ヴァニラ画廊でギーガー、池谷友秀ら「ゴシック・受胎」展

【銀座新聞ニュース=2017年7月18日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は7月20日から8月6日まで企画展「GOTH2-受胎」を開く。

ヴァニラ画廊で7月20日から8月6日まで開かれる「ゴート(GOTH)2-受胎」のフライヤー。

ヴァニラ画廊の特別企画展として2015年に開いた「ゴシック」をテーマにした第2弾で、今回は「受胎」をキーワードにしてH.R.ギーガー(H.R Giger)さんや池谷友秀(いけや・ともひで)さんらが作品を展示する。また、前回と同様に、フランスのデカダン芸術を収集する「ギャラリー・ルシファー(Gallery Lucifer)」が協力している。

ヴァニラ画廊によると、「自己の内に内在化した『ゴート(GOTH)』という感覚世界は、記憶と感性となり、そして美意識へと繋がっていきます。ほの暗い感性で繋がる私たちが懐妊したもの、あるいは孕(はら)み続けているものは、果たして何なのでしょうか。意図的、(もしくは無意識的に)制作した作品を一堂に展示することにより、その『何か』が浮かび上がってくるはずです。死を挟み、始まりと終わりが混在する世界観」を展示している。

ヴァニラ画廊では前回のゴシック展で、「ゴシック」という文化は、1700年代のイギリスで発生したゴシック建築廃墟ブームにより、ゴシック・リバイバル建築へ熱を上げたイギリスの政治家で、第4代オーフォード伯爵のホレス・ウォルポール(Horace Walpole、1717-1797)が1764年に発表した小説「オトラント城奇譚」をはじめとするゴシック文学から派生した「ゴシック」文化から、文学、音楽、ファッションにおいて怪奇・幻想的なモチーフとスタイルをサンプリングして繋ぎ合わせた趣味全般を指す概念へと進化してきたとしている。

ヴァニラ画廊では「ゴシック」とは何か、それは魂であり、感受性であり、死や闇に惹かれる心の有様を、美しいと表現することである、と定義した上で、このテーマを意図的に(無意識的に)制作した作家の作品を一堂に集めることで、「何か」が浮かび上がってくるとしている。

今回、出品するのはスイスの画家、H.R.ギーガー(Hans Rudolf Giger、1940-2014)、写真家の池谷友秀(いけや・ともひで)さん、アメリカのドール作家、エリザベス・マクグレイス(Elizabeth McGrath)さん、オカルト、ホラー、スプラッターを愛するイラストレーター、画家で、さし絵やゲームイラスト、CDジャケット、フライヤー、Tシャツデザインなどを手がけるゲンキ(GENk)さん、イラストレーターのシチゴロ・シンゴ(shichigoro-shingo)さん。

ベルギーの画家、フィリシアン・ロップス(Felicien Rops、1833-1898)、人形を制作するクロさんと衣装、写真、アートワークを担当するシロさんの2人ユニット「フリークス・サーカス(Freaks Circus)」、アメリカのボディペインターのマイケル・ロズナー(Michael Rosner)さん、独自の活動を展開する画家の向川貴晃(むかいがわ・たかあき)さん、エロティックな人形を制作する森馨(もり・かおる)さんの10人。

ウイキペディアによると、「ゴシック (Gothic)」とは本来「ゴート人の、ゴート風の」という意味で、12世紀後半から15世紀にかけてのアルプス以北の建築様式であるゴシック建築から来ている。

もともとは蔑称として使われ、15世紀から16世紀にかけて、アントニオ・フィラレーテ(Antonio Averlino Filarete、1400ころ-1469ころ)やジョルジョ・ヴァザーリ(Giorgio Vasari、1511-1574)らが、ルネサンス前の中世の芸術を粗野で野蛮なものとみなすために「ドイツ風の」あるいは「ゴート風の」と呼んだことに由来している。

また、12世紀から15世紀まで続いた建築様式を示す言葉として使われるが、ゴシック時代(12世紀後半から15世紀)の美術のみならず哲学や神学、政治理論などの知的領域の様式にも適用され、精神史的文脈において「ゴシック精神」という概念が提唱されている。

現在、ゴシック的とみなされているものは、例えば闇、死、廃墟、神秘的、異端的、退廃的、色で言えば「黒」といったイメージで、そのような現在流布している多様なゴシックの表象は、歴史上ゴシックがもともと意味していたものとは必ずしも合致しない。

ルネサンス期のイタリアの文化人が北方の教会建築様式を侮蔑的な意味合いを込めて「ゴシック」と呼んだのが始まりで、その後、中世風の様式を意味する言葉として使われた。ゴシックの定義は初めから曖昧さをはらんだものであり、そのことが後世にゴシックが再解釈され意味が拡大していった要因になったとみられている。

啓蒙の世紀である18世紀には、中世は暗黒時代であったと考えられており、ゴシックは奇怪さや不器用さを表わす言葉として受け取られた。そのような時代にゴシック趣味の自邸を建設して19世紀のゴシック復権の先駆けとなったホレス・ウォルポールは、幻想の中の暗黒の中世を舞台にした小説「オトラント城奇譚」により、18世紀後半から19世紀前半に流行したゴシック・ロマンスと呼ばれる文学の元祖とされている。

19世紀に入り、ゴシック・ロマンスは「フランケンシュタインの怪物」や「吸血鬼」といった、近代における闇の暗喩としての怪物の表象を生み出した。

開場時間は12時から19時(金曜日は20時、土・日曜日、祝日は17時)。入場料は500円。