しゃぶしゃぶ温野菜で「黒の匠豚しゃぶ」、鶏節の出汁も

【銀座新聞ニュース=2024年5月22日】国内第5位の外食グループ、コロワイド(神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1、ランドマークタワー)傘下で、焼肉レストランの「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」などを運営するレインズインターナショナル(神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1、ランドマークタワー、0120-142-029)は5月22日から7月10日まで「しゃぶしゃぶ温野菜銀座5丁目店」(中央区銀座5-9-12、ダイヤモンドビル、03-6274-6029)など「しゃぶしゃぶ温野菜」店で「旬野菜と黒豚しゃぶしゃぶ」を販売する。

レインズインターナショナルの運営する「しゃぶしゃぶ温野菜銀座5丁目店」など「しゃぶしゃぶ温野菜」で5月22日から7月10日まで提供する「旬野菜と黒豚しゃぶしゃぶ」のイメージ。

鹿児島の黒豚「黒の匠(たくみ)」を使用し、「鶏節(とりぶし)」と鰹節、昆布、野菜などを合わせた特製出汁(だし)により、「あっさりとしつつも旨みが濃く深い味わいで、親近感がありつつも上質なだしが黒豚や野菜の味をより引き立て」るとしている。それに黄色ズッキーニ、白ナス、オクラの旬野菜などを用意している。

黒豚を含む13種の肉、こだわりの野菜と期間限定の季節野菜、おつまみなど60種以上が食べられる「食べ放題」は税込4378円。スイーツの「抹茶ゼリーパフェ」は1人1品に限定される。

ウイキペディアによると、「かごしま黒豚」は鹿児島県内で飼育されたバークシャー種の豚肉、またはその豚の生体のことで、「かごしま黒豚」という名称は1999年に商標登録された。日本において「黒豚」とは1999年の食肉小売品質基準の改正で「バークシャー純粋種の豚肉」と定められ、鹿児島県黒豚生産者協議会(鹿児島県鹿児島市鴨池新町10-1、鹿児島県庁畜産課内、099-286-3226)は、肉質が劣ることから「アメリカンバークシャー種」を「かごしま黒豚」から外している。また、鹿児島県内で生産、肥育、出荷されたものだけを「かごしま黒豚」としている。

外観の特徴は、バークシャー種の一般的な特徴と同じ六白と呼ばれる白い部分、四肢、鼻梁、尾端の6カ所に白斑がある。育成の特徴としては、体質は強健だが、他の品種に比べると産子数が少なく、発育が劣っており、肥育期間が長くなる。肉質としては、繊維が細く柔らかい、光沢と弾力に富む。保水性が高く、脂肪融点が高いのが特徴で、サツマイモを含んだ飼料で飼育することによって、うま味や甘みが増すといわていれる。

1546年に現在の鹿児島県山川漁港に来航したポルトガル人船長ジョルジュ・アルヴァレス(Jorge Alvares、生年不詳-1521)の「日本報告」には山川で豚の飼育がおこなわれている旨の記述がある。鹿児島では近年まで仏教的な思想から労役として飼う牛や馬を食用にする習慣はなかったが、豚と鶏は昔から「歩く野菜」と呼び、それぞれの家で豚を飼い、祝い事や行事の料理にその豚をつぶして食用にしていた。

鹿児島に養豚を産業として根付かせた功労者が、枕崎市鹿籠(かご)出身の獣医師で「かごしま黒豚の父」とも呼ばれる園田兵助(1864-1935)で、枕崎は土地が痩せ、台風の多い土地柄で、1895年の「黒島流れ」と呼ばれた台風では街が壊滅状態になったこともある。園田兵助は台風に強いサツマイモの栽培と、漁師町であることから手に入りやすい魚のアラを組み合わせた養豚を考案した。また、導入されたばかりのバークシャー種に着目し、養豚を住民に説得する一方で、品種改良や販売経路確保のための養豚組合の設立に尽力した。

同じ頃に家畜商をしていた同じ鹿籠出身の森繁雄(生没年不詳)は、1949年に南薩鉄道の鹿籠駅から県内としては初めて黒豚を東京に出荷した。東京に送られた黒豚は、美味さと品質のよさから称賛を浴び、貨車に鹿籠駅の車票が付いていたことから「鹿籠豚(かごぶた)」と呼ばれた。

1960年代の高度経済成長期になると、豚肉の需要はかごしま黒豚のような脂身の多い中型種から、赤身肉の多いランドレース種のような大型種へと変化し、かごしま黒豚は飼料が多く必要であるといった生産効率の悪さもあって需要減少に拍車をかけた。

1970年代に入り、全国の畜産試験場などでは成長が早く多産な白豚(三元豚)を導入をする動きが活発化し、鹿児島県でも「白豚を導入するか?黒豚を残すか?」で激しい論争を巻き起こし、当時の県知事の金丸三郎(1914-2007)が「黒豚は鹿児島の宝。だから黒豚は残す」と決断して決着をつけた。

白黒論争の後、黒豚はわずかに生産されていた(1985年には鹿児島県における黒豚の母豚数の割合が3%)が、1986年に大隅農畜産協同センター(その後解散)と鹿児島県民生活協同組合(現・生活協同組合コープかごしま)が本格的な商業取引を開始したものの、需要及び供給の低迷、会員農家の廃業、県外移転などによってこの取引は自然消滅した。

その後、1990年代後半に入り、空前の黒豚狂乱が起こり、黒豚の絶対的頭数が少ないために偽黒豚(バークシャー種の交雑種や、全くの白豚など)がはびこり、1998年に南九州選出の国会議員が国会で黒豚の定義を「純粋バークシャー種の交配によって誕生した豚」のみに限定するように働きかけ、決定した。1999年に「かごしま黒豚」は商標登録され、この頃には黒豚の割合も15%台に増えた。

21世紀に入り黒豚の数は増え続け、2005年には鹿児島県内での割合が38%に増加した。「かごしま黒豚」の需要は全国的に高かったが、現在の食肉業界を含めて日本経済全体がデフレによる低価格時代に突入し、価格が高めに設定されている「かごしま黒豚」から、比較的価格が手頃な、ブランド化途上、あるいはブランド化されていない黒豚にシフトしているため苦戦している。

日本政策金融公庫の2009年の消費者調査によると、全国250ブランドの豚肉のうち、「かごしま黒豚」が味や安全性などの総合評価がもっとも高かった。また、同じく日本政策金融公庫の2009年のバイヤーの調査でも、「かごしま黒豚」の総合評価がもっとも高かった。とくに、バイヤーに評価する豚肉ブランドを10銘柄まで挙げてもらったところ、135人の回答者のうち、90人(73.8%)が「かごしま黒豚」の名前を挙げた。

「サンキョーミート」によると、鹿児島県産黒豚「黒の匠」とは飼育期間が概ね200日以上で、鹿児島県黒豚生産者協議会の基準に準じた配合飼料で飼育し、肥育後期の仕上げ期間(2カ月以上)に、こだわり飼料(サツマイモを10%から20%含む)を与えている。

銀座とその周辺では「しゃぶしゃぶ温野菜」は「銀座5丁目店」のほか、「八丁堀店」(中央区八丁堀4-10-2、八丁堀ビル、03-3523-1129)、「新橋店」(港区新橋2-14-6、H・T新橋ビル、03-3500-5829)がある。

営業時間は各店に確認を。基本的に無休。