀行)を退社、2004年にアテネオリンピックのセーリング競技日本代表(島精機製作所所属)で11位、2005年に家業の西陣織製造業につき、2012年に「株式会社西陣坐佐織」を設立、2013年にオリジナルブランド「かはひらこ」を立ち上げている。

新井典子さんは子ども服、婦人服、ブライダルシューズのデザイナーを経て、タイアップハンドル「サムコ(Someco)」を開発、現在、「サムシング・エコ(something eco)」をテーマにさまざまな布で作品を発表している。

山口智佐さんは1993年にセツ・モード・セミナーを卒業、アートディレクターとして博報堂フォトクリエイティブ(現博報堂プロダクツ)に入社、2018年に染色家の山崎和樹さんの主催「草木生活文化協会」の講師に認定され、2019年に京都造形芸術大学(現京都芸術大学)通信教育部染織コースを卒業、卒業制作展にて学科賞、2019年に第12回現代手織物クラフト公募展で入選している。

森山美晴さんは住宅メーカーに勤務し、住宅展示場のディスプレイや、インテリアコーディネート、フラワーデコレイトなどに携わった後、専業主婦を経て、2010年から「Raubritter(ローブリッター)」を主宰している。(社)日本フラワーデザイナー協会1級フラワーデザイナーで、アーティフィシャルフラワー大賞2011で企業賞、カツラユミインターナショナル賞、プリザーブドフラワー芸術協会リースコンテストで審査員特別賞、フラワードリーム2017プリザーブドフラワーコンテストでJFTD賞、第8回異人館プリザーブドフラワーコンテストで優秀賞2位などを受賞している。

13日14時から着物ジャーナリストの中谷(なかたに)比佐子さんによる「きものは大地からの贈り物」と題してトークショーを開く。中谷比佐子さんが「きものという農業」を主題に話す。

中谷比佐子さんは1936年大分県大分市生まれ、共立女子大学文芸学部を卒業、女性雑誌「女性自身」(光文社)などの編集記者を経て、「株式会社秋櫻舎(こすもすしゃ)」(新宿区西新宿4-32-6、パークグレース新宿、03-5350-4261)を設立、きもの季刊誌「きもの秋櫻」を発行し、婦人雑誌などに着物の記事を執筆している。また、着物を着続けて40年で、365日毎日きものライフは20年としている。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)。