【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2021年9月21日】9月に入ってようやく雨季らしい雨がちの日々が続いていたが、ここ数日低気圧が発達して雷を伴った大雨で、計画停電もしょっちゅうだ。
当地プリー(Puri)の東浜ホテル街、チャクラティルサ・ロード(Chakratirsa Road)は、水溜まりはできても溢れ出すほどにはならないのが常で、幸いだが、村落地は洪水に近くなっているかもしれない。降り止まない雨に作物もダメージを受けているだろう。7・8月の日照りで凶作、お百姓さんには待ち望んだ雨だったが、これほど一度に大量だと、かえって仇だ。
それはさておき、当ホテル街は9月からの週末封鎖解除で、過去4カ月近くのロックダウン(都市封鎖)で静まり返っていたのが嘘のように、活気に湧き返っている。ただし、お客さんは少ない。本来9月はオフなこともあり、解除措置が進んでも、自家用車で訪れる比較的富裕な層に限られ、大型ホテルが埋まるのみ、当ホテル「ラブ&ライフ」のような安宿はせいぜい1、2室に客が入る程度だ。しかし、来月から本格祭りシーズンに入るので、第3波に見舞われなければ、期待できそうだ。
さて、そんな当オディシャ州(Odisha)の感染状況だが、依然落ち着いていて、9月13日現在新規陽性者は649人(累計102万人、死者8098人)、人々の気が緩み始めており、野菜市場など、ソーシャルディスタンスを守らぬローカル民が密集、ナビーン・パトナイク(Naveen Patnaik)州首相をして、コロナルールを守らぬなら、再ロックダウンもありうると警告せしめた。
学校も低学年を除いて、ぼちぼち開校しているが、クラスターが出て、また閉鎖のレジデンシャル・スクールも。
インド全土だが、新規2万人台まで下落(2万7254人、累計3330万人、死者44万3000人、新規死219人)、依然統制下にある。避難帰省中の息子も、実に半年ぶりにライブを兼ねての州外ツアー、大学時代からベースとしていた南のIT都市バンガロール(Bangalore)で親友たちと旧交を温めている最中だ。
日本の感染爆発も収まりつつあるようで、ほっとしている。そろそろ帰国を模索しだすときと思いつつも、気持ちは逸っても、体がついていかない。私的に不幸が重なったため、ストレスが嵩み、体調不良、冷房下薄着をしたための夏風邪だが、3週間たっても、鼻がぐずぐずしてすっきりしない。
元々鼻炎アレルギー気味なのだが、いつもの鼻詰まりと違う。低気圧のせいもあるかもしれないが、初期はもしかしてとの疑惑も湧きあげてきて、バンガロール在中の息子に、イベルメクチンを所望してしまった。
熱も咳もないので、違うと思いたいが、予防のためにも、日本人学者発明のノーベル賞もの抗寄生虫薬でコロナ特効もあるイベルメクチンをストックしておいた方がよさそうた。
ちなみに、アメリカのドラッグストアでも、同薬は在庫切れとか。日本人も個人輸入しているコロナ特効薬、手に入るかどうかわからないが、西インドの商都ムンバイの薬局で購入した日本人在住者が動画をアップしていたので、期待したい。
まったく、おちおち風邪も引いていられない世の中になってしまった。素人には風邪とコロナの見分けはつかず、どうしても疑心暗鬼になってしまう。年初にも息子に風邪を移されたが、風邪薬で改善、それでも年が年だけに、体がしゃきっとするまで2週間以上かかった。
インドの未接種者の62.3%は、抗体ができているそうだから、もしかして私もその中に入っているかもしれない。1回接種者は14億人近い総人口の半数近くに達したらしいが(8月27日に最多の1日1000万回突破)、2回完了者は、インドより開始が遅れながら人口の半数に達した日本に比べ、わずか13%、ルーズな国民性を如実に反映している。1回打てばそれでいい、期間を置くと忘れたり、どうでもよくなってしまう人が多いのである。
●州内速報/88年ぶりの大豪雨
9月13日、当地プリータウンを襲った豪雨は、24時間降り止まず、341ミリという88年ぶりの驚異的な記録をマークした。州都ブバネシュワール(Bhubaneswar)も63年ぶり195ミリを記録し、全オディシャ州の11地方で195万人余の人々が豪雨被害に見舞われた。低地帯の住民は前もって避難していたが、3人の死亡者が出た。
●極私的動画レビュー/「Mayu synergy」第5波下スペインへ
タロット占い動画は暇さえあれば、よく覗いており、この欄でも以前2人ほど紹介したが(宇宙の愛の光さんとMireiさん)、それほど熱心でなかったとはいえ、気が向くと覗いていたMayuさんが、バルセロナのサグラダファミリア(Sagrada Familia、アントニオ・ガウディ=Antoni Gaudi i Cornet、1852-1926=設計の文化遺産登録のカトリック教会)の動画をあげていて、びっくりした。
8月下旬デルタ爆発中にスペインに旅立ったと知って、その勇気とパワーに脱帽した。
大聖堂内部のステンドグラスから差し込む虹色の光は壮麗で、心が洗われるよう、「ワオー!すごくない」を連発する彼女の興奮が乗り移ったようで、コロナ前漠然とスペイン旅行を考えていた私だけに、触発された。
それにしても、よく行ったものだと感心するが、スペインは一切の証明書も隔離もなしにフリーパスらしい。Mayuさん曰く、待っていても、パンデミックは終わらないかもしれない、ならば、行きたいと思った今行動した方がいい。確かにそうなのだが、自国日本に帰るのすらぐずぐずしり込みしている自分に比べ、なんという大胆果敢な行動力だろうかと、恐れ入った。
彼女は、ほかのタロット占い師たちと違って、ユニークて個性が際立つ。アメリカに長く住んでいただけに、ちょっと日本人離れしたところがあり、飾り気がなく大っぴらなのだ。
リーディング中は、身振り手振りを交え、感情豊かに(ワオが口癖)、いい意味で蓮っぱな口調でよく笑いつつ、視聴者をインスパイアする。カードリーディングのみならず、スピリチュアル全般のカウンセラーとして、パワフルな占いを開示する。
とにかく、オーソドックスな優等生リーダーと違い、規格外れ、50間近のバツイチとはいえ、天真爛漫な少女のようだ。アウト人間のモンスターを目指すだけあって、常識外れ、自分に正直、本音で生きている。開けっぴろげに生きている彼女を見ていると、制限だらけの狭量人間の自分は、羨ましくてしょうがない。
私も、Mayuさんのようにモンスターになりたい、誰かを助けるスーパースターになりたい、と思ってしまう。彼女は、離婚前後引き込もりで泣いていてばかりいた自分がなれたのだから、あなただってなれる、と力強く鼓舞してくれる。
サグラダファミリアの鐘の音、心が洗われるような神聖なベルを動画越しに耳にした私は、幸運だった。タラゴナ(Tarragona)、バレンシア(Valencia)、グラナダ(Granada)と海沿いに南下する彼女を追って、私のシミュレーション・スペインツアーも続く。
(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。
また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。2021年9月17日現在、世界の感染者数は2億2705万5138人、死者は467万0253人(回復者は未公表)です。インドは感染者数が3338万1728人、死亡者数が44万4248人(回復者は未公表)、アメリカに次いで2位になっています。
ちなみにアメリカの感染者数は4178万5903人、死亡者数が67万人(回復者は未公表)、日本は感染者数が166万9717人、死亡者数が1万7123人、回復者が155万2506人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。
また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。
ただし、インド政府は2020年5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。2021年3月から第2波に突入するも、中央政府は全土的なロックタウンはいまだ発令せず、各州の判断に任せています。マハラシュトラ州や首都圏デリーはじめ、レッドゾーン州はほとんどが州単位の、期間はまちまちながら、ローカル・ロックダウンを敷いています。編集注は筆者と関係ありません)。