セイコー、和光の時計塔を休む、「時間」を考えて

【銀座新聞ニュース=2018年6月8日】国内時計業界3位の、精密機器業界8位のセイコーホールディングス(中央区銀座1-26-1、03-3563-2111)は6月9日と10日の2日間、傘下の百貨店、和光(中央区銀座4-5-11、03-3562-2111)の時計塔を隠す。

6月9日と10日の2日間、和光の時計塔を休ませるイメージ。交差点から時計の針を見えなくする。

6月10日の「時の記念日」に際して、セイコーホールディングスが全国の15歳から60代の男女1200人を対象に、時間意識に関する実態調査を行い、2017年に続き第2号となる「セイコー時間白書2018」をまとめた。それによると、「時間を意識して行動するか」という問いに対して、「意識して行動」しているが85.8%(2017年88.8%)、「時間に追われている」意識も64.3%(69.1%)に達している。

また、1日24時間についても、「少ない(足りない)」が56.3%(59.2%)と少なくなっているものの、依然として時間に追われている感覚を持つ人の割合が多く見られるとしている。もっとも大切な時間帯は1位が金曜日22時、2位が土曜日22時、3位が月曜日7時としている。

こうした調査を背景にして、時間が現代人のストレスを生んでいるのではないか、いい時間って何だろう、時間について考えるきっかけを提案したいとして、セイコーは9日0時から10日24時まで銀座4丁目の交差点からみて、正面、左右から時計の針を見えなくする。時計が姿を隠すのは2008年に和光本館をリニューアル工事した際に一時閉館して以来10年ぶりとしている。

また、和光の時計塔は現在の2代目が1932(昭和7)年6月10に竣工し、現在のウエストミンスター式チャイム音(いわゆるキンコンカンコーン)が響くようになったのも、1954(昭和29)年6月10日としている。

ウイキペディアによると、時の記念日は1920(大正9)年に東京天文台(現国立天文台)と文部省(当時)の外郭団体である財団法人「生活改善同盟会」によって制定された。日本国民に「時間をきちんと守り、欧米並みに生活の改善・合理化を図ろう」と呼びかけ、時間の大切さを尊重する意識を広めるために設けられた。記念日だが、法定化された国民の祝日ではない。

生活改善同盟会が、1920年5月16日から7月4日まで東京教育博物館で「時の展覧会」を開催し、期間中の6月10日を時の記念日として設定し、行事・宣伝を行ったのに始まる。1921(大正10)年以降20年以上にわたり生活改善同盟会を中心に全国各地で記念行事が行われ、外地の台湾などでも実施された。

定刻厳守の尊重が日本の国民性といわれるまでになり、鉄道や航空機の定時運行が世界一と言われるまでになったのも、時の記念日の創設にその原点のひとつがあるともいわれている。

奈良時代の日本最古の歴史書「日本書紀」(720年)の天智天皇(てんじ・てんのう、626-672)10年4月辛卯条(天智天皇10年4月25日、グレゴリオ暦671年6月10日)に唐から伝えられた漏刻(ろうこく、水時計)を建造し、漏刻で太鼓や鐘を打って時を知らせる「時の奏」を「始めて候時を打つ」とあり、日本初の時計が鐘を打った日が6月10日であることからこの日が選ばれた。