日本橋高島屋で田中武「主人公とポーズ」展、歌舞伎の見得等背景

【銀座新聞ニュース=2024年4月18日】国内百貨店業界売上高3位の日本橋高島屋S.C.(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は4月17日から5月6日まで本館6階美術画廊Xで田中武さんによる個展「あなたも主人公、ぼくも主人公」を開いている。

日本橋高島屋S.C.で5月6日まで開かれている田中武さんの個展「あなたも主人公、ぼくも主人公」に出品されている「ファイティングポーズ」(和紙、アクリル絵具)。

画家の田中武さんは、「主人公」というテーマで作品を展開し、「主人公」は誰しもが幼少期に憧れたヒーローやヒロインという存在として、その姿形は私たちの遠い記憶の片隅に今なお鮮明によみがえっている。

今回、田中武さんは、それらに共通する要素として「ポーズ」に着目し、作品の表現に合わせて約1年の研究を費やした素材と技法などで少年・少女像に取り組み、新作10余点を出展している。

田中武さんは「少年・少女」と「ポーズ」、これらのどこに接点が見出せるのだろうかと、日ごと夜ごと考えを巡らせ、ようやく思い浮かんできたのは、幼少期に観ていた仮面ライダーやドラゴンボール、セーラームーンなどの決めポーズたちで、同時に、それらのフォルムにどこか仏像のポーズや印相(手の形)に共通した“何か”を感じた、という。

「その直感的に感じた“何か”が何処から来ているのかを探っていくと、日本のヒーローたちに不可欠な決めポーズや必殺技ポーズの成り立ちには、歌舞伎や中世武士の“名乗り”が大きく関係していた」とみる。

「歌舞伎の見得は不動明王など仏像の形から来ていることを加味すると、僕たちは見様見真似でヒーローのボーズをとることによって、幼少期から歌舞伎、そして仏像に触れ、体感していたのだ」と考え、「たとえ無自覚であったとしても連綿と日本ないし東洋の文化を、憧れのヒーローたちを通して自分の骨身に刻み込んでいたのかもしれない。そう考えると得も言われぬ嬉しさが腹底からせり上がってきて、ますます決めポーズをとる少年・少女を描きたくなった」という。

そこから「これから主人公をテーマにした作品を描き続けることで、自身の中でそれがどういった意味を持つのか、より鮮明に、少しずつ明らかになっていくでしょう。“自分こそが主人公”だと信じて疑わなかった青臭くて屈強なあの時の僕は、今も心の奥底で生きている」としている。

田中武さんは1982年福岡県生まれ、2005年に九州産業大学芸術学部美術科日本画コースを卒業、2007年に同大学大学院博士前期課程芸術研究科美術専攻(日本画)を修了、2010年に同大学大学院博士後期課程芸術研究科造形表現(日本画)を修了、博士号を取得、在学中の2009年に第8回佐藤太清賞公募美術展で特選、福知山市長賞、2010年に「ART AWARD NEXT2010」で審査員賞&青年会賞をW受賞、2011年に第5回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展でグランプリを受賞している。

開場時間は10時30分から19時30分(最終日は17時30分)。入場は無料。