中央の百貨店9月、日本橋2店と銀三が減、松屋、大丸増

【銀座新聞ニュース=2018年10月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の9月売上高(速報値、店頭ベース)は日本橋2店、銀座三越がマイナス、松屋銀座店、大丸東京店の2店がプラスだった。

9月の売上高で18カ月ぶりにマイナスとなった銀座三越。

9月は上旬に台風21号の影響を受け、雨天が多く、月末日の台風25号による交通機関などの休止により、営業時間を前倒しする影響が出た。ただ、土日曜日、祝日日数が前年に対して2日増えた(松屋では影響度合い1.6%増)こともあり、松屋銀座店、大丸東京店の2店がプラス、とくに大丸東京店が25カ月連続で前年実績を上回っている。ただ、日本橋三越、日本橋高島屋の日本橋2店がマイナスで、銀座三越が18カ月ぶりの前年割れだった。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比1.7%減(8月速報値2.9%減、確定値9.9%減の87億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは3カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同0.5%減(同速報値12.4%増、確定値12.4%増の70億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と18カ月ぶりにマイナスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、好調なラグジュアリーブランドに加え、月中盤から後半にかけて気温が低下したことで婦人、紳士ともにコートを中心にアウターが基幹店を中心に大きく伸長したこともあり、首都圏の既存店は前年実績を上回ったとしている。訪日外国人観光客需要(免税売上高、インバウンド)は首都圏、全国ともに堅調に推移し、来店客数の増加が好調要因で、高額品に加え冬物衣料品への関心度が高いという。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同7.5%減(同速報値8.5%減、確定値8.7%減)と4カ月続けて前年を下回った。日本橋店は店内改装や9月からレストラン街の運営を東神開発に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小している。

2度の台風により、関西5店舗が臨時休業、関東各店などが月末に営業時間を短縮したことに加え、関西を中心に訪日外国人観光客需要にも影響があり、前年実績を下回った。訪日外国人観光客売り上げは前年比2.7%減となった。

17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨、宝飾品、食料品などがプラスとなり、一方で、婦人服、婦人雑貨、リビングなどは前年に届かなかったとしている。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同4.8%増(同速報値4.3%増、確定4.3%増)と25カ月連続でプラスとなった。

全体では、台風21号や北海道胆振東部地震による店舗休業等の影響があったものの、月半ば以降は対前年休日増も寄与する中、ラグジュアリーブランドや化粧品が好調を持続し、月末近くには前年実績を上回るまで復調した。

しかし、月末30日(日)の台風24号による店舗休業や営業時間の大幅短縮等の影響により、結果、全体ではマイナスだった。大丸松坂屋百貨店の訪日外国人観光客需要(速報値)は2%減(客数同15%増、客単価同15%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、8月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同27.7%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同2.0%増(同速報値7.4%増、確定値7.4%増)と2カ月続けて前年を上回った。

銀座店は9月11日に松屋カード所有者に向けた特別招待会を開き、単日で売り上げが10億円を超えるなど、各種施策により秋物商材が順調に滑り出した。 中旬以降は気温も引き締まり、 高級婦人衣料品、ミセスからシニア向けの婦人衣料品などのゾーンで、秋物のジャケット、ニットが好調に推移した。 食品部門も、和洋菓子などのリニューアル効果により、売上高は前年を上回った。

一方、訪日外国人観光客需要については、引き続き化粧品が全体を強くけん引した。 結果的に、訪日外国人観光客需要を除く国内客による売上高も継続して前年を越え、たことなどにより、2カ月連続で前年を上回った。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内79社219店舗(総従業員6万9097人)の8月売上高(店舗調整後)は前年同月比0.2%減の4118億円で、2カ月続けてマイナスとなった。

8月は台風の上陸や土曜日1日減などのマイナス与件があり、高額消費や訪日外国人観光客需要(免税売上高、インバウンド)が業績をけん引したものの、国内市場(93.7%のシェア)はマイナスだった。シェア6.3%を占める訪日外国人観光客需要は同20.0%増の258億円、21カ月連続増と引き続き好調だった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月より0.1日多い30.7日、117店舗の回答によると、入店客は42店が増え、42店が減ったとし、うち88店舗の回答によると8月の売り上げについては18店が増え、23店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の8月の売上高は同1.6%増の1107億4890万円と2カ月ぶりにプラスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の8月の免税売上高は同20.0%増の約258億4000万円で、21カ月連続のプラス、国内の百貨店に占めるシェアが6.3%としている。

このうち、一般物品売上高は同14.5%増の約147億6000万円で、18カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同28.3%増の110億8000万円、購買客数が同23.3%増の約41万人と2013年2月から67カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同2.7%減の6万3000円で、2カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2017年1月から2018年7月まで1位)、2位にはハイエンドブランド(2017年1月と2月4位、3月2位、4月4位、5月3位、6月2位、7月3位、8月から11月2位、12月3位、2018年1月から7月2位)、3位に食品(2017年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月3位、6月4位、7月から12月4位、2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月、7月3位)と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2017年1月2位、2月と3月3位、4月と5月2位、6月3位、7月2位、8月から11月3位、12月2位、2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月、7月4位)、5位に婦人服・用品(2017年4月は6位以下、5月から2018年2月まで5位、3月4位、4月4位、5月5位、6月6位、7月5位)と7月が同じだった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2017年1月から7月まで1位)、2位に7月に3位だった韓国(2017年1月から7月まで4位、8月2位、9月4位、10月から12月3位、2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位)が再び上がった。3位に香港(2017年1月から7月まで2位、8月3位、9月2位、10月4位、11月から2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位)が再度下がった。

4位に台湾(2017年1月から7月まで3位、8月4位、9月3位、10月3位、11月4位、12月4位、2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から7月4位)、5位にタイ(1月から11月まで5位、12月6位、2018年1月から7月5位)、6位にシンガポール(2017年1月から11月まで6位、12月5位、2018年1月から7月6位)、7位がマレーシア(2017年1月から2018年7月まで7位)だった。