高島屋で草月流「創流90周年」700人展、蒼風の作品、宏の書等も

【銀座新聞ニュース=2016年10月25日】いけばな草月流の一般財団法人「草月会」(港区赤坂7-2-21、03-3408-1154)は10月26日から31日まで日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)8階ホールで「創流90周年記念 第98回草月いけばな展『花は、私になる。』」を開く。

10月31日まで日本橋高島屋で開かれている「創流90周年記念 第98回草月いけばな展『花は、私になる。』」のフライヤー。

10月31日まで日本橋高島屋で開かれている「創流90周年記念 第98回草月いけばな展『花は、私になる。』」のフライヤー。

初代家元の勅使河原蒼風(てしがはら・そうふう、1900-1979)が1927年に創設して以来、2017年に90周年を迎えることから、今回は1階正面ステージに勅使河原蒼風のオブジェ、6面のショーウインドーに3代目勅使河原宏(てしがはら・ひろし、1927-2001)の書と陶作品、8階に2代目勅使河原霞(てしがはら・かすみ、1932-1980)の作品を再現して展示する。

草月流を代表する作家から、4代目勅使河原茜(てしがわら・あかね、1960年生まれ)さんの指導する茜ジュニアクラスの生徒まで730人が、それぞれ1年の研さんの成果を3期に分けて発表する。1期は26日、27日、2期が28日、29日、3期が30日、31日で、展示品を入れ替える。

ウイキペディアなどによると、いけばな草月流は初代家元の勅使河原蒼風が1927年に27歳で創設したいけばなの流派で、自由で前衛的な作風を特徴とし、1955年に財団法人草月会を設立し、日本全国に49支部、国外に約120支部・スタディーグループを有している。草月のいけばなは「線・色・塊」に注目し、疎密(そみつ)によって強弱、濃淡、変化をつける。作品は必ずしも和風ではないが、一部の例外を除き、メインとなる花材の均等間隔配置をしない、作品全体を完全なシンメトリーにしないなど、バランス構成は基本的には日本美術をふまえている。

いけばな草月流の4代目家元の勅使河原茜さん。

いけばな草月流の4代目家元の勅使河原茜さん。

草月では基本的に「生ける」などの漢字を使用せず平仮名で書く。勅使河原蒼風は「いける」を「造形る」とか「変化る」と表現した。流派の定める型の再現ではなく、勅使河原蒼風の言葉「環境から生まれたように」をもとに、時代とともに変化し、家庭のみならず、公共空間でのインスタレーション、イベント展開など、その場ならではの創作もする。舞台美術や、ショーウィンドウを彩るディスプレイデザインとしての役割なども果たしている。

草月のいけばなは造形美術でもあり、作風を限定せずまったくの自由であるため、彫塑作品との境界が曖昧な場合もある。紙や合成樹脂、金属他、あらゆる素材を取り混ぜたり、植物を一切使わず人工物・無機質のみで完成させることもある。水やりなどのメンテナンスが困難な場所に作品を制作する場合を含め、自然の植物の姿形を生かすという意味でも、植物を晒したり、着色したもので造形を補うことも多い。

また、工芸作品のように素材を連続して組むことによる効果で作品をつくり上げることもあり、特に、竹を使った大がかりな造形作品は草月ならではの象徴的な創作となっている。素材の1つとしての竹は多くの表現に登場するが、竹一種に限った造形は公園など屋外での長期展示も可能であり、サミット会場の屋外にも制作された。

生の花材は維持のために水を必要とするが、どこから水を吸っているのか分かりにくい構成や、一見重力に反しているように見える構成など、シンプルな作品であっても、どのようにいけ込んだ(組み立てた)のか容易には分からない作品が魅力となっている。植物の切り口が花瓶の底について直立した姿は、それは素の自然の美だが、重力におもねらない構成にすることによって、無機物のようには思い通りにはならない、植物が元々持っている命にさらに意思を持たせた状態にし、作品と成してより力を与えることを「いける」とする。

教室は入門者からベテランまでを対象とした本部家元教室、男性限定の男子専科、英語による指導を行うインターナショナルクラス、3歳から高校生を対象とした茜ジュニアクラスがある。

全国各支部主催などで展覧会が多く開かれ、春(新宿高島屋)と秋(日本橋高島屋)、本部主催による草月いけばな展(草月展)が催される。秋の草月展の新人賞審査員には彫刻家・美術家などが招かれ、家元とともに審査する。本部主催の草月展には、家元・本部講師を含む師範の有志が出品し、なりたての師範も数十年のベテランも経歴無表示で区別なく作品が展示される。

草月会によると、4代目家元の勅使河原茜さんは1960年生まれ、勅使河原蒼風、叔母の第2代家元勅使河原霞からはいけばなの手ほどきを受け、1981年に国学院大学幼児教育専門学校を卒業し、4年間の幼稚園教諭を経て、1985年に財団法人草月会の広報部に勤務し、1989年に草月会副会長に就任、1995年に東京ディズニーランドのお正月インスタレーションを担当し、同年に初個展を開き、2001年に家元を継承した。

2000年から6年間にわたり東京・表参道で「草月・花アベニュー(Avenue)」を企画・プロデュース、2007年に「日本いけばな芸術協会」副会長に就任(2009年に理事長)、東京・両国国技館で創流80周年記念「創流祭」を開いた。2009年に天皇陛下御在位20年記念式典にて舞台花を制作している。また、東京国際フォーラム、六本木ヒルズなどさまざまな空間で作品を発表し、近年は、舞台空間にゼロからいけばなをつくり上げる様子を音楽と照明などとともに演出するパフォーマンス「いけばなライブ(LIVE)」を全国各地で上演している。

開場時間は10時30分から19時30分まで(27日、29日、31日は18時)。入場料は1000円、中学生以下無料。