東京メトロが「東洋初」銀座線復刻イベント、乗務員も復刻制服

【銀座新聞ニュース=2017年11月10日】東京地下鉄(東京メトロ、台東区東上野3-19-6、03-3837-7077)は12月17日に地下鉄復刻イベント「銀座線タイムスリップ」を実施する。

東京地下鉄が12月17日に開く「東洋初」の地下鉄復刻イベント「銀座線タイムスリップ」のポスター。

地下鉄開通90周年感謝祭「トウキョウ・メトロ・90デイズ・フェス(TOKYO METRO 90 Days FES)!」のスペシャル企画として、1927年12月30日の上野駅と浅草駅間の開通当時を題材とした、開通当時にタイムスリップした気分を体感できる復刻イベントを開く。

当日は地下鉄開通当時の復刻制服を着用した乗務員が添乗するイベント専用列車を運行し、ポイント通過時の室内予備灯の点灯を再現する。また、上野駅では10時から16時まで復刻制服を着用した駅係員が地下鉄開通90周年の歴史を解説したリーフレットを配布する。このイベントは、地下鉄開通時に「「東洋唯一の地下鉄道」という表現が使われたことから「東洋初の地下鉄復刻イベント」としている。

ウイキペディアなどによると、銀座線は東京地下鉄道が1925(大正14)年に着工し、1927(昭和2)年12月30日金曜日の浅草と上野間で営業を開始した日本で最初の地下鉄で、当初は乗車時間がわずか5分の区間に乗るため、2時間待ちの行列ができたという。

12月17日に使われる旧1000形をモチーフとした銀座線1000系特別仕様車。

1934(昭和9)年までに上野と新橋間が全通した。当時のポスターでは「東洋唯一の地下鉄道」というキャッチコピーが使われ、アジア・オセアニア地域では初めての地下鉄路線となっている。1番切符を手にし、最初に乗った乗客は原鉄道模型博物館の館長で、元コクヨ専務の原信太郎(はら・のぶたろう、1919-2014)で、同館には当時の新聞記事などが展示されている。

渋谷と新橋間は目黒蒲田電鉄系の「東京高速鉄道」により建設、運営され、1939(昭和14)年までに全通し、東京地下鉄道との相互乗り入れ運転が開始された。1941(昭和16)年7月に、両社は国策で設立された特殊法人「帝都高速度交通営団」(営団地下鉄)に統合された。

1945年1月27日に行われたアメリカ軍による空襲時には、爆弾の直撃により銀座駅や京橋駅が被害を受け、乗客多数が死亡し、さらに水道管の破裂により、日本橋駅と新橋駅間のトンネルが浸水したため、浅草駅と日本橋駅間、新橋駅と渋谷駅間で折り返し運転を行い、三越前駅と日本橋駅間は単線運転となった。5月25日には、渋谷検車区に着弾し、車両5両が焼損するなどの被害を受け、終戦時には在籍車両84両のうち、可動車は24両のみだった。

1946年には、修復が完了し、全線の運行が再開され、1949年には新型車両が導入され、1954年に丸ノ内線が開業する前年の1953年には、当線に「銀座線」の名称が付与され、2004年4月1日の営団の民営化に伴う「東京地下鉄」の発足に際しては、上野駅で発車式が行われた。

東京地下鉄(東京メトロ)の路線では丸ノ内線と銀座線のみが標準軌(線路の軌間、レール頭頂部の内側の間隔が1435ミリで新幹線も同じ、国鉄等狭軌が1067ミリ)で、「第三軌条集電方式」を採用しているため、駅進入部にデッドセクションが存在し、一部の車両では駅到着直前に室内灯が消灯し、代わりにバッテリー電源の非常灯が点灯していた。

また、前照灯も消灯し、扇風機の電源も切れた。現在、運用されている車両には引き通し線が装備されており、デッドセクション通過時も停電することはなくなったが、狭軌と架空電車線方式を採用している他社路線との直通運転は、形態的に困難なため、丸ノ内線と銀座線では実施されていない。

トンネル断面が小さいため、車両自体も小さく(東京地下鉄の車体の規格の中でもっとも小さく、1両の車両長が16メートル×6両で、1編成の長さは96メートル)、そのため、1両あたりの乗車定員は少なく、車内冷房装置の屋外機が屋根に取り付けられない、などの制約がある。これは建設費を節約したためとされている。当時は、初めての地下鉄建設とあって将来的な輸送需要見通しを立てるのが困難で、開業当時は十分な輸送力を持っていたが、現代では輸送力不足を招いている。

冷房装置については、車両冷房化が困難であったことにより、一般の鉄道車両において冷房装置搭載が一般的になった1983年から製造がはじまった「01系」も当初は非冷房で製造されたが、1990年頃になって薄型装置が開発されたことにより屋根上に搭載できるようになり、「01系」からは当初より冷房が搭載され、冷房装置なしで登場した01系にも冷房装置の設置が行われた。現在運用されている01系および1000系車両には全編成に冷房装置が取り付けられている。

浅草通りから中央通り、外堀通り、青山通りの地下を通って、浅草、上野、日本橋、銀座、新橋、虎ノ門、溜池、赤坂、青山、外苑前、表参道、渋谷といった東京都心のほとんどの繁華街やビジネス街を走る路線のため、利用客が多く、日中でも3分に1本の割合で運転されている。

この銀座線の混雑緩和のために建設された路線が半蔵門線であり、また銀座線は開削工法で建設されたため、後発の他路線に比べて乗り場が浅く、田原町駅、末広町駅、虎ノ門駅、外苑前駅など多くの駅で階段を降りるとすぐに改札口があり、改札口の先にすぐホームがあるという利用しやすい形態になっている。相対式ホームの駅ではそのほとんどで線路間の支柱がリベット組みの鉄骨となっており、日本最初の地下鉄の歴史を偲ぶことができる。

イベント専用列車は地下鉄開通当時の旧1000形をモチーフとした銀座線1000系特別仕様車両を使用し、列車内では、地下鉄開通当時や銀座線の歴史、駅にまつわるトリビアなどを車内アナウンスで紹介し、特別仕様車両にのみ再現設置された室内予備灯の点灯や、復刻制服を着用した乗務員との記念撮影ができる。12月17日11時から13時30分に運行する。

乗車できるのは45組90人限定、小学生以上(小・中学生は保護者同伴)が対象で、希望者は特設サイト(https://metro90daysfes.jp/)の応募ページの応募フォームから氏名、性別、年齢、郵便番号、住所、電話番号の必要事項を記入して申し込む。締め切りは11月15日23時59分。応募者多数の場合は抽選。問い合わせは「地下鉄開通90周年記念」イベント事務局(0120-305-320、10時から17時)まで。