ART FOR THOUGHTで菊地虹「SPECTRUM」の集大成展

【銀座新聞ニュース=2024年6月21日】ART FOR THOUGHT(中央区銀座8-10-4、和孝銀座8丁目ビル、03-6228-5922)は6月21日から7月12日まで菊地虹さんによる個展「SPECTRUM」を開いている。

ART FOR THOUGHTで7月12日まで開いている菊地虹さんの個展「SPECTRUM(スペクトラム)」のフライヤー。

リアリズムと抽象的な要素や素材をそのまま活かした表現をすることで、”雑多”な集合としての風景表現を試みてきた画家の菊地虹(こう)さんが約4年間テーマとしてきた「SPECTRUM(スペクトラム)」シリーズの集大成となる個展を開いている。

菊地虹さんによると、「SPECTRUM」は辞書を引けば「連続体」や「範囲」の意があり、スラングでは「雑多」や「多種多様」のニュアンスで使われる。「私の作風が常に変遷を繰り返すことも関連するのであろう」とし、海外へ行った後は「現代アート、東洋的な表現、ミクストメディアにも関心を抱いたし、抽象画、イラスト、漫画のような絵も描いた。しかし、最近は近代絵画的作風に回帰した」という。

菊地虹さんは「私の作風は常にバラついている。終わりのない表現の探究が駆り立てるのだ。しかしその対価として、何に対しても中途な態度を余儀なくさせられている。一見両立しないものをボーダーレスに捉える”癖”があるとも言えるだろう。日本的と西洋的、近代と現代、純粋と不純、抽象と具象、ポップカルチャーとハイカルチャー。そのどれでもあり、そのどれでもない」と感じている。

「無限の探求とボーダーレス。そこから描かれた作品は、バラツキが交差し続ける世界、その瞬間の”観測”なのである。今まではそれを『SPECTRUM』と呼ぶほかに、手立てがなかった。これからは、また新しいテーマを掲げて気持ちを新たに制作に励みたい。そこで、『SPECTRUM』シリーズには一度、終止符を打ちたいと思う」と考え、「この展示で約4年間にわたって展開した『SPECTRUM』の到達点を呈示したい」としている。

菊地虹さんは1994年東京都東村山市生まれ、2015年に立教大学文学部教育学科を中退、2020年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業、2023年に同大学大学院美術研究科芸術学専攻美術教育研究分野修士課程を修了、同年に立教大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程に入学している。

2018年に「アクリルガッシュビエンナーレ2018」で入選、2021年に「ターナーアワード2021」で大賞、「未来展」で日動社員投票賞、2022年に「WATOWA ART AWARD(ワトワ・アート・アワード)2022」で入選、「コーポレートアートエイド京都」で入選している。

22日15時から17時までレセプションを開く。

開場時間は11時から19時(土曜日と最終日は17時)まで。日・月曜日と祝日は休み。