日本橋三越で西嶋豊彦「半導体」展、半導体風神雷神図等30点

【銀座新聞ニュース=2024年4月23日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は4月24日から29日まで本館6階美術特選画廊で「進化する京琳派『半導体』西嶋豊彦展」を開く。

日本橋三越では4月24日から29日まで開かれる「進化する京琳派『半導体』西嶋豊彦展」のフライヤー。

繊細な筆遣いと稀代な目線で「神羅万象の調和、つながり」を描く日本画家の西嶋豊彦さんが江戸時代の画家、尾形光琳(1658-1716)の「燕子花図」を未来化させるなど、これまでにない切り口となる「半導体」をテーマとした作品約30点を展示する。

三越によると、現代社会の「つながり」を担う半導体のシステマチックな点や線の集積に、その機能に比類する美を見出す西嶋豊彦さんは、2016年ごろから、花の「しべ」を貪欲に電波を絡め取ろうと伸ばす「触手」に見立て、半導体を金線で描いた「Electric Flower(エレクトリック・フラワー)」シリーズなど、「未来」を描く独自の日本画に挑んでいる。

今回は、この「Electric Flower」をさらに大きく進化させた作品約30点を初披露する。国宝の建仁寺の俵屋宗達(生没年不詳)の「風神雷神図」に独自の解釈を加えた「半導体風神雷神図2024」、伝統的な京琳派のモチーフとして知られる秋草と月を未来へのつながりとして表現する「半導体月光Wi-Fi秋草図」などを紹介する。

ウイキペディアによると、「琳派」は、安土桃山時代(1573年から1603年)後期に興り、近代まで活躍した、同じ傾向の表現手法を用いる造形芸術上の流派、または美術家・工芸家らやその作品を指す名称という。本阿弥光悦(1558-1637)と俵屋宗達が創始し、尾形光琳・乾山(1663-1743)兄弟によって発展、酒井抱一(1761-1828)、鈴木其一(1796-1858)が江戸に定着させた。

大和絵の伝統を基盤として、豊かな装飾性、デザイン性をもち、絵画を中心として書や工芸を統括する総合性、家系ではなく私淑による断続的な継承、などが特質として挙げられる。

光琳が宗達に、抱一が光琳にそれぞれ傾倒し、その影響を受けている。狩野派や円山・四条派といった他の江戸時代の流派は、模写を通じて直接師から画技を学んだのに対し、琳派では時間や場所、身分が遠く離れた人々によって受け継がれた。同じような主題や図様、独特の技法を意識的に選択・踏襲することで流派のアイデンティティーを保持する一方で、絵師独自の発見と解釈が加わり再構成されている。

かつては尾形光琳・乾山兄弟とその作風を継承した酒井抱一らを一つのグループとみなし「光琳派」と呼んだり、その先駆者と考えられる俵屋宗達・本阿弥光悦らを含めて「宗達光琳派」と呼んでいたが、現在は「琳派」という呼称が一般的とされている。

特色としては背景に金銀箔を用いたり、大胆な構図、型紙のパターンを用いた繰り返し、たらしこみの技法などに特色が見られる。題材は花木・草花多いが、物語絵を中心とする人物画や鳥獣、山水、風月に若干の仏画を扱った作品もある。

琳派はヨーロッパの印象派や現代の日本画、デザインにも大きな影響を与えている。風神雷神図は多くの画家によって描かれ、それぞれの作品はよく比較の対象にされる。

西嶋豊彦さんは1966年滋賀県長浜市生まれ、1990年に京都芸術短期大学日本画専攻科を修了、2003年に京都日本画家協会選抜展で読売新聞社賞、2004年に京の今日展で京都府買上げ、2006年に日経日本画大賞展で京都市芸術新人賞などを受賞し、ほかに東本願寺渉成園、御寺泉涌寺に絵和紙を奉納している。

会期中、毎日、西嶋豊彦さんが来場する。

開場時間は10時から19時(最終日は17時)。入場は無料。