立川銀座で岩松由美ら能楽講座、辻井と国東薫が写真

【銀座新聞ニュース=2019年7月30日】ブラインド業界の最大手メーカー、立川ブラインド工業(港区三田3-1-12、03-5484-6100)の銀座ショールーム(中央区銀座8-8-15、03-3571-1373)地下1階「タチカワ銀座スペース Atte」は8月1日から7日まで「第35回能楽金春祭り 能楽講座」を開く。

立川ブラインドの銀座ショールームで8月1日から7日まで開かれる「第35回能楽金春祭り 能楽講座」の写真展に展示される辻井清一郎さんの作品「船弁慶」(シテは柏崎真由子さん)の一場面。

8月7日に銀座金春通りで開かれる「第35回能楽金春祭り」の関連イベントで、1985年に第1回能楽金春祭りが開かれて以来、2019年で35回目を迎え、2010年から能楽に関連した写真展、能楽講座を立川ブラインドの「オッテ(Atte)」で開いている。

能楽金春流シテ方(主人公)で、重要無形文化財保持者だった仙田理芳(せんだ・りほう、本名・辻井=つじい=みどり、1939-2010)の夫で、能楽写真家の辻井清一郎(つじい・せいいちろう)さんと、同じく国東薫(くにさき・かおる)さんによる金春流能楽の舞台写真を展示する。

辻井清一郎さんは会社員時代を含めて45年以上にわたって金春流の能楽写真を撮影しており、会社員生活の第一線を退いた20年ほど前から本格的に能楽写真の撮影に取り組んでいる。

8月1日から7日まで開かれる「第35回能楽金春祭り 能楽講座」の子ども向け能体験の会場風景。画像は2018年開催時。

国東薫さんは2004年に「ぢ32階日本広告写真家協会公募展」で入選、2011年にAPAアワード2011写真作品部門で入選、2012年に個展を開き、2014年に「阿波和紙フォトコンテスト心情・いんべの里スポンサー賞を受賞している。近年は大蔵流の狂言やシテ方金春流の舞台を中心に能楽写真を撮影している。

4日、6日、7日は金春流能楽師らが展示作品を解説するなどギャラリートークを開く。

1日12時から金春流能楽師の岩松由美(いわまつ・ゆみ)さんが小学生・中学生を対象にした能体験会を開く。14時から金春流能楽師で、重要無形文化財総合指定保持者(人間国宝)で、「金春円満井会(こんぱるえんまんいかい)」理事長の本田光洋(ほんだ・みつひろ)さんが「能面について・神と鬼」と題して講演する。

2日12時から金春流能楽師の中村昌弘(なかむら・まさひろ)さんが小学生・中学生を対象に能体験会を開く。14時からシテ方金春流80世宗家(前宗家)で、重要無形文化財「能楽」保持者の金春安明(こんぱる・やすあき)さんが「江戸時代を金春流は?」と出しして、講演する。

3日12時から金春流能楽師の本田芳樹(ほんだ・よしき)さんが小学生・中学生を対象に能体験会を開く。14時から杏林大学客員教授、東京大学非常勤講師のピーター・マクミラン(Peter MacMillan)さんが「私がなぜ新作能を作るか」と題して講演する。

4日12時から金春流能楽師の安達裕香(あだち・ゆうか)さんによるギャラリートークを開く。14時から金春流能楽師の森瑞枝(もり・みずえ)さんが「『式楽』とは何か」と題して講演する。

6日12時から金春流能楽師で「金春円満井会」常務理事の山井綱雄(やまい・つなお)さんによるギャラリートークを開く。の安達裕香(あだち・ゆうか)さんによるギャラリートークを開く。14時から金春円満井会理事で、重要無形文化財総合指定保持者の金春穂高(こんぱる・ほだか)さんによる「謡・仕舞」の体験会を開く。

7日12時から金春流能楽師の柏崎真由子(かしわざき・まゆこ)さんによるギャラリートークを開く。

岩松由美さんは1982年生まれ、国学院大学を卒業、2005年に富山礼子(とみやま・のりこ)さんに入門、金春流能楽師となった。

本田光洋さんは1942年東京都生まれ、1947年に「三井寺」で子方にて初舞台、1948年に「初雪」で初シテ、1958年に入門免状、1965年に早稲田大学第一政治経済学部経済学科を卒業、1976年に文化庁芸術祭優秀賞、1982年に本職分免状、1987年から1991年まで能楽協会理事、1987年に重要無形文化財総合指定に認定されている。

中村昌弘さんは1978年東京都生まれ、79世金春信高さん、高橋万紗(たかはし・まさ)さん、高橋忍さんに師事し、中央大学法学部法律学科を卒業、1981年に高橋万紗さんに入門、1985年に能「桜川」で子方、1998年に能「田村」で初シテ、年2回に国立能楽堂でシテを舞い、現在、狛江市をを中心に能楽普及の活動のため「社会教育団体 狛江能楽普及会」を発足し活動し、金春円満井会理事。

ピーター・マクミランさんは1959年アイルランド生まれ、アイルランド国立大学を卒業、1980年に同大学助手、1981年から1985年に南カロライナ州立大学助手、1986年から1987年にメリーランド大学講師、1988年から杏林大学外国語学部助教授、1995年から同大学外国語学部教授、並行して早稲田大学、都立大学、明星大学で非常勤講師、百人一首の英訳で知られ、「西斎」名義で「新富嶽三十六景」を執筆している。

1996年から1998年の2年間、日本の文部省より研究資金援助を受け、2008年度に「英詩訳・百人一首―香り立つやまとごころ」で日本翻訳文化特別賞、日米友好基金日本文学翻訳賞などを受賞している。

安達裕香さんは1989年生まれ、早稲田大学を卒業、本田光洋さんに師事し、2014年に「小鍛冶」(円満井会定例能)で初シテとしてデビューした。

森瑞枝さんは1961年生まれ、国学院大学大学院文学研究科(神道学専攻)博士課程後期単位取得を修了、1981年から1988年まで国学院大学金春流能楽研究会に所属、2005年に能楽協会に入会、2007年に「東北」(円満井会定例能)で初シテ、円満井会定例能などで地謡を務め、現在、金春円満井会理事。

山井綱雄さんは1973年神奈川県横浜市生まれ、シテ方金春流能楽師の梅村平史朗(うめむら・へいしろう、1906-1979)の孫にあたり、5歳で初舞台、12歳で初シテ、以来、さまざまな能楽に出演し、1998年に金春流若手能楽師の会「座・スクエア(SQUARE)」を結成、2002年にアメリカ・ロサンゼルスで公演した。

2008年にイギリスの演劇祭「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」に現代演劇役者として出演、その後、現代演劇に出演したり、ほかの分野の音楽家と共演するなど、能の普及と可能性の探求に務めている。現在、「金春円満井会」理事、社団法人「能楽協会」会員。

金春穂高さんは1965年奈良県生まれ、金春栄治郎(こんぱる・えいじろう、1895-1982)の孫で、金春晃実(こんぱる・てるちか、1931-2002)の長男。神戸大学教育学部を卒業、1969年に子方で初舞台、1978年に初シテなどを経験する。重要無形文化財「能楽」保持者。

柏崎真由子さんは1980年北海道函館市生まれ、東京造形大学美術学科絵画専攻領域を卒業、能楽師となった。

能楽講座は定員が30人で、当日、30分前から受け付ける。受講は無料だが、子ども体験会に参加を希望する人は白足袋または白靴下を持参する。

開場時間は11時30分から17時(最終日は16時30分)で、月曜日が休み。入場、参加は無料。