M84で21歳の高橋慎太郎展、生きることの葛藤を描く

【銀座新聞ニュース=2016年1月30日】Art Gallery M84(中央区銀座4-11-3、ウインド銀座ビル5階、03-3248-8454)は2月1日から6日まで高橋慎太郎さんによる個展「21才、生きていけ。」を開く。

若干21歳の画家、高橋慎太郎(たかはし・しんたろう)さんが独自の世界感、生きることそのものの葛藤を描いた作品約10点を展示する。

高橋慎太郎さんの作品について、アート・ギャラリー・エム・ハッシー(Art Gallery M84)では「人の一生だったり、出会いだったり、別れだったり、苦しみだったり、その作品には人生が描かれている。中央の人が奥に向かっているのに対して、周囲の波に飲み込まれてゆく人々に混ざって、落ち着いて画面外側に指を差している人がいる。真理とは人によって違う方向に存在していることを表現している。この世に捧げる祈りのような絵。世界を湛える存在すると言う神秘に人が強い意志もって挑む作品」としている。

また、「切実な時の流れの中で、ふと自分にとって何が大切なのかを、自分の存在を確かめるため、ノドの奥に手を突っ込んで吐き気を催す。その時、4次元以外の未知なる方向からやってくる幽霊のようなぼんやりとした何かが身の回りを漂い始めることを表した絵。孤独や悲しみ、安堵や怒りが混在した作品もある」という。

「宇宙の中にぽつんとひとりぼっちで丸くなって、絶望の淵で生きる希望を強い力で求めている絵など、自らの進むべき方向に対して、自問自答を繰り返し、好きなもの、感じたものを描く他に、世界と自分、自分を自分として成り立たせる存在など、この関係性」を描いている。

高橋慎太郎さんの恩師で現代美術家の杉本行治(すぎもと・ゆきはる)さんは高橋慎太郎さんについて「不安、孤独といった重いテーマを扱っているが、その作風は青を基調に鮮烈な色彩が響き合い強い存在感を放っている。若干21歳にして創作に少しのブレも感じさせない強い意志をもっている彼の、今後の活動に注目していきたい」としている。

高橋慎太郎さんは1994年愛媛県宇和島市生まれ、2012年に日本大学文理学部を中退、2014年にアートスクール セント・ギャラリーに入会し、現代美術家の杉本行治さんに師事し、2015年にはじめて個展を開いている。

高橋慎太郎さんは少年期に懸念を感じた将来、その時期に自分の気持ちを詩にしたり、印象深い母との話を随筆にして新聞に投稿し、それが毎回のように掲載されて、読者より「感動した」と言ったハガキが送られてきた。このことから、自分を表現することで生き甲斐を取り戻せるのではと考え、文章に限らず、音楽や映画、絵画などに興味をもった。

大学在学中、中退後に美術館に何度も足を運び、巨匠たちの作品を見て、油絵の歴史を更新させる宿命を感じ、学生の頃に美術部だった母がいずれ使おうと買っていた未使用の油彩道具を譲ってもらう一方で、デカルト(Rene Descartes、1596-1650)、ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche、1844-1900)、ハイデッガー(Martin Heidegger、1889-1976)、サルトル(Jean-Paul Charles Aymard Sartre、1905-1980)、キルケゴール(Søren Aabye Kierkegaard、1813-1855)らの哲学書を読み、ピカソ美術館、ミロ美術館、ガウディ建築などを見学し、武蔵野美術大学出身で絵画教室の講師を務める杉本行治さんに師事して油彩画を描いている。

開場時間は10時30分から18時30分(最終日は17時)まで。入場は無料。展示している作品はすべて販売する。