リコー画廊で飯島幸永「津軽と八重山」の風土と人間展

【銀座新聞ニュース=2018年5月13日】国内最大のOA機器メーカーのリコー(中央区銀座8-13-1、03-6278-2111)グループのリコーイメージング(大田区中馬込1-3-6)が運営するギャラリー「リコーイメージングスクエア銀座」(中央区銀座5-7-2、三愛ドリームセンター、03-3289-1521)は5月16日から6月17日まで8階ギャラリーゾーン「A.W.P」で飯島幸永さんによる写真集出版記念写真展「その風土に生き抜く」を開く。

リコーイメージングスクエア銀座で5月16日から6月17日まで開かれる飯島幸永さんの写真集出版記念写真展「その風土に生き抜く」に展示される「寒流」から選んだ作品 ((C)Koei Iijima)。

写真家の飯島幸永(いいじま・こうえい)さんが写真集「寒流 津軽のおんな 越後・雪下有情」(2012年11月刊、彩流社、税別5500円)と「暖流 八重山諸島につなぐ命」(2017年11月刊、彩流社、6800円)を出版したのを記念して「寒流」と「暖流」を合わせて45点を展示し、販売もする。

飯島幸永さんは40年余にわたる長い時間をかけて取材し、写真集2冊によってひとつの到達点に立った。リコーでは「写真家魂に満ち溢れた眼差しとは何か。モノクロームによる感動のフォトドキュメント」としている。

「寒流」は1966年、東京オリンピックの2年後、越後の豪雪集落に入って豪雪に蹂躙(じゅうりん)されながらも懸命に暮らす農民と家族の姿を3年にわたって撮影した。津軽のおんなは1965年代半ばから1975年代にわたり吹き荒ぶ風と吹雪の風土に生きるおんなを中心に迫ったもので、2編とも「風土と日本人の凄まじい葛藤をとおして描かれる人間の美しさ」がテーマとしている。

同じく「暖流」から選んだ作品((C)Koei Iijima)。40年余にわたる取材を通してひとつの到達点に立ったという飯島幸永さんの2冊の写真集。

「暖流」は風土と日本人をテーマに亜熱帯地方の八重山諸島で取り組んだ作品集で、1973年に初めて八重山に行き数年通った後、40年余の空白を経て2013年より数度通い、かつての人々や子どもたちとの再会や漁師の風貌、古式の葬儀など今日的情景も入れ、過去と現在に時間軸を置いた構成で、八重山の厳しい自然風土に生きる家族や人々の日常から、生きる意味を探っている。

飯島幸永さんは1942年東京都生まれ、1964年に東京写真短期大学(現東京工芸大学)を卒業、卒業と同時に写真家の杉山吉良(すぎやま・きら、1910-1988)に師事し、1973年にフリーとなり、ヒューマンドキュメントを中心に、風土と日本人、芸術家の風貌、心象風景など幅広く個展・出版活動をしている。

1980年に個展を開き、1991年に日本画家・上村松篁(うえむら・しょうこう、1902-2001)の写真集「歩歩清風」を画集・色紙とともに出版し、1992年に写真と名画で語る「上村松篁・魂の賛歌・写真家・飯島幸永の眼」展を開き、2001年に写真集「人間上村松篁」を出版した。

2003年に「週刊文春」に連載した元首相の細川護熙(ほそかわ・もりひろ)さんの「ことばを旅する」の写真を担当し、2007年に細川護煕さんの作品集「晴耕雨陶」に写真を掲載、2009年に「撮る・描く」2人展を写真家の岸野圭作(きしの・けいさく)さんと梓川アカデミア館(松本市)で開き、現在、飯島幸永松本写真塾を松本市で開いている。

開場時間は11時から19時(最終日は16時)。毎週火曜日が定休。入場料は510円(税込)。