ミキモトが樹齢20年の桐ヶ谷桜を展示、46年前の桜女王の王冠も

【銀座新聞ニュース=2012年3月30日】ミキモト(中央区築地1-8-9、03-5550-5678)は4月4日から4月16日までミキモト銀座本店(中央区銀座4-5-5、03-3535-4611)の1階入り口に「京の桜」を展示する。

ミキモトが1996年から実施している企画で、京都で「桜守り」として知られる造園家で1832(天保3)年創業の「植藤造園(うえとうぞうえん)」(京都市右京区山越中町13、075-871-4202)の社長、第16代佐野藤右衛門(さの・とうえもん)さんが育てた桜「桐ヶ谷(きりがや)」を東京に運んで、ミキモトの入り口に展示する。

また、1階入り口には、1966年に財団法人「日本さくらの会」(新宿区余丁町7-1、発明学会ビル5階、03-3225-3355)に寄贈した「日本さくらの女王」のためのパールクラウンを展示している。

1912年に日本がアメリカ・ワシントンD.C.に約3000本の桜の苗木を贈ってから100周年にあたり、毎年3月末から4月はじめに開かれる「全米さくら祭り」で選ばれる「全米さくらの女王」のパールクラウンもミキモトが製作、寄贈したもので、1957年より代々の女王に受け継がれている。この100周年を記念して、1966年からはじめられた「日本さくらの女王」のためのパールクラウンを展示している。

「桐ヶ谷(別名「御車返し」)」は高さ約5.5メートル、樹齢約20年の桜で、江戸時代から知られる品種のひとつ。名前の由来には諸説があり、鎌倉桐ヶ谷にあったことに由来する説や別名の御車返しは第108代の後水尾天皇(ごみずのおてんのう、1596-1680)がこの桜の前を通られたときにあまりの美しさに、御車を返して鑑賞されたともいわれている。一枝の中に一重の花と八重の花とあるのが特徴とされている。

アメリカ・ワシントンD.C.の桜の苗木は尾崎行雄(おざき・ゆきお、1858-1954)が東京市長時代に当時の第27代アメリカ大統領、ウィリアム・タフト(William Howard Taft、1857-1930)の妻、ヘレン・タフト(Helen Taft、1861-1943)の希望に応じて贈られている。ただ、1909年に贈った2000本の桜は輸送途中に発生した害虫によってワシントンD.C.到着後に焼却処分され、尾崎行雄は農商務省に害虫に強い桜の苗木の調達を依頼した。

その結果、穂木は東京の荒川堤の桜並木から採集されたソメイヨシノ品種をはじめとする「五色桜」で、病気や害虫の少ない台木づくりは、植木の産地として知られる兵庫県伊丹市の東野村に託され、1912年に6000本がアメリカに到着し、うち3000本がワシントンD.C.のポトマック河畔に植樹された。

佐野藤右衛門さんは1928年京都府京都市生まれ、代々、「藤右衛門」を襲名し、現在が16代目となる。1959年に彫刻家のイサム・ノグチ(いさむ・のぐち、1904-1988)と共同で、パリのユネスコ(国際連合教育科学文化機関)本部に日本庭園を作り、1997年にユネスコ本部から「ピカソ・メダル」、1999年に「勲五等双光旭日章」を受章している。

14代から3代にわたって全国の桜を調査し、3代にわたる成果を著書「さくら大観」と「京の桜」にまとめているほか、京都の円山公園(まるやまこうえん)をはじめ、ドイツ・ロストックなど、内外で桜を育てている。

ミキモトでは「桐ヶ谷」を展示後、学校や保育園、福祉施設など公共施設に寄付する予定で、希望先を募っている。

希望者はハガキに施設名、施設代表者名、住所、電話番号と応募理由を書いて、ミキモト「桜プレゼント係」(〒104-8145、東京都中央区築地1-8-9)まで郵送する。またはEメール(sakura@mikimoto.com)に「桜プレゼント応募」を記載して、必要事項を記入して送る。締め切りは4月18日。輸送費、植樹費用はミキモトが負担する。