インド、連日9万超と感染爆発の中、息子の誕生パーティー(40)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年9月29日】3月下旬以来第1波が続き、感染爆発が止まらぬインドは、9月19日現在、全土の感染者数は531万人(死者8万5619人)に達した。ワースト州は西のマハラシュトラ(Maharashtra)で115万人、次いで南のアンドラプラデシュ州(Andhra Pradesh)の60.1万人と続く。

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検査数が100万回以上と増えたこともあるが、新規感染者数が連日9万人超と、今月末には、600万人台をはるかに超えてしまう勢いだ。

いずれ、トップのアメリカを抜くことは間違いなく、天井が見えてこない中、集中治療室の病床不足や、人口呼吸器の酸素不足も報じられている。

一旦封じ込めに成功した首都デリー(Delhi)が20万人感染都市になったことは既にお伝えしたが、日本人学校も、教師が帰国したため、閉鎖の危機にさらされているとの情報も伝わっている。

ただ、日系企業の集積地であるデリー近郊のグルガオン(Gurgaon、現Gurugram、ハリヤーナ州=Haryana)では、和食レストランも徐々に営業再開していると聞く。当オディシャ州(Odisha)も17万人超、1日の感染者数が4200人以上と、ピークの渦中にある。

バンガロール在住の息子の友人がネットで特注してくれた、Big Dealの芸名入りバースデーケーキ。チョコレートコーティングで、インドにしては甘さ控えめで、美味だった。

雨季が終盤に入り、乾季のぶり返しの蒸し暑い陽気が続いているが、3日ほど前、日が落ちた後、ルーフで涼んでいたら、海沿いの三ツ星ホテルの上階の全室に明かりが点っていた。

巨大マンションのような白い建物はそれまでずっと真っ暗闇だったのだ。周囲のホテルを見回すと、中堅どころも数室灯が点っている。2、3室なら、スタッフとも考えられるが、三ツ星ホテルの場合、5階の全フロアが明るいのだ。

翌朝、浜への散歩がてら偵察に行くと、専用駐車場に車が10台くらい停まっていた。どうやら、客のようだ。この事実を目の当たりにした私は、希望が湧いてきて、来月辺りからうちも再開できそうかと、マネージャーの甥に打診したところ、現時点では、営業再開は難しそうだと判断した。

徹底消毒(違反すると、罰金が科せられる)に費やす経費と、安い宿代を計りにかけると、観光客がほとんどおらず、開けても開店休業状態になることは目に見えている。

コロナ真っ最中の今は、通常のチャージをかなり値引かないことには、お客さんの確保も難しい。あり余る供給に、僅少の需要が追いつかない。かすかな希望の灯もあえなく消えた。

来月からお祭りシーズンに入るが、観光客が少しでも増えないことには、5万とある部屋を満たす客の争奪戦は、限りなく熾烈になろう。かすかに膨らんだ期待は、風船がしぼむように萎えた。

●コロナ余話/10月はANAとJALが臨時に日本行4便

先日、デリー発羽田行の往路のみの全日空便の問い合わせの電話をかけた。3月から国際商業便は停止しているが、日本航空が月2度ほどの割合で臨時便を運航、全日空も1度ムンバイー成田間の臨時便を飛ばしたことがあったが、久々に首都から1便飛ぶことになったのだ。10月8日の便で、日本航空も10月は3便運航(13日、17日、27日)、臨時便の本数も10月から倍増することになった。

電話は生憎、話中でつながらなかったので、後刻、Eメールで問い合わせた。それによると、インドの旅行代理店を通して、チケットを購入することになっており、料金などは、エージェンシー経由でないとわからないようだ。

今すぐということでなく、11月の亡夫の1周忌を済ませてからと思っているので、今回は問い合わせのみだ。年内の帰国を希望しているが、その頃には感染者1000万人の大台に乗っているだろうなと思うと、予約が殺到しそうで、席争奪戦が激化しそうだ。

●身辺こぼれ話/息子の誕生パーティー

9月17日は、コロナ禍で目下実家に避難中の息子(職業はラッパー、芸名はRapper Big Deal)の誕生日で、母子2人でささやかなパーティーを催した。

南のバンガロール(Bangalore)在住の友人がバースデーケーキとペーパーバック2冊をプレゼントしてくれたとかで、甥一家ともシェア、夜は私の手作り料理とビールで乾杯、コロナ下の31歳の誕生日を祝った。

11月にアルバムリリースを控え、毎日作詞作曲や打ち合わせに大忙しの息子、コロナに負けない奮闘ぶりを讃えつつ、久々に親子水いらずの飲み会を楽しんだ。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

9月24日現在、インドの感染者数は564万6010人、死亡者数が9万0020人、回復者が458万7613人、アメリカに次いで2位になっています。州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。また、インドでは3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています)