ギャルリー志門で板倉知恵、太田策司、榊原慶ら版画で装丁

【銀座新聞ニュース=2018年9月9日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル3階、03-3541-2511)は9月10日から15日まで「第4回文学と版画展」を開く。

ギャルリー志門で9月10日から15日まで開かれる「第4回文学と版画展」の出品作品と出品者のフライヤー。

「春陽会」の版画部に会員、会友として所属する版画家を中心に15人の作家が1冊の文学書からインスピレーションを受けてイメージを醸成し、作品と同時に装丁も行った作品を展示している。

19世紀に写真が発明されるまで、版画は本のさし絵として重要な役割を担い、昔から版画と文学は切っても切れない関係にある。そうした中で、版画家が自由に文学書を選んで、自ら版画作品として展示する。

春陽会は、日本美術院の日本画部と対立し、1920年に脱退した洋画部同人の小杉放庵(こすぎ・ほうあん、1881-1964)や梅原龍三郎(うめはら・りゅうざぶろう、1888-1986)ら7人によって1922年に創立された美術団体で、1923年に第1回展を開催し、戦時中は一時中断していたが、1947年から公募展として復活し、1951年から「版画部」と「絵画部」を並立し、1984年に社団法人「春陽会」として発足、2013年に第90回記念展を迎えている。

出品しているのは、阿部克志(あべ・かつし)さんが詩人の萩原朔太郎(はぎわらさくたろう、1886-1942)の「月に吠える」、リトグラフ作家の板倉知恵(いたくら・ちえ)さんがモンゴメリ(Lucy Maud Montgomery、1874-1942)の「赤毛のアン」、銅版画の太田策司(おおた・さくじ)さんがフランスのノーベル賞作家、J・M・J・ル・クレジオ(Jean-Marie Gustave Le Clezio、1940年生まれ)さんの「発熱」、銅版画の園城寺健冶(おんじょうじ・けんじ)さんがド「ヴァッリー全集」、銅版画の榊原慶(さかきばらけい)さんが岩井俊二(いわいしゅんじ)の「ウォーレスの人魚」。

リトグラフ作家の佐々順子(ささ・じゅんこ)さんが英国写真家、パティ・ボイド((Patricia Anne Boyd、1944年生まれ)の「パティ・ボイド自伝」、リトグラフ作家の鈴木智恵(すずき・ともえ)さんが谷崎潤一郎(たにざき・じゅんいちろう、1886-1965)の「細雪」、銅版画の高橋洋子(たかはし・ようこ)さんがドイツ文学者の坂内正(さかうち・ただし、1930年生まれ)の「カフカの中短編」、リトグラフ作家の竹内美穂子(たけうち・みほこ)さんが宮沢賢治(みやざわ・けんじ、1896-1933)の「春と修羅」、銅版画の武田(たけだ)あずみさんが小説家の小川洋子(おがわ・ようこ、1965年生まれ)さんの「原稿零枚日記」。

デジタル作家の田辺和郎(たなべ・かずろう)さんが半藤一利(はんどう・かずとし、1930年生まれ)さん編の「日本のいちばん長い日」、銅版画の西村沙由里(にしむら・さゆり)さんが中国思想史の研究者、蜂屋邦夫(はちや・くにお、1938年生まれ)さん訳注の「老子」、木版画の萩原季満野(はぎわら・きみの)さんが恩田陸(おんだ・りく、1964年生まれ)さんの「蜜蜂と遠雷」、リトグラフ作家の箕輪香名子(みのわ・かなこ)さんが宮沢賢治の「ポラーノの広場」、前回に続いて招待作家としてリトグラフ作家の星野美智子(ほしの・みちこ)さんが篠田一士(しのだ・はじめ、1927-1989)の評論集「樹樹皆秋色」を出品する。

10日17時からオープニングパーティを開く。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。