中央の百貨店1月、全5店が減、3カ月連続で、事態宣言で来店客減響く

【銀座新聞ニュース=2021年2月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の1月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともマイナスだった。5店舗とも減少するのは昨年11月から3カ月連続となった。

1月の売上高で減少幅が49.9%減と半減した銀座三越。

1月は、「緊急事態宣言」が再度出されたことで、外出自粛要請の高まりや営業時間の短縮によって、各店とも入店客数は伸び悩み、「初商での福袋販売方法の変更やセールの分散開催」(高島屋)などにより、5店舗とも前年を下回り、マイナス幅も12月を上回った。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比31.4%減(12月速報値8.4%減、確定値7.9%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、12月の前年比プラスは子ども服・用品=32.1%増、呉服寝具ほか=4.3%増、雑貨=1.9%増、家具インテリア=34.9%増)と店頭ベースでは3カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同49.9%減(同速報値29.6%減、確定値29.6%減、但し空港型免税店の売り上げを除く、12月の前年比プラスは食堂・喫茶=36.9%増のみ)と12カ月続けてマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、「緊急事態宣言」が再発出された地域の店舗を中心に、外出自粛要請の高まりや営業時間の短縮によって、入店客数は伸び悩み、国内百貨店(既存店計)の売り上げは前年を下回った。一方で、大都市圏の店舗では、客単価が前年を上回る店舗もあった。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、買い物の目的が明確な日本人顧客による高付加価値商品への関心が引き続き高く、宝飾・時計や婦人カテゴリーのラグジュアリーブランドのハンドバッグ・靴・財布・アクセサリーが好調という。

オンライン売り上げは、前年比約2倍と12月よりも伸長率が高く、特に店頭でも人気の高いチョコのイベント「サロン・デュ・ショコラ」や「バレンタイン」特集の反響が大きかったとしている。訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)は、引き続き低調に推移している。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同25.3%減(同速報値5.1%減、確定値5.2%減)と3カ月続けてマイナスとなった。

1月の店頭売り上げは、「宣言」の再発出に伴い、外出自粛の傾向がさらに強まり、前年実績を下回った。

訪日外国人観光客売上高は86.7%減、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは24.9%減(既存店計23.6%減)だった。2019年比では、店頭売上は31.5%減(同30.3%減)、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは27.7%減(同26.3%減)としている。商品別売上高(15店舗ベース)ではサービス営業を除く商品群が前年実績を下回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同53.8%減(同速報値32.7%減、確定32.7%減)と12019年10月の消費税増税以降、16カ月続けて前年を下回った。

クリアランスセールの分散開催など初売り体制の抜本的見直しを図った影響に加え、緊急事態宣言が発出され、入店客数が大きく減少したことから、大丸松坂屋百貨店合計では33.4%減だった。

商品別では、ラグジュアリーブランドや高級時計において前年春節期間の反動減影響を受けたものの、いずれも国内売り上げが前年比ふた桁増、美術や家庭用品が引き続き堅調に推移したとしている。

訪日外国人観光客売上高(速報値)は94.0%減(客数99.1%減、客単価571.4%増)だった。大丸松坂屋百貨店合計の国内売上高(訪日外国人観光客売上高の本年・前年実績を除く)は25.0%減だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、12月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同1.8%減だった。不動産事業がマイナスとなるのは、10カ月連続となる。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同45.7%減(同速報値27.8%減、確定27.8%減、4月は5月の確定値段階で91.4%減と公表)と12カ月続けてマイナスとなった。

銀座店は、国内富裕層の安定した消費を背景に海外ラグジュアリーブランドが引き続き好調に推移(訪日外国人観光客売上高を除く国内の売上高は前年比1.5倍)、また、外商部門のテレビ通販などの取組みが全体を牽引(前年比45%増)するなどの好要素があった。

しかし、春節で来日した中国から客を軸とした全世界からの訪日外国人観光売上高が本年は消滅(昨年1月の訪日外国人観光客売上高は、銀座店全体の売上高に対して約3割のシェア)したこと、緊急事態宣言の再発出を受け営業時間の短縮などによる売上高の減少(影響度合いは約3%減)と、それに伴う入店客数の減少、さらには、衣料品などの冬物最終処分も苦戦した。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社196店舗(総従業員5万9816人)の2020年の売上高(店舗調整後)は前年比25.7%減の4兆2204億2523万円で、1975年(4兆0651億円)以来、45年ぶりの低水準となった。

2020年の訪日外国人観光客売上高は同80.2%減の686億円と4年ぶりに前年を下回った。

12月の売上高(店舗調整後)は前年同月比13.7%減の5464億7271万円で、15カ月続けてのマイナスとなった。

12月は、消費増税の反動要因があった10月(1.7%減)より悪化しているが、11月(14.3%減)から0.6ポイント改善している。月前半から歳暮やクリスマスケーキ、おせちの受注を中心に賑わいを見せ、富裕層を中心とした高額品(美術品、宝飾品、貴金属など1.9%増、11月12.0%増と3カ月連続)の需要も底堅く推移したが、中旬以降の、新型コロナ感染再拡大による自粛気運の影響をカバーできなかったとしている。

顧客別では、国内市場は10.0%減(11月10.0%減、2カ月連続、シェア99.4%)、入国規制が続く訪日外国人観光客需要は88.6%減(11月89.3%減、34.4億円、11カ月連続、シェア0.6%)と依然、低水準で推移している。

地区別では、訪日外国人観光客需要比率の低い地方(10都市以外の地区、8.3%減、11月10.2%減で2カ月連続)は、11月より1.9ポイント改善し、大都市(10都市、15.8%減、、11月15.9%減で15カ月連続)との差は7.5ポイントと拡がった。

商品別では、年末年始の帰省自粛などから家での時間を充実させる「イエナカ消費」や「巣ごもり需要」の傾向がより顕著で、調理家電やリビング関連、寝具類が好調だったという。年末商戦では、クリスマスケーキ、おせちが活況で、特におせちは会期終了前に完売するケースも見られた。コロナ禍にあってオンラインのEC売上は急伸しており、着実にシェアを伸ばしているという。

全国の百貨店の12月の営業日数は前年と同じ31.0日、112店舗の回答によると、入店客は1店が増え、105店が減ったとし、84店舗の回答によると12月の歳時記(年末商戦、歳暮、クリスマス、年末年始商材)の売り上げについては3店が増え、69店が減ったとしている。

東京地区(12社25店)の12月の売上高(店舗調整後)は前年同月比15.9%減の1472億8997万円と15カ月続けてのマイナスとなった。

国内89店舗の訪日外国人観光客需要の2020年の売上累計は前年比80.2%減の686億2000万円、うち一般物品売上高が同77.7%減の414億3000万円、消耗品売上高が同83.0%減の271億9000万円だった。

12月の売上高は同88.6%減の約34億4000万円と11カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが0.6%としている。

このうち、一般物品売上高は同86.6%減の約23億9000万円で、11カ月続けて前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同91.4%減の約10億5000万円、購買客数が同97.8%減の約9000人と11カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同427.7%増の36万2000円で、13カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2020年11月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2020年11月まで2位)で19カ月連続で2位、3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から11月3位)で、7カ月続けて3位だった。

4位が食料品(3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月と11月4位)で、3カ月連続だった。5位婦人服・用品/子ども服・用品だった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2020年11月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から11月2位)で、8カ月連続だった。

3位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月3位)が2カ月続けて3位だった。

4位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月4位)で、2カ月連続で4位だった。

5位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月5位)で、2カ月続けて5位だった。

6位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位)で、2カ月ぶりに順位を上げた。

7位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位)でひとつ下げた。