日比谷「ゴジラ」70周年記念上映で富山省吾が挨拶

【銀座新聞ニュース=2024年6月28日】阪急阪神東宝グループで、映画の制作配給、演劇の興行などの国内最大手、東宝(千代田区有楽町1-2-2、東宝日比谷ビル、03-3591-1221)は7月5日から18日までTOHOシネマズ日比谷(千代田区有楽町1-1-3、東京宝塚ビル、050-6868-5068)で「ゴジラ生誕70周年記念上映『ゴジラ・シアター』」を開く。

7月から11月まで配布される「ゴジラ生誕70周年記念上映『ゴジラ・シアター』」のステッカー(TM&(C)TOHO CO.,LTD)。

「ゴジラ」は1954年11月3日に公開された、巨大怪獣ゴジラが登場するゴジラシリーズ第1作で、日本の怪獣映画の元祖となる。今年生誕70周年になることから、7月から11月までの5カ月間、第1作「ゴジラ」(1954年11月3日公開)、第3作「キングコング対ゴジラ」(上映は4Kデジタルリマスター版、1962年8月11日公開)、第17作「ゴジラVSビオランテ」(上映は4Kデジタルリマスター版、1989年12月16日公開)、第5作「三大怪獣 地球最大の決戦」(上映は4Kデジタルリマスター版、1964年12月20日公開)を再上映する。

7月は第1作目の「ゴジラ」で、この制作には関わっていないものの、後に「ゴジラ」シリーズのプロデューサーとなる富山省吾さん(元東宝映画社長)が5日19時の回上映終了後に舞台に登場して、「ゴジラ」のエピソードなどを語る。

ウイキペディアによると、第1作目の「ゴジラ」は海底の洞窟に潜んでいた侏羅紀(ジュラ紀)の怪獣「ゴジラ」がたび重なる水爆実験で安住の地を追われ、東京に上陸して破壊の限りを尽くすという物語。監督は本多猪四郎(いしろう、1911-1993)、原作は「怪獣ゴジラ」(1954年、岩谷書店)を刊行した香山滋(かやま・しげる、1904-1975)が原案を提示、脚本は村田武雄(1908-1994)と本多猪四郎、特殊技術は円谷英二(つぶらや・えいじ、1901-1970)、製作 は田中友幸(1910-1997)、音楽は伊福部昭(1914-2006)、出演者は宝田明(1934-2022)、河内桃子(1932-1998)、平田昭彦(1927-1984)ら。

同年に発生した「第五福竜丸事件」(1954年3月1日にアメリカがビキニ環礁で行った水素爆弾実験場の付近に居合わせ、多量の放射性降下物(死の灰)を浴びた、乗組員23人の遠洋マグロ漁船で、無線長久保山愛吉が被爆から約半年後の9月23日に死亡、政府調査によれば同時に被曝した船が1422隻)を背景に、反核や文明批判をテーマとした濃密な人間ドラマは単なる娯楽映画の粋を超えていると高く評価され、その後の日本映画界に大きな影響を与えた。配給収入は1億5000万円、1番館での封切り動員だけで観客動員数は961万人。

8月は1962年公開の第3作「キングコング対ゴジラ」で、監督は本多猪四郎、特撮は円谷英二、脚本は関沢新一(1920-1992)、製作は田中友幸、音楽は伊福部昭、出演者は高島忠夫(1930-2019)、佐原健二さん(1932年生まれ)、藤木悠(1931-2005)、浜美枝さん(1943年生まれ)ら。制作費は1億5000万円、配給収入は3億5010万円、観客動員数はゴジラシリーズ最大の1120万人。

物語は自社提供のテレビ番組「世界驚異シリーズ」の聴取率不振に頭を痛めるパシフィック製薬宣伝部長の多湖は、南太平洋メラネシアに属するソロモン諸島の南部に位置するファロ島に伝わる「巨大なる魔神」が目覚めたという噂を仕入れ、これを聴取率アップの決定打にしようと企む。提携先のテレビ局のカメラマン・社会教育部員の桜井と古江はたった2人の探検隊として仕立てられ、ファロ島へ派遣される。乗り気でない桜井に対し、時を同じくして妹のふみ子のフィアンセ・藤田は、新開発の特殊繊維のテストをするため、しばらく日本を離れるという。

一方、北極海では海水の温度上昇が始まり、調査のために原潜シーホーク号が国連派遣の科学者を乗せて現地へ向かう。海上には青白く発光する氷山があったが、実はそれこそが大阪市でアンギラスとの戦いを終え、神子島で氷漬けにされたまま行方不明となっていたゴジラが眠る氷塊だった。まもなく氷が解けたことで目覚めたゴジラは原潜を沈め、某国基地を破壊して移動する。

9月は1989年公開の17作目「ゴジラvsビオランテ」で、監督は大森一樹(1952-2022)、特撮は川北紘一(1942-2014)、脚本は大森一樹、原案は小林晋一郎さん(1955年生まれ)、製作は富山省吾さん、製作総指揮は田中友幸、音楽はすぎやまこういち(1931-2021)、伊福部昭、出演者は三田村邦彦さん(1953年生まれ)、田中好子(1942-2014)、高嶋政伸さん(1966年生まれ)、小高恵美さん(1972年生まれ)ら。制作費は7億円、配給収入は10億4000万円。

平成ゴジラシリーズの原点となる第16作「ゴジラ」(1984年公開)の直接の続編であり、復活したゴジラが新たに出現したバイオ怪獣ビオランテと対決する。本作品は、以降の平成VSシリーズでメインキャラクターとなる超能力者・三枝未希の初登場作品でもある。また、本作品はミニチュアセットですべての市街地を再現した最後のシリーズ作品でもあり、次作「ゴジラvsキングギドラ」以降はCGによる描画が増えていく。

作品はゴジラとビオランテの対決よりも「ゴジラ対自衛隊」の対決に主軸を置き、ゴジラは「特殊災害」と規定され、4段階の警戒態勢が設けられる。放射熱線を反射して対抗できる「スーパーX2」や、ゴジラのエネルギー源である核物質を食べるバクテリアから作られた「抗核エネルギーバクテリア」 (ANEB) など、先端技術を投入して開発された超兵器に加え、三枝未希の超能力も自衛隊の戦力として運用されている。

物語は1985年、ゴジラ襲撃から一夜明けた新宿で、自衛隊が廃墟内の残留放射能検査やスーパーXの回収を進める一方、ゴジラの体組織であるG細胞の破片を回収する作業が行なわれていた。その最中、アメリカのバイオメジャーもG細胞の採取に成功したところを自衛隊に発見され、銃撃戦となる。

バイオメジャーは辛くも逃げ切るが、サラジア共和国のサラジア・シークレット・サービス工作員のSSS9によって全員とも射殺され、G細胞を奪取される。サラジアへ運ばれたG細胞は、白神源壱郎博士の研究室にて小麦などの作物と融合させ、砂漠でも育つ植物・スーパープラントを生む実験に使用されていた。しかし、G細胞の争奪戦に敗れたバイオメジャーの策略で研究室は爆破され、源壱郎はG細胞とともに最愛の娘・英理加を失い、研究を完成させる前に帰国し、5年間芦ノ湖の研究所に隠遁する。

10月から11月にかけては、1964年公開の第5作「三大怪獣 地球最大の決戦」で、監督は本多猪四郎、特撮は円谷英二、脚本は関沢新一)、製作は田中友幸、音楽は伊福部昭、出演者は夏木陽介(1936-2018)、星由里子(1943-2018)、若林映子(あきこ)さん(1939年生まれ)、小泉博(1926-2015)ら。制作費は1億3343万円、配給収入は2億1000万円、観客動員数は432万人。

作品はゴジラシリーズ史上、ゴジラが初めて善玉として描かれ、以前とは立場を変えることになった作品となっている。常に「人類の脅威」であるゴジラを描くという作品姿勢も転機を迎え、以降の作品は怪獣同士の格闘劇が主になっていく。シリーズ最大の悪役(敵役)怪獣とされているキングギドラが初登場した作品でもあるが、タイトルの「三大怪獣」とは、地球の三大怪獣であるゴジラ、ラドン、モスラのことで、宇宙超怪獣のキングギドラは含まれていない。怪獣たちの最終決戦の場は第3作の「キングコング対ゴジラ」でも採用された富士山麓周辺であり、輸出を意識したロケーションとなっている。

物語は異常な温暖異変に見舞われた日本に、1つの巨大な隕石が黒部峡谷へ落下した。時を同じくして、警視庁の進藤刑事は非公式で日本に極秘来日するセルジナ公国のサルノ王女の護衛を命じられたが、彼女を乗せた特別機は暗殺者の仕掛けた爆弾によって墜落したことでそれは取り下げられる。

その後、金星人を名乗って地球の大変動を訴える男装の女性が東京に現れたが、予言を信じる者はいなかった。しかし、男装の女性が再び阿蘇山に姿を現し、ラドンの復活を予言すると、その直後に予言どおり、地殻に溜まった火山ガスの作用によって、阿蘇山の火口からラドンが出現する。

富山省吾さんは1952年沖縄県生まれ、東京都育ち、1975年に早稲田大学第一文学部を卒業、東宝に入社、宣伝部に配属され、1983年に東宝映画に出向し、企画部に配属、1986年に映画「恋する女たち」でプロデューサーとしてデビュー、以後、多くの作品にプロデューサーとして参加、その後、企画部部長、1989年に「ゴジラvsビオランテ」から田中友幸(1910-1997)を補佐する形でゴジラシリーズのプロデューサーとして参加、1994年に「ゴジラvsスペースゴジラ」で「共同製作」とクレジットされ、1995年4月より東宝映画取締役、「ゴジラvsデストロイア」では田中友幸と連名で「製作」に名を連ねた。

1996年に「モスラ」から製作としてクレジットされ、田中友幸に代わり、本格的に東宝特撮映画のプロデューサーとなり、2004年4月に東宝映画第4代取締役社長に就任、2010年3月31日で社長を退任、2013年に日本アカデミー賞協会の事務局長、その傍ら、「若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)」(2006年から活動)のスーパーバイザーとして若手の育成に尽力、2018年4月に日本映画大学理事長に就任、「プロデュースワークショップ」を開講している。ほかに城戸賞、毎日映画コンクール選考委員、芸術選奨、映画制作適正化機関審議委員を務めている。

チケットは28日0時からオンラインで、28日劇場オープン時から窓口で販売する。料金は一般1300円、大学生以下500円。