楽器業界が被災地の楽器修復支援で基金、坂本龍一も

【銀座新聞ニュース=2011年7月20日】全国楽器協会(千代田区外神田2-18-21、03-3251-7444)など楽器関連業界4団体は7月20日に丸ビルで会見して、坂本龍一さんと協力して「こどもの音楽再生基金」を設立、被災地の子どもたちの音楽の再生を支援するプロジェクト「スクール・ミュージック・リバイバル(School Music Revival)」をスタートしたと発表した。

東日本大震災で被害を受けた小・中・高校などの楽器の修復や新たな楽器の購入時の補てんなどを目的に、当面3億円の基金で被災地の学校にある楽器の状況を調査、修復し、さらにコンサート活動なども支援していく。
また、発起人のひとりで、音楽家の坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが新たに復興支援に向けた曲を作り、12月末にも東京で支援コンサートを開き、「こどもの音楽再生基金」の資金に充当する予定だ。

「こどもの音楽再生基金」は全国楽器協会会長、ヤマハ社長の梅村充(うめむら・みつる)さん、全国楽器製造協会会長、河合楽器製作所社長の河合弘隆(かわい・ひろたか)さん、全国楽器商卸商組合連合会会長、プリマ楽器社長の大橋仁(おおはし・ひとし)さん、全国楽器小売商連合会会長、山野楽器会長の山野政光(やまの・まさみつ)さんと坂本龍一さんが発起人となって設立し、全国からの寄付金と企業からの協賛金で必要な資金を調達し、「スクール・ミュージック・リバイバル」の活動に充てる。

まずは岩手県、宮城県、福島県の保育園、幼稚園、小・中・高校約1850校について約200店の楽器店から実態調査に訪れ、9月末までに実態を把握し、必要な修理、補修を実施する。その後、修理不能な場合は、楽器の購入費用を補てんし、子どもたちのコンサート活動も支援する。

ただ、今回の基金は学校などを通じての支援活動で、子どもたちが個人で持っている楽器は対象外になるものの、学校を通じて要望があれば、無償修理の対象とする考えだ。

また、現在は3県を対象としているが、学校の要望があれば茨城県、千葉県など、東日本大震災で被害を受けた地域も対象に加える予定だ。さらに、一応活動期間を3年としているものの、「福島県など原発問題であって、3年で終わらない場合は継続も考えていく」(全国楽器協会事務局長・瀬尾直行=せお・なおゆき=さん)としている。

今回の基金は3月11日に日本にいた坂本龍一さんが、その後、被災地の子どもたちの楽器の修復支援など「楽器で何かできないか」をヤマハに相談したところから実現に向けて動き出したものの、「製造や小売など立場の違いもあって内部の調整に時間がかかってしまった」(全国楽器協会理事、プリマ楽器社長の大橋仁=おおはし・ひとし=さん)という。

「こどもの音楽再生基金」のロゴマークについてはアートディレクターの秋山具義(あきやま・ぐぎ)さんがデザインした。

募金などの問い合わせは事務局(022-713-6970)まで。