丸善日本橋で草乃しずか、髙尾朱子が「日本刺繍と帯」展、相談会も

【銀座新聞ニュース=2023年3月12日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(東京都中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は3月15日から21日まで3階ギャラリーで「刺繍作家・草乃しずかと帯匠桝屋髙尾・髙尾朱子の美世界」を開く。

丸善・日本橋店で3月15日から21日まで開かれる「刺繍作家・草乃しずかと帯匠桝屋髙尾・髙尾朱子の美世界」のフライヤー。

「アトリエ 草乃しずか」(杉並区浜田山3-15-17、03-5969-8402)を主宰する刺繍(ししゅう)作家の草乃(くさの)しずかさんは「雪月花」をテーマに日本の美しい情景を刺繍の輝きで表現した着物と、それに合わせて「桝屋髙尾」(京都府京都市北区北野西白梅町77、075-464-0500)の4代目社長、髙尾朱子(しゅうこ)さんが中心になって作りあげてきた帯などを展示する。

ウイキペディアなどによると、日本刺繍は絹の生地に金銀糸と絹糸で、刺繍台に固定した生地に両手を使って刺していく刺繍のことをいう。主に着物や帯、相撲の化粧廻し、日本人形に用いられている。古くは甲冑などに施されていた。日本刺繍に使う絹糸には撚(よ)りがかけられてなく、自分で撚りの強さを調整したり、複数の色の糸を組み合わせたりして、色合いや光沢を変え複雑な模様を表現できる。

日本刺繍は生産地によって呼び名が変わり、京都では京繍、江戸(東京)では江戸刺繍、加賀(金沢)では加賀繍と呼ばれる。

また、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」では、経産省が認定する伝統工芸は国からの指定によって保護や援助を受けられるが、日本刺繍では「京繍」と「加賀繍」が指定されている。ただ、現在、市販されている着物や帯に施されているもののほとんどは機械刺繍で、手作業による日本刺繍は貴重で珍しい。

歴史的には、西暦500年ころにインドから中国のシルクロードを経て伝えられた「繍仏(しゅうぶつ)」にあり、「繍仏」とは仏像を刺繍によって表現する技法という。日本で特に「繍仏」が広まったのは、寺や仏像が盛んに作られた推古天皇(554-628)の時代で、日本でも「繍仏」の制作が広く行われていた。

現存している最古の「繍仏」としては聖徳太子(574-622)の死去を悼んで、妃の橘大郎女(たちばなの・おおいらつめ、生没年不詳)が622年ころに作らせたという、「天寿国曼荼羅繍帳(てんじゅこく・まんだら・しゅうちょう)」があげられ、今でも奈良県の中宮寺に保管されている。文献上で最初に登場する「繍仏」は605年日本書紀に「飛鳥寺に安置する銅・繍の丈六の仏像をそれぞれ造らせる」との記載がある。

平安時代には貴族の衣服の装飾や、雅楽の衣装に活用され、桃山時代には芸能装束に用いられた。江戸時代には小袖や打掛、寺社装飾の打敷(うちしき)に需要が多く、また刺繍の掛袱紗(かけふくさ)は嫁入り道具に欠かせず、安定した注文があった。明治から昭和初期にかけては、外国向けに質が高い刺繍絵画作品が数多く制作され、外貨獲得に貢献した。

草乃しずかさんは石川県羽咋市生まれ、1969年からフランス刺繍作家の森山多喜子さんにフランス刺繍を学び、1971年から丹羽正明さんから日本刺繍を学び、1978年からNHK文化センターの講師を務め、1979年に西武百貨店で個展を開き、1996年に銀座ミキモトホールで個展を開き、2000年に「雪月花」をテーマに百貨店で刺繍展を開き、2002年に椿山荘で「源氏物語日本刺繍展」を開き、2004年に日本橋高島屋などで源氏物語54帖をモチーフにした「源氏物語そして命の輝き」展を開いた。

2013年に英国で刺繍展と講習会を開き、2015年に台湾「国父記念館」で「現代刺繍展」を開く。現在も「雪月花」をテーマに日本の四季や明治時代の文様を日本刺繍に取り入れた作品を発表している。

桝屋髙尾は1960年11月創業で、3代目社長で、現在会長の髙尾弘(ひろむ)さんが1977年に徳川美術館(愛知県名古屋市東区徳川町1017、052-935-6262)の「黄金のねん金袱紗(ふくさ)」の復元を依頼され、1979年に復元に成功し、その後、この「ねん金糸」を使って帯を制作し、今や「ねん金綴錦」は実用新案として特許庁に登録されている。

桝屋髙尾は1979年に白鶴美術館の「白鶴間道文カーテン」を復元し、1984年に「ねん金綴錦」を考案し、1996年に皇室デザイナーの植田いつ子さんの依頼により、美智子上皇后の服地を制作、2008年に東京ホテルモントレ銀座で「髙尾弘創作展」を開いた。

髙尾朱子さんは京都府生まれ、大学卒業後は服飾系企業に就職し、宝飾品の担当として、催事企画から実行・販売までを行っていたが、入社から6年目に退職し、家業の桝屋髙尾に入社した。2015年3月3日に髙尾弘さんが会長に就き、髙尾朱子さんが代表取締役社長に就任した。

19日13時と21日11時に髙尾朱子さんと月刊誌「家庭画報」(世界画報社)や「きものサロン(Salon)」(世界文化社)などで女優の着物コーディネートなどを手がけてきた編集者の相澤慶子さんによる「美人きもののひと匙のコツ」についてのトークショーと、「きもの着こなし相談会」を開く。希望者は事前に丸善・日本橋店に申し込む。

相澤慶子さんは女性誌の着物のページの編集やスタイリングなどを30年以上にわたって手がけ、女優や著名人の着物のスタイリングも行っている

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)。