ギャルリー志門で35周年記念第2弾で海老塚耕一展、彫刻と版画

【銀座新聞ニュース=2022年9月12日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル、03-3541-2511)は9月12日から24日まで「ギャルリー志門35周年記念特別企画」第2弾として、海老塚耕一さんによる個展「水・やわらぎの家」を開いている。

ギャルリー志門で9月12日から24日まで開かれる「ギャルリー志門35周年記念特別企画」第2弾の海老塚耕一さんの個展のフライヤー。

ギャルリー志門は1987年1月に代表取締役の谷田部美子(旧姓深井)さんが銀座・並木通りに創業し、同年12月に法人化した。次世代を担う日本とアジアの若手、中堅の美術家の展覧会などを中心に紹介し、2005年3月に現在の場所に移転し、展示スペースを2倍にした。谷田部美子さんは「美術作品には、オリジナリティ、優れたテクニック、コンセプト、メッセージ性、高い精神性、洗練された表現」などが必要と考え、「いつの時代も芸術は人間が作るものであり、人間の精神のあり方を表現する」としている。

また、画廊の中にカウンターを設置して、「ギャラリーバー(BAR)」としてアルコール類を飲めるようにしてある。

その35周年を記念して、第1弾として6月に渡辺豊重さんの個展を開き、第2弾として海老塚耕一さんの新作展を開く。第3弾は11月21日から12月3日の安藤栄作さんの新作展を予定している。

今回は多摩美術大学名誉教授で、彫刻家、版画家の海老塚耕一さんが「水・やわらぎの家」と題して新作を中心に個展を開いている。また、海老塚耕一さんは2021年12月から2022年1月にかけて多摩美術大学美術館にて多摩美術大学教授としての退職記念展を開いている。

多摩美術大学によると、海老塚耕一さんは石・木・鉄・水といった異素材を組み合わせ、空間に拡張していくような彫刻作品を制作している。1980年代は主な素材に木を使用し、鑑賞者を内包する舞台装置のような作品「連関作用」シリーズを展開し、1990年代以降は「境界・端・限界」への関心から、それらを思考するための要素として定型をもたない「水」や「風」を主題に、彫刻のみならず版画作品も制作している。

海老塚耕一さんは「見える」ことと「わかる」ことの不確かさを問い、流れるもの、固定されないもの、浸透するものと、物質を通じて交感しようと試みているという。また、最近の作品では、海老塚耕一さんは「空無から生じる風景」という言葉をあてているとしている。

海老塚耕一さんは1951年神奈川県横浜市生まれ、父親は画家の海老塚市太郎(1927年生まれ)さん、1975年に多摩美術大学美術学部建築科を卒業、1977年に同大学大学院美術研究科を修了、1986年に第6回インド・トリエンナーレ ゴールド・メダル、1988年に第4回アジアンアート・ビエンナーレで最優秀作家賞、1991年に第15回平櫛田中賞、2001年に「第19回現代日本彫刻展」で神奈川県立近代美術館賞、2003年に第14回タカシマヤ美術賞を受賞している。2022年に多摩美術大学教授を退職している。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、日曜は休み、入場は無料。