丸善日本橋で関修一「原画」展、TAAF顕彰で岩井清志と対談も

【銀座新聞ニュース=2024年3月23日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は3月27日から4月2日まで3階ギャラリーで関修一さんによる原画展を開く。

丸善・日本橋店で3月27日から4月2日まで開かれる「関修一原画展」に出品される関修一さんの「この下を必ず通るはずだ」((C)ZUIYO「小さなバイキングビッケ」)。

キャラクターデザイナー、アニメーターの関修一さんが2009年、2010年、2012年から2015年、2017年から2023年に続いて開く13回目の個展で、1970年代から1990年代後半にかけてフジテレビ系「世界名作劇場」のキャラクターデザインを多数手がけた中から「小さなバイキング ビッケ」(1972年)、「トム・ソーヤーの冒険」(1980年)、「ペリーヌ物語」(1978年)など、最新原画を含む25点と版画を展示販売する。

また、関修一さんが3月に「TAAF2024 アニメ功労部門」で顕彰されたことから、30日14時からキャラクターデザインを手がけた「レベッカ」(2020年)の上映会、関修一さんとビッケコレクターとして知られ、ネットで「海賊印刷」を運営する「岩井眼鏡店」(茨城県古河市横山町2-8-9)の経営者、岩井清志さんとギャラリートークを行う。

公式サイトによると、東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)は2002年から2013年まで開かれた「東京国際アニメフェア」の一環として行われた「東京アニメアワード」を独立、発展させた国際アニメ映画祭で、2014年より開かれ、2024年で11回目となる。

日本国内で未興行の世界のアニメ作品を対象にした「コンペティション部門」、日本国内で発表されたアニメ作品を対象とした「アニメ オブ ザ(ジ)イヤー部門」、アニメ業界に貢献された人たちを顕彰し、先人の歴史、技術、生き様を伝える「アニメ功労部門」を中心に実施している。「アニメ功労部門」は2005年に設置され、2024年で20回目となり、総勢207人を顕彰している。

「TAAFアニメ功労部門」は日本初のアニメ作品が劇場公開された1917年から、テレビアニメの本格的登場を経て、最初の大きなアニメブームが花開いた1970年代末(1979年)までの期間をおもな範囲とし、その間に公開・放映された劇場・テレビ作品において重要な芸術的、技術的な貢献をされ、その後も継続的に活躍している人たちを対象としている。

2024年3月の「TAAF2024 アニメ功労部門」は創通代表取締役社長で、プロデューサーの加藤俊三さん(1946年生まれ)、アニメの原作者、マンガ家の鳥山明(1955-2024)、アニメ脚本家の富田祐弘(すけひろ)さん(1948年生まれ)、アニメ監督の髙橋良輔さん(1943年生まれ)さん、作曲家、音楽家の大野雄二さん(1941年生まれ)、声優の古川登志夫さん(1946年生まれ)、デュプロシステム株式会社の山本力(つとむ)さんと共に、アニメーターの関修一さんも顕彰された。

ウイキペディアによると、「世界名作劇場」は一般には1969年の「ムーミン」以後の作品を指すが、「日本アニメーション」の公式では1975年1月の「フランダースの犬」以後としている。すべての作品はフジテレビ系で毎週日曜日19時30分より放送されている。ただし、「世界名作劇場」という名前がついたのは1979年放送の「赤毛のアン」以降であり、それまでは「カルピスこども劇場」や「カルピスファミリー劇場」という名前がついていた。

「赤毛のアン」以降は提供がカルピス1社だけでなくなったためシリーズ名を何度か変更している。オリジナル作品の「七つの海のティコ」を除けば、ほとんどの作品において、原作者がすでに故人であることが多く、放送期間中に原作者が存命だった作品は「南の虹のルーシー」(1982年)、「アルプス物語 わたしのアンネット」(1983年)、「大草原の小さな天使 ブッシュベイビー」(1992年)、「こんにちはアン-ビフォア・グリーン・ゲーブルズ(Before Green Gables)」(2009年)の4作のみ。

「小さなバイキングビッケ」は1972年にドイツのZDFと日本のズイヨー映像の共同で制作されたテレビアニメで、当初はZDFが人形劇アニメを企画したが、後に国際共同制作として瑞鷹にテレビアニメを依頼し、1972年から1974年にかけて1話23分の全78話と、85分の長編アニメが制作された。原作はスウェーデンの児童文学作家、ルーネル・ヨンソン (Runer Jonsson、1916-2006)の「小さなバイキング」だ。

ドイツでは1974年1月31日から8月8日までZDFでは26話が放送され、残りの52話は1975年3月5日から放送された。オーストリアでは1974年2月17日からORFにて放送され、日本では1974年4月3日から1975年9月24日にかけてフジテレビ系で放送された。2009年にはテレビアニメを元にした実写映画が制作されている。

主人公の名前はZDFのドイツ版や英語版などでは「ヴィッキー」となるが、日本版では原作和訳版を元にした「ビッケ」が用いられる。

「トム・ソーヤーの冒険」はフジテレビ系で1980年1月6日から12月28日で全49話が放送されたテレビアニメで、原作はアメリカの作家、マーク・トウェイン(Mark Twain、1835-1910)の同名小説(The Adventures of Tom Sawyer)だ。

「ペリーヌ物語」は1978年1月1日から12月31日までフジテレビ系列で全53話が放送され、「世界名作劇場」の第4作に当たり、1978年に文化庁こども向けテレビ用優秀映画作品賞を受賞している。原作はフランスの小説家、エクトール・アンリ・マロ(Hector Henri Malot、1830-1907)の「アン・ファミーユ(En famille、家族と共に)」(邦題「家なき娘」)だ。

関修一さんは1946年東京都大田区生まれ、1966年に日本デザインスクールグラフィックデザイン科に入学、在学中の1967年に「TCJ」(現エイケン)に入社、美術担当として背景などを描いていたが、1968年に「サスケ」の動画を担当、1969年に「カムイ外伝」でキャラクターデザインを手がけ、「世界名作劇場」をはじめ、日本アニメの作品で多くのキャラクターデザインを担当し、1970年にエイケンを退社、「ブラックジャック」(2004年)や「ドラえもん」(2005年)などのテレビアニメの原画なども手がけた。

劇場アニメとしては「ペリーヌ物語」(制作は1980年、公開は1990年)のキャラクターデザイン、1995年に「2112年 ドラえもん誕生」の原画を手掛けた。劇場アニメ版の「ドラえもん」シリーズとしては、2004年の「のび太のワンニャン時空伝」(原画)、2006年の「のび太の恐竜2006」(原画)、2009年の「新・のび太の宇宙開拓史」(原画)、2013年の「のび太のひみつ道具博物館」(原画)、2014年「新・のび太の大魔境ーペコと5人の探検隊」(原画)を担当し、現在、フリーとして活動している。

期間中、27日9時30分から16時まで関修一さんが来場する。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)、入場は無料。27日9時から丸善・日本橋店1階さくら通り側入口で原画購入の抽選会を開く(1人1回)。抽選会後に、会場では9時30分までに整理券の番号順に並び、購入できる。30日は定員30人で、事前に予約する(電話は03-6214-2001)。