インド、オディシャが3月末まで都市封鎖解除、生活が平常に(91)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2022年3月15日】3月に突入した。当地プリー(Puri)は初夏の兆し、日中の気温は30度を超える。朝晩との寒暖差は10度と、体調を合わせるのが大変だが、冬季の終わりを如実に実感するこの頃た。日没タイムも18時と30分延びて、沈む太陽も冬季の波打ち際からより陸(おか)寄りになった。

2016年10月に開店したばかりの「金澤玉寿司」5号店(石川県金沢市、香林坊・せせらぎ通り)を親族で訪ねた(片町の総本店は1946年創業の老舗)。

さて、インド全土(人口13億8000万人)の陽性者数だが、昨日の8000人台からさらに落ちて6000人台(6915人、累計4290万人、死者51万4000人、新規死者数180人)と、第3波が収束、全国的に規制の大幅解除へと動き出している昨今だ。

首都デリー(Delhi、人口2850万人)では新規258人と低減(累計186万人、死者2万6122人)、先月28日から飲食店の人数制限も解除され、自家用車内でのマスク着用義務は撤廃された。入国者の水際対策も、従来の自宅隔離措置1週間が免除された。

当オディシャ州(Odisha、人口4600万人)も、新規陽性者数171人(累計129万人、死者数9071人)と低水準で落ち着いていることから、州政府は、先月18日の夜間外出禁止令に続いて、3月1日5時から31日5時までロックダウン(都市封鎖)を解除、2年ぶりに初の封鎖解除に踏み切り、社会生活は平常に戻りつつある。

しかし、中央政府は巷で3月15日とまことしやかに囁かれていた国際線(定期商業便)の再開をまたしても延期し、2年にわたるコロナ禍で大打撃を食らっている旅行業界を落胆させた。関係業界からは、批判の声があがっている。

日本海の新鮮なネタの握り寿司はサイコー、身厚の大トロは口中で蕩ける美味、親族一同舌鼓を打った。

それはさておき、世界的に見ても、ようやく出口が見えたようで、ワーストのアメリカ(人口3億2950万人)も陽性者数は10万8000人台と減少している(累計7890万人、死者94万9000人)。新規陽性者数のワーストは韓国(人口5180万人)で、13万9000人、これにドイツ(人口8320万人)の13万3000人が続く。

在留邦人にとって、待ち焦がれたうれしいニュースは、水際対策の大幅緩和だ。現状では、インドからの帰国者は3日強制隔離後の検査で陰性であれば、公共交通機関が使用でき、以後の自宅隔離も不要になる。観光目的以外の外国人の新規入国も3月から認められた。

全世界的に従来のデルタ株から弱毒性のオミクロン株に置き換わったことは、不幸中の幸い、感染力が強く急速に拡大したものの、重症化しないことから、各国が規制解除に動き出し、デンマークやイギリスなど、すべての規制を撤廃する国も現れ始めた。

金沢名物の高級魚、のどぐろ(アカムツ)のおかしら。脂の乗った柔らかな白身は絶品、フルーティーな地酒「手取川」も進んだ。

災い転じて福となすというか、日本の水際対策の厳格さに絶望し、身動きが取れずにいた私にとっては、このめまぐるしい好変化は、奇跡に近い驚喜だ。断念していた真っ暗闇の絶望に、急激に光が差し込んだ感じで、唖然、突如舞い込んだ幸運に望外の喜びを禁じ得ないでいる。勝利の門はすぐそこまで見えている。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。

2022年3月3日現在、世界の感染者数は4億4206万8951人、死者は589万1034人(回復者は未公表)です。インドは感染者数が4295万1556人、死亡者数が51万4589人(回復者は未公表)、アメリカに次いで2位になっています。

石川名産の加納ガニ(ズワイガニ)の雌は小ぶりで、別名香箱ガニとも。おなかに詰まった未成熟卵の赤い内子がコリコリして美味しい。日本海の幸と濃厚芳醇な地酒「天狗の舞」はよく合う。

ちなみにアメリカの感染者数は7919万6008人、死亡者数が95万6261人(回復者は未公表)、日本は感染者数が522万2139人、死亡者数が2万4414人、回復者が442万0485人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は2020年5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。2021年3月から第2波に突入するも、中央政府は全土的なロックタウンは発令せず、各州の判断に任せています。マハラシュトラ州や首都圏デリーはじめ、レッドゾーン州はほとんどが州単位の、期間はまちまちながら、ローカル・ロックダウンを敷いていますした。編集注は筆者と関係ありません)。