中央の百貨店6月、5店共プラス、訪日外国人向け倍増で推移

(終わりの方に参考として5月の百貨店業界の売上高と訪日外国人観光客売上高の数字を入れてます)
【銀座新聞ニュース=2024年7月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の6月の売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは30カ月連続となっている。

6月の売上高が39.2%増と、好調な銀座三越。

6月は休日数が前年比2日増だったこともあり、国内売上高も高島屋で前年同月比8.3%増、大丸松坂屋百貨店で同7.4%増などプラスに効果し、また、訪日外国人観光客売上高(免税、インバウンド)が「5月に続き、2番目の高い実績で好調に推移」(三越伊勢丹ホールディングス)するなど、外国人売上高が各百貨店とも2倍以上で推移している。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比17.2%増(5月速報値16.9%増、確定値15.7%増、小型店舗を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、5月の商品別では、食料品とその他がマイナスで、ほかはプラス)と店頭ベースでは34カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同39.2%増(同速報値36.1%増、確定値36.1%増、但し空港型免税店の売り上げを除く、5月の商品別では呉服寝具他、サービス、その他がマイナス、ほかはプラス)と33カ月続けてプラスとなった。

6月は伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越を中心に、引き続き高付加価値商品の売り上げが牽引し、前年比は三越伊勢丹計で同24.2%増、国内百貨店計で19.0%増であった。また、伊勢丹新宿本店、日本橋三越、銀座三越の3店舗共に12カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。

商品別では、5月までと同様に、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの衣料品、ハンドバッグ、宝飾、化粧品などが引き続き好調だった。また、気温上昇に伴い、サングラス、ブラウス、パンツなどの夏物アイテムへの関心も高かった。

訪日外国人観光客売上高(免税、インバウンド)は、国内百貨店計(既存店)で単月最高だった5月に続き、2番目の高い実績で好調に推移している。全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同19.0%増(同速報値21.8%増、確定値21.8%増)と33カ月続けてプラスとなった(5月の高島屋の商品別売り上げは子ども服・洋品、その他衣料品、生鮮食品、食堂・喫茶がマイナス)。

6月の店頭売上高は、国内百貨店計(13店舗+EC)で同17.1%増、2019年6月比20.8%増、2018年6月比21.9%増だった。国内顧客は、梅雨に入ったことで晴雨兼用傘や、寒暖差対応のジャケットなどに動きが見られた。また、訪日外国人観光客売上高は引き続きラグジュアリーブランドを中心とする高額品が伸長し、全体を押し上げた。

6月の訪日外国人観光客売上高は同119.6%増、2019年6月比158.8%増、2018年6月比138.2%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売上高は同8.3%増、2019年6月比10.5%増、2018年6月比12.4%増だった。

商品別売上高(14店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、子ども情報ホビー、スポーツ、リビング、美術、食料品、サービスが前年実績を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同14.4%増(同速報値9.5%増、確定値9.5%増)と33カ月続けてプラスとなった(5月の全店の商品別売り上げはその他衣料品、その他雑貨、家具、菓子、惣菜、その他食料品、サービスがマイナス、他はプラス、5月の訪日外国人観光客売上高は前年同月比273.9%増、訪日外国人売上高を除いた国内売上高は同3.5%増)。

6月は、気温の上昇に伴いパラソル、サングラスやUVケア商品などが活発に動き、ラグジュアリーブランドや化粧品も好調を持続した。また、外商売り上げも対前年比ふた桁増となるなど好調に推移し、休日数も前年比2日増であったことなどから、大丸松坂屋百貨店合計では前年19.8%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では同20.2%増となった。店舗別では、15店舗中14店舗が前年実績を上回った。

訪日外国人観光客売上高(速報値)は、名古屋店、札幌店、京都店などが高い伸び率を示し、好調店舗が全国に広がっていることなどから、前年比135.9%増(客数同93.8%増、客単価同21.7%増)となった。2019年6月比114.1%増、2018年6月比140.2%増だった。

また、大丸松坂屋百貨店合計(既存店、法人・本社などを除く13店舗)の売上高は同18.9%増、うち訪日外国人観光客売上高を除く国内売上高は同7.4%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同35.2%増(同速報値43.6%増、確定値43.6%増、5月の商品別では家庭用品、食料品、サービス、その他がマイナス)と33カ月続けてプラスとなった。

6月の銀座店は、化粧品が前年比約63%増、ラグジュアリーブランドが同約71%増、時計が同67%増、宝飾が同12%増になるなど、銀座店の強みとなるカテゴリーを軸に大幅に伸ばした。訪日外国人観光客売上高は円安などの要因もあり、前年比約135%増となるなど力強く牽引した(訪日外国人観光客売上高が銀座店全体に占める割合は約55%)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内71社177店舗(4月対比0店)の5月の売上高(店舗数調整後)は前年同月比14.4%増の4692億9553万円と、27カ月続けてプラスとなり、好調を維持している(2019年5月比8.9%増)。

訪日外国人観光客売上高(インバウンド)と、ラグジュアリーブランドや高級時計、美術・宝飾などの高付加価値商材が活況で、外出機会の増加や気温上昇に伴い、夏物商材が伸長し、主力の衣料品も好調に推移している。また、サングラスや扇子など季節雑貨も動いている。各社が企画したゴールンデンウィーク(GW)でのファミリーイベントや食品催事なども盛況で、外商催事、母の日商戦などの積極展開も奏功している。入店客数も2.0%増となった。

顧客別では、訪日外国人観光客売上高が、円安を追い風に同231.2%増の718億円(26カ月連続、シェア15.3%)と、3カ月連続で過去最高(2024年4月599億円、3月495億円)を更新、2019年5月比でも132.4%増と前月(74.4%増)より58.0ポイントもアップした。中国での労働節休暇(5月1日から5日)により、中国の購買客数と売り上げが大幅に伸びた。

一方、国内市場は前年比2.3%増(2カ月ぶりプラス、シェア84.7%)と好調で、2019年5月比ではほぼ同水準となった。

地区別では、増勢が続く訪日外国人観光客需要と高額品が好調な9地区(10都市ベースで、32カ月連続、19.4%増)で前年実績を超えた。この内、7地区(札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡)ではふた桁増を記録した。一方、6地区で前年割れとなった地方(10都市以外の7地区、1.1%減)は、2カ月続けてマイナスだった。

商品別では、主要5品目(衣料品、身の回り品、雑貨、家庭用品、食料品)のうち、4品目で前年をクリアした。このうち、高伸する身のまわり品や美術・宝飾・貴金属など高付加価値商材では一部商品で価格改定前の駆け込みも見られた。食料品は菓子が訪日外国人観光客需要やギフト需要で健闘したが、価格上昇の影響などを受け生鮮食品と惣菜が苦戦し、2カ月連続でマイナスとなった。

全国の百貨店の5月の営業日数は前年と同じ30.9日、102店舗の回答によると、入店客は48店が増え、34店が減ったとしている。

東京地区(12社22店)の5月の売上高は前年同月比17.3%増の1414億5864万円と、33カ月続けてプラスとなった。

国内87店舗の訪日外国人観光客による5月の売上高は同231.2%増の約718億7000万円と26カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが15.3%としている。

このうち、一般物品売上高は同243.4%増の約636億7000万円と38カ月続けてプラス、化粧品や食料品などの消耗品売上高が159.8%増の約82億円と22カ月続けてプラス、購買客数が同133.3%増の約56万6000人と25カ月続けてプラス、1人あたりの購買単価が同42.0%増の約12万6000円で、4カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品(2022年11月からランキングなし)は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服飾雑貨、紳士服・雑貨が上位に入った。

免税手続きカウンターへの来店の多かった国(2022年11月からランキングなし)は中国本土、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアとなっている。