日比谷「万引き家族」米アカデミー候補記念上映、是枝監督も

【銀座新聞ニュース=2019年2月5日】中堅の映画配給会社のギャガ(港区南青山2-22-18、TYビル、03-5786-7140)は2月8日にTOHOシネマズ日比谷(千代田区有楽町1-1-3、東京ミッドタウン日比谷、03-3591-5358)で「万引き家族」がアメリカアカデミー賞外国語映画賞にノミネーションされた記念として是枝裕和さんによるティーチインイベントを開く。

2月8日から凱旋上映される「万引き家族」((C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.)。

2月24日にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス市ハリウッドのドルビー・シアターで授賞式が開かれる第91回アメリカアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたのを記念して、8日から「凱旋上映」が始まるのに際して、初日の8日19時15分の回上映終了後に、監督の是枝裕和(これえだ・ひろかず)さんが舞台に登場してティーチインイベントを開く。

2018年の映画作品を対象とする第91回アメリカアカデミー賞は1月22日に各部門のノミネートが発表され、2月4日にノミネート候補者たちによる昼食会が開かれ、12日から19日まで最終投票が行われ、24日に授賞式が開かれる。

「万引き家族」以外のアカデミー賞外国語映画賞の候補作品はナディーン・ラバキー(Nadine Labaki)さんが監督したレバノンの「カペナウム(Capernaum)」、パヴェウ・パヴリコフスキ(Pawel A.Pawlikowski)さんが監督したポーランドの「コールド・ウォー(COLD WAR)あの歌、2つの心」、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(Florian Henckel von Donnersmarck)さんが監督したドイツの「Werk ohne Autor」、アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuaron Orozco)さんが監督したメキシコの「ROMA/ローマ」の4作品だ。

「万引き家族」は親の死亡届を出さずに年金を不正にもらい続けていたある家族の実際にあった事件をもとに、是枝裕和さんが家族や社会について構想10年近くをかけて考え、オリジナル脚本を書き上げ、監督した、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマだ。

2018年の第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞である「パルム・ドール」を獲得した。日本人監督作品としては、1997年の今村昌平(いまむら・しょうへい、1926-2006)の「うなぎ」以来21年ぶりとなる。日本人監督としては「地獄門」の衣笠貞之助(きぬがわ・ていのすけ、1896-1982)、「影武者」の黒沢明(くろさわ・あきら、1910-1998)、今村昌平に続き4人目となる。

日本映画がアカデミー賞外国語映画賞を受賞すると、2008年の滝田洋二郎(たきた・ようじろう)さんが監督した「おくりびと」以来、2本目になる。

物語は東京の下町で、高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である柴田初枝(樹木希林=きき・きりん)の年金を目当てに、柴田治(リリー・フランキーさん)と柴田信代(安藤サクラ=あんどう・さくら=さん)の夫婦、息子の祥太(城桧吏=じょう・かいり=さん)、信代の妹の亜紀(松岡茉優=まつおか・まゆ=さん)が暮らしていた。

彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。

ウイキペディアによると、是枝裕和さんは1962年東京都練馬区生まれ、1987年に早稲田大学第一文学部文芸学科を卒業、番組制作会社「テレビマンユニオン」に入社、テレビ番組のADをしながらドキュメンタリー番組の演出家をつとめ、1995年に「幻の光」で映画監督デビュー、1999年に「ワンダフルライフ」、2004年に「誰も知らない」を手がけた。

2006年に「花よりもなほ」、2008年に「歩いても 歩いても」、2009年に「空気人形」、2011年に「奇跡」、2013年に「そして父になる」などを監督し、新作を発表すると多くの国際映画祭に招待されるなど、国内外で高い評価を受けている。

2005年に「誰も知らない」で第77回アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表作品に選ばれ、2014年に「そして父になる」で第37回日本アカデミー賞優秀作品賞、優秀監督賞などを受賞した。現在、早稲田大学基幹理工学部表現工学科教授、立命館大学産業社会学部客員教授。

チケットは発売中で、料金は一般1800円、大・専門学生1500円、高校生・3歳以上中学生まで、障がい者1000円、シニア1100円。映画は「PG12」(12歳未満は保護者の助言・指導が必要)に指定されている。