中央の百貨店3月、5店共増、外国人売上が春節超も、高額品好調

(終わりの方に参考として2月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年4月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の3月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは28カ月連続となっている。

3月の売上高が28%増と、5店舗の中でもっとも伸びた松屋銀座店。

3月は「ハンドバッグ、宝飾・時計、化粧品などが引き続き伸長し、衣料品では、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に新作の春夏物に動きがあり」(三越伊勢丹ホールディングス)、「卒入学式をはじめとするオケージョン対応の衣料品(ワンピースなど)が堅調に推移」(高島屋)した。

訪日外国人観光客売上高は「春節があった2月を超え、単月で最高額の昨年12月に次ぐ高水準」(三越伊勢丹ホールディングス)で、高島屋は「単月としては過去最高を更新」している。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比16.8%増(2月速報値21.7%増、確定値20.4%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、2月の商品別では、呉服寝具他とその他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは 31カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同25.8%増(同速報値48.1%増、確定値48.1%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、2月の商品別では全商品がプラス)と30カ月続けてプラスとなった。

3月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引(けんいん)し、三越伊勢丹計で17.3%増、国内百貨店計で12.5%増だった。また、3店舗共に9カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している

商品別ではハンドバッグ、宝飾・時計、化粧品などが引き続き伸長し、衣料品では、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に新作の春夏物に動きがあり、オケージョンニーズもみられた。食品では、ギフトや手土産需要などで特に洋菓子や和菓子が人気だったとしている。

訪日外国人観光客売上高は春節があった2月を超え、単月で最高額の昨年12月に次ぐ高水準となった。全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同23.5%増(同速報値14.3%増、確定値9.6%増)と30カ月続けてプラスとなった(2月の高島屋10店舗の商品別売り上げは紳士服・洋品、子ども服・洋品、家具、家電、その他家庭用品、食堂・喫茶、サービス、その他がマイナス)。

3月の店頭売上高は、国内顧客がスカーフなどの春物雑貨や卒入学式をはじめとするオケージョン対応の衣料品(ワンピースなど)が堅調に推移し、訪日外国人観光客売上高もラグジュアリーブランドを中心とする高額品が売り上げを押し上げ、単月としては過去最高を更新した。

3月の店頭売上高は国内百貨店計で同20.2%増(2月速報値17.5%増、確定値13.4%増)、2019年3月比16.4%増、2018年3月比18.2%増、訪日外国人観光客売上高は同168.8%増、2019年3月比64.3%増、2018年3月比76.5%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同11.3%増、2019年3月比11.8%増、2019年3月比12.9%増だった。

商品別売上高(14店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、子ども情報ホビー、スポ-ツ、リビング、美術、食料品が前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同8.7%増(同速報値16.1%増、確定値16.2%増)と30カ月続けてプラスとなった(2月の全店の商品別売り上げは紳士服・洋品、その他雑貨、家具、その他食料品、サービスがマイナス)。

3月は、中旬まで気温が平年より低く推移したことにより、春物衣料品へのマイナス影響があったものの、ラグジュアリーブランド、化粧品、宝飾品が大きく売り上げを伸ばし、訪日外国人観光客売り上げも好調に推移したことなどから、大丸松坂屋百貨店合計では13.7%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では14.2%増だった。

店舗別では、15店舗中13店舗が前年実績を上回った。大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は、191.8%増(客数同164.0%増、客単価10.5%増)だった。

また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などを除く)の売上高は14.3%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く既存店は同4.0%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同28.6%増(同速報値36.3%増、確定値36.3%増、2月の商品別では呉服寝具他、家電、食料品がマイナス)と30カ月続けてプラスとなった。

3月の銀座店は、化粧品が前年比約39%増、ラグジュアリーブランドが同約50%増、時計が同65%増になるなど、銀座店の強みとなるカテゴリーを軸に大幅に伸ばした。訪日外国人観光客売上高については、円安などが要因となり、前年比約134%増となった(訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は約37%)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社177店舗(総従業員5万327人、1月対比1社3店減、従業員は昨年3月比5.4%減)の2月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比14.0%増の4329億2205万円と、24カ月続けてプラスとなり、回復基調は継続している。

2月は春節商戦で活況だった訪日外国人観光客売上高と高付加価値商材が牽引(けんいん)した他、中旬以降の気温上昇で春物商材も動きを見せたとしている。各社が企画したバレンタイン催事や物産展に加え、閏年による営業日数の1日増などプラス要因が重なり、コロナ前の売上高(2019年2月比)でも6.3%増とコロナ前の実績を上回っている。入店客数も7.2%増と24カ月連続プラスだった。

顧客別では、訪日外国人観光客売上高が円安と春節休暇(2月10日から17日)による客数増から171.5%増(23カ月連続)の469億円と、調査開始(2014年10月)以来、過去2番目に高い数値(過去最高は2023年12月の477憶円)を記録した。この結果、売上高構成比で初めて1割を超えた(10.9%)他、2019年2月比でも47.5%増と、8カ月連続でコロナ前の実績を上回っている。国内市場も活況で6.5%増(24カ月連続、シェア89.1%)、2019年2月比も2.8%増とプラスを維持している。

地区別では、訪日外国人観光客売上高と高額商材が好調な都市(10都市、18.1%増、29カ月連続)が9地区で前年実績を超え、地方(10都市以外の7地区、1.8%増)も、2カ月続けてプラスだった。

商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、家庭用品を除いた4品目で前年をクリアした。ラグジュアリーブランドなどの高額品や化粧品は国内外ともに引き続き好調で高い伸びを示した。主力の衣料品は、オケージョン需要の他、天候与件などから春物衣料も動き、特に婦人服・洋品が伸長した。食料品は訪日外国人観光客需要やギフト需要もあり好調に推移した。コロナ5類移行後、初のバレンタイン商戦は、顧客ニーズに即した各社の多様な商品展開や、店頭でのイートインなどが好評だった。

全国の百貨店の2月の営業日数は前年よりも0.9日多い28.5日、103店舗の回答によると、入店客は70店が増え、10店が減ったとし、71店舗の回答によると2月の歳時記(節分、バレンタインデー)の売り上げについては26店が増え、1店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の2月の売上高は前年同月比18.5%増の1317億5584万円と、30カ月続けてプラスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客による2月の売上高は同171.5%増の約469億9000万円と23カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが10.9%としている。

このうち、一般物品売上高は同168.1%増の約410億8000万円と35カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が197.6%増の約59億1000万円と19カ月続けてプラス、購買客数が同161.8%増の約41万9000人と22カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同3.7%増の約11万2000円で、21カ月ぶりに前年を上回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・洋品が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。