(終わりの方に参考として4月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2023年6月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の5月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは20カ月連続となっている。
5月は日曜日が前年より1日少なかったものの、引き続き「高付加価値商品の購買意欲が高く」(三越伊勢丹ホールディングス)、「夏物衣料などが堅調」(高島屋)だった。また「GW期間の売り上げが好調に推移」(J.フロントリテーリング)したことも大きい。さらに、各店舗とも訪日外国人観光客売上高(免税売上、インバウンド)が好調に推移している。
三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比12.5%増(4月速報値15.9%増、確定値18.1%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、4月の商品別では、子ども服・洋品、呉服寝具他、家具インテリア、家電、家庭用品がマイナス)と店頭ベースでは21カ月続けて前年を上回った。
一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同37.1%増(同速報値41.4%増、確定値41.4%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、4月の商品別では全商品ともプラス、とくに家具インテリアは122.6%増と倍増)と21カ月続けてプラスとなった。
5月も伊勢丹新宿店と三越日本橋店では、引き続き高付加価値な商品への購買意欲が高く、宝飾、ハンドバッグ、財布が特に好調だった。化粧品についてはマスクの制限が緩和されたことによりベースメイクや口紅の動きが好調としている。
また、訪日外国人観光客売上高(免税売上、インバウンド)はラグジュアリーブランドのハンドバッグ、宝飾品などへの関心の高さが引き続き続いており、首都圏店舗を中心に好調に推移している。
日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同2.1%増(同速報値11.7%増、確定値11.6%増)と20カ月続けてプラスとなった。
5月は、旅行需要が高まったGW期間中(1日から7日)、2.4%増で推移し、8日以降は新型コロナウイルスの5類移行の影響もあり、夏物衣料などが堅調だった。全店ベースの商品別売り上げ(高島屋14店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、呉服、子ども情報ホビー、スポーツ、美術、食料品、食堂が前年実績を上回った。
5月の全店の店頭売上高は同6.3%増(2019年5月比0.9%減)、訪日外国人観光客売上高は254.8%増(2019年5月比20.4%減)、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は0.9%増(2019年5月比1.0%増)だった。
J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同30.7%増(同速報値38.5%増、確定値38.8%増)と20カ月続けてプラスとなった(4月の全店の商品別売り上げは家具・その他がマイナス)。
5月はGW期間の売り上げが好調に推移し、ラグジュアリーブランド、美術・宝飾品も好調を持続し、化粧品が前年の3割増と大きく伸ばした。入店客数が大きく回復している東京店、梅田店、ラグジュアリーブランドの売り上げが好調な心斎橋店などが高い伸び率を示した。
大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は、前年比378.4%増(客数2828.2%増、客単価同83.7%減、2019年5月比で42.0%減、2018年5月比28.8%減)であった。
また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などと博多大丸、高知大丸を除く13店)は2022年5月比で13.3%増、2019年5月比1.3%減、2018年5月比1.0%増だった。国内売上高(訪日外国人観光客売上高を除く)は同7.2%増、2019年5月比で4.2%増、2018年5月比4.3%増だった。
松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同42.7%増(同速報値44.8%増、確定値44.8%増、4月の商品別では紳士服・洋品、呉服寝具ほか、家電がマイナス)と20カ月続けてプラスとなった。
5月の銀座店は、前年に対して約4割超、2019年5月比でも約17%増だった。化粧品は前年比約64%増、ラグジュアリーブランドは同約77%増(2019年5月比約57%増)、時計も同85%増になるなど銀座店の強みとなるカテゴリーが、富裕層を中心とした国内のお客を軸に好調に推移した。
また、訪日外国人観光客売上高については、主に台湾、韓国、香港、タイなどの東南アジアの国々、加えて欧米からのお客が急増し、為替の変動はあるものの、引き続き、その売り上げが力強く牽引している(訪日外国人観光客売上高の銀座店全体に占めるシェアは、約27%超、コロナ前は平均約25%の水準)。
日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内70社181店舗(総従業員5万240675人)の4月の売上高は前年同月比8.6%増の4088億1203万円と、14カ月続けてプラスとなった。
4月は増勢が続くラグジュアリーブランドなどの高付加価値商材に加え、天候与件や旅行・行事に伴う外出機会の増加、マスク着用ルール緩和などから身のまわり品や衣料品、化粧品などが高い伸びを示した。各社が展開した外商催事や会員向施策、物産展などの各種イベントも活況で、集客と売り上げに寄与した。GW前半も、各社のさまざまな企画が奏功し盛況だった。入店客数は6.6%増(14カ月連続)、2019年4月比では19.7%減だった。
顧客別では、訪日外国人観光客売上高が209.9%増(206億円、13カ月連続増、シェア5.1%)と高伸が続いており、売上全体に占めるシェアは前月より0.8ポイント上昇した。購買客数も約22万人とコロナ禍(2020年2月)以降、初めて20万人を超えた。国内市場も5.0%増(14カ月連続、シェア94.9%)と好調に推移している。2019年4月比では、訪日外国人観光客売上高が40.0%減とコロナ前の6割まで回復、国内市場は3.4%減と、前月より1.1ポイント改善している。
地区別では、都市(10都市、19カ月連続プラス)が、訪日外国人観光客効果などから全地区で前年をクリアし、11.2%増と二桁の伸びを示した。地方(10都市以外の7地区)も6地区でプラスとなり、1.2%増と4カ月連続でプラスだった。
商品別では、主要5品目のうち4品目で前年実績を超え、なかでも衣料品と身のまわり品は二桁の伸びを示した。外出機会の増加や気温上昇などから、フォーマルやビジネス、カジュアルなど、幅広いアイテムで動きを見せた。アウターや軽衣料、バッグ、アクセサリー、靴、旅行用品も引き続き好調だった。化粧品では、マスク着用緩和からメイクアイテムの需要が強く、食料品では催事の他、手土産や行楽などにより菓子や惣菜が好調だった。
全国の百貨店の4月の営業日数は前年同月比0.1日増の29.9日、105店舗の回答によると、入店客は63店が増え、17店が減ったとし、83店舗の回答によると4月の歳時記(春物商戦、GW)の売り上げについては21店が増え、8店が減ったとしている。
東京地区(12社22店)の4月の売上高は前年同月比11.5%増の1220億0746万円と、20カ月続けてプラスとなった。2019年4月比では3.0%減(3月比2.8%減、2月比4.6%減、1月比4.2%減)と回復基調は続いている。
国内88店舗の訪日外国人観光客需要の4月の売上高は同209.9%増の約206億5000万円と13カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが5.1%としている。
このうち、一般物品売上高は同200.6%増の約180億9000万円と25カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が同296.8%増の約25億6000万円と9カ月続けてプラス、購買客数が同1517.3%増の22万人と12カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同80.8%減の約9万1000円で、11カ月続けて前年を下回った。
人気のあった商品(11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・洋品が上位に入った。
免税手続きカウンターの来店の多かった国(11月からランキングなし)は台湾、中国本土、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシアとなっている。