中央の百貨店7月、高島屋が増、ほか銀座三越等4店は減

【銀座新聞ニュース=2019年8月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の7月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋高島屋店がプラスだったが、日本橋三越、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の4店がマイナスだった。

7月の売上高で3カ月続けてプラスとなった日本橋高島屋。ほかが苦戦する中で、1店だけが善戦している。

7月は前年に比べて日曜日が1日少なく、気温も前年よりも5度も低めの天候不順が続いたことから、「月後半まで夏物アイテムへの関心が高まら」(三越伊勢丹ホールディングス)なかったり、「夏物ファッション全般の動きが鈍かった」(J.フロントリテーリング)こともあり、日本橋高島屋を除いて低迷した。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比5.2%減(6月速報値5.4%減、確定値5.6%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は5月から未公表)と店頭ベースでは4カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同0.8%減(同速報値1.8%減、確定値1.8%減、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月続けてマイナスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、「全国的に気温が低く梅雨明けが遅かったため、月後半まで夏物アイテムへの関心が高まらず」、三越伊勢丹、国内百貨店とも前年実績を下回った。

基幹3店では美術、宝飾、貴金属が好調に推移し、月後半にかけては気温が上がり、夏物ファッションアイテム(サンダル、帽子、サングラス、兼用傘など)が伸長したとしている。訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)は三越銀座店、三越日本橋本店などが前年プラスだったが、全体では前年には届かなかった。ただし、宝飾、時計などは好調としている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同1.9%増(同速報値1.9%増、確定値1.8%増)と3カ月続けて前年を上回った。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小しているが、それらを調整した実質では前年比4.6%増になる。

店頭売り上げはラグジュアリーブランドを中心とした高額品が引き続き伸長したものの、、前年に比べ日曜日が1日少なかったことに加え、梅雨が長引き記録的な日照不足・低温などの影響などにより、前年実績を下回った。免税売上は前年比0.4%減だった。

17店舗ベースの商品別では特選衣料雑貨、宝飾品、子ども情報ホビー、リビングなどが前年比プラスだったが、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、食料品などはマイナスだった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同3.2%減(同速報値1.3%増、確定1.3%増)と6カ月ぶりに前年を下回った。

百貨店事業は、ラグジュアリーブランドと化粧品が引き続き好調を持続したものの、梅雨明けが2018年より大幅に延びたことによる降雨日数増や低気温の影響により、夏物ファッション全般の動きが鈍かったことに、日曜日が対前年より1日減のマイナス影響も加わり、百貨店全体ではマイナスだった。訪日外国人観光客売上高(速報値)は対前年約13%増(客数同2%増、客単価同10%増)となった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、6月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同3.4%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同1.1%減(同速報値0.2%減、確定値0.2%減)と2カ月続けて前年を下回った。

銀座店は天候不順(気温前年比5.1度減)が長く、盛夏衣料品、雑貨ともに苦戦しした。 一方で、国内外のデザイナーを軸とした高価格帯の婦人衣料品は、前年を上回った。7月10日から23日の期間で、晩夏初秋物や早期秋物などのプロパー展開を強化した結果、7月のプロパーのシェアは8割を超えるなど「セールに頼らない各種施策が奏功し」たとしている。

訪日外国人観光客売上高は一般品や化粧品を中心とした消耗品の売上高が前年を上回ったが、前年に対して日曜日が1日減(影響は2%減程度)などの条件も要因となり、銀座店全体の売上高は前年に届かなかった。

一方、訪日外国人観光客売上高については、ラグジュアリーブランドを軸とした一般品とともに、化粧品に代表される消耗品の売上高が前年を下回った(前年比6.5%減)。

訪日外国人観光客売上高は店全体の売上高の25%程度を占めており、この前年割れが全体を下振れさせる要素となった。ただし、時計や宝飾品などの高額品、婦人靴、バッグなどは好調に推移し、銀是店全体ではわずかに前年を下回ったにとどまった。訪日外国人観光客売上高を除く国内客の売上高は、堅調で前年を上回った(前年比1.4%増)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内78社215店舗(総従業員6万6476人)の6月売上高(店舗調整後)は前年同月比0.9%減の4789億7417万円で、3カ月続けてマイナスとなった。

6月は「中旬以降の低温多雨に加え、月末の台風mなど悪天候による集客減が響き、主力の夏物商材が苦戦。同時期のクリアランスセールは盛り上がりに欠ける結果」となり、3カ月連続マイナスだった。

訪日外国人観光客売上高は円高基調にあるものの、訪日外国人観光客売上高(シェア5.9%、同0.6%増)は283億円と5か月連続プラスだったが、国内市場(シェア94.1%、同1.0%減)はマイナスだった。

商品別では、ラグジュアリーブランドが好調だった身のまわり品(0.6%増)が3カ月ぶりにプラスとなり、雑貨(1.7%増)が5カ月連続プラス、化粧品(0.2%増)に加え、宝飾、時計、美術などの高額品(宝飾、美術、貴金属8.9%増)がけん引した。

また、衣料品(1.7%減)は天候などの影響で、盛夏物が振るわず、マイナス基調で推移した。紳士服・用品(0.2%増)はプラスに転じたが、主力の婦人服・用品(1.7%減)が苦戦した。食料品(1.4%減)は2カ月連続マイナスだった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ29.8日、123店舗の回答によると、入店客は22店が増え、61店が減ったとし、うち79店舗の回答によると6月の歳時記(中元、父の日)の売り上げについては6店が増え、35店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の5月の売上高は同1.3%減の1387億8799万円と3カ月続けてマイナスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の6月の売上高は同0.6%増の約283億3000万円と5カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが5.9%としている。

このうち、一般物品売上高は同1.6%減の約148億9000万円で、2カ月続けて前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同3.2%増の134億4000万円、購買客数が同1.4%減の約45万8000人と2013年1月以来、77カ月ぶりにマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同2.1%増の6万2000円で、5カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年5月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位)が前月の3位から2位に回復し、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位)で2位から下がった。

4位に婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から5月まで4位)、5位に子ども・玩具(2019年4月と5月5位)だった。2019年1月は5位が婦人服・用品、2月と3月が美術・宝飾品だったが、いずれも6位以下に下がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年5月まで1位)、2位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と10月2位、11月と1月まで3位、2月から5月2位)、3位に香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から5月3位)だった。

4位に台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から5月4位)、5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、1月から5月5位)、6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、1月から5月6位)、7位がマレーシア(2018年1月から5月まで7位)と変わらなかった。