資生堂ギャラリーで日常使いの工芸品展、川端健夫、吉村和美ら6人

【銀座新聞ニュース=2016年9月9日】大手化粧品メーカーの資生堂(港区東新橋1-6-2、03-3572-5111)は9月6日から10月25日まで資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3、東京銀座資生堂ビル地下1階、03-3572-3901)で「そばにいる工芸」展を開いている。

10月25日まで資生堂ギャラリーで開かれている「そばにいる工芸」展に出品されている鎌田奈穂さんのカトラリー。

10月25日まで資生堂ギャラリーで開かれている「そばにいる工芸」展に出品されている鎌田奈穂さんのカトラリー。

今回は、「日常の生活のなかでそっと人間と寄り添う工芸」をテーマにし、「森岡書店」(中央区銀座1-28-15、03-3535-5020)の代表の森岡督行(もりおか・よしゆき)さんの協力を得て、暮らしの基本となる「食」と「住」の側面から選んだ6人の工芸作家の作品を展示している。

金工の鎌田奈穂(かまだ・なほ)さん、 木工の川端健夫(かわばた・たけお)さん、陶磁器の飛松弘隆(とびまつ・ひろたか)さん、和紙のハタノワタル(はたの・わたる)さん、ガラスのピーター・アイビー(Peter Ivy)さん、陶芸の吉村和美(よしむら・かずみ)さんがつくる、スプーンやフォークなどのカトラリー、照明、箱、ガラス容器、うつわなどの作品を披露する。また、これら6人のアトリエや制作の様子など、作品が生まれる背景も映像で紹介している。

同じく出品されている飛松弘隆さんの照明器具。

同じく出品されている飛松弘隆さんの照明器具。

鎌田奈穂さんは1982年熊本県生まれ、高校卒業後、東京で油絵の予備校に通い、2005年から2008年まで名古屋在住の長谷川竹次郎(はせがわ・たけじろう)さんに師事し、2008年に独立、2010年に森岡書店で初個展、その後も都内で個展を開いている。

川端健夫さんは1971年大阪府枚方市生まれ、東京農業大学林学科を卒業、農業法人に勤務し、4年後に足立技術専門校木工科を経て、木工作家の木内明彦(きうち・あきひこ)さんに師事し、2003年に甲賀の里山で木造校舎と出会い、工房を立ち上げ、独立し、家具をつくり始める。2004年に木造校舎を改装し、菓子工房「マンマミーア」(現パティセリーミア=patisserie MiA)とギャラリーを始める。 2006年に子どもが生まれ、カトラリーや皿など暮らしまわりの小さな道具をつくる。

飛松弘隆さんは1980年佐賀県生まれ、多摩美術大学工芸科陶プログラムを卒業、在学中に型による立体造形の経験を活かし、鋳込み型の技法による器の制作をはじめ、陶芸家の小川待子(おがわ・まちこ)さんの助手などを経て独立し、「飛松陶器 tobimatsu TOKI」の屋号で磁器の鋳込みを中心とした作品を発表している。

同じく出品されているピーター・アイビーさんのガラス作品。

同じく出品されているピーター・アイビーさんのガラス作品。

磁器の光を通す性質に着目し、透光性を調整した磁土によるランプシェードの制作に取り組み、大正から昭和期に蛍光灯の登場により衰退したミルクガラス製の量産型電灯傘に惹かれ、現代のくらしを再び照らしだす照明を模索し、磁器独特の光の濃淡が現れる「フィン(fin)シリーズや、石膏型の境界線「バリ」を残したオッドライン(odd line)シリーズなどのシェードを制作している。

ハタノワタルさんは1971年兵庫県淡路島生まれ、1995年に多摩美術大学絵画科油画専攻を卒業、1997年に黒谷和紙の漉き師として修業をはじめ、1998年にベトナムに紙漉き職人として派遣される。2000年に黒谷和紙漉き師として独立し、個展を開き、黒谷和紙を漉く傍ら、大学時代から続けている和紙を支持体とした絵画の制作をはじめ、2008年に城崎温泉木屋町小路の外壁面を施工した。現代の暮らしに合う和紙の使い方を提案し、和紙を使った内装などを手掛けている。

ピーター・アイビーさんは1969年アメリカ アラバマ州生まれ、1970年にテキサス州オースティンに引越し、2002年に日本に移り住む。愛知教育大学美術教育講座ガラスコースの講師、 准教授を勤めている。2007年に教えることを辞め、富山県に移住し、工房を構え、2013年にスタイリストの高橋(たかはし)みどりさんと器のデザインを考え、「コーボー(KOBO)」アイテムを立ち上げ、2016年に工房を新しく改装している。

吉村和美さんは1975年茨城県生まれ、1999年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業、栃木県益子町で作陶をはじめ、2002年に茨城県つくば市で築窯して独立し、2009年に栃木県益子町に移転、築窯した。

11日11時と14時から花椿ホール(中央区銀座7-5-5、資生堂銀座ビル3階)で川端健夫さんによる木工ワークショップを開く。浮造り(うづくり)という技法を使って杉の菓子小皿を作る。定員は各回とも10人で、参加費は500円。

30日18時30分からワードホール(中央区銀座8-8-3、東京銀座資生堂ビル9階)で森岡督行さんと東京・吉祥寺の生活雑貨店「ラウンダバウト(Roundabout)」と「アウトバウンド(OUTBOUND)」のオーナー、小林和人 (こばやし・かずと)さんが対談する。定員は80人で、参加費は無料。

開場時間は11時から19時(日曜日、祝日は18時)、月曜日は休み。入場は無料。イベントは資生堂ギャラリー(http://www.shiseidogroup.jp/gallery/?rt_pr=tr626)から申し込む。問い合わせは03-3572-3901まで。