中央の百貨店10月、5店とも2桁減、増税前駆込反動と台風で

【銀座新聞ニュース=2019年11月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の10月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店ともマイナスで、いずれも10%を超える大幅減だった。5店舗とも減少したのは1月以来、9カ月ぶりとなる。

5月からプラスが続いてきた日本橋高島屋も、9月の増税前の駆け込み需要により50%以上もの伸びを記録した反動で、10月は5店の中では最大の落ち込み幅を記録した。

9月は消費税増税を控えた駆け込み需要により、5店とも10%以上のプラスとなったが、10月はその反動と天候不順による客数の減少などにより5店とも10%を超える大幅減となった。また、訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)も各社とも前年割れだった。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比25.2%減(9月速報値29.4%増、確定値25.9%増、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は5月から未公表)と店頭ベースでは3カ月ぶりに前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同18.5%減(同速報値13.1%増、確定値13.1%増、但し空港型免税店の売り上げを除く)と3カ月ぶりにマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、消費増税前駆け込み需要の反動減や、天候不順による客数の減少に伴い、首都圏三越伊勢丹既存店計、国内百貨店既存店計ともに、3カ月ぶりに前年実績を下回った。

首都圏の店舗では、消費増税前駆け込み需要の反動減があったことや、台風19号の影響による臨時休業、営業時間短縮により客数が減少したが、一部店舗では秋のオケージョン関連アイテムや食品カテゴリーが堅調に推移したとしている。

訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)については、大都市圏の店舗を中心に客単価が伸長するも、為替や天候の影響などによる客数のダウンを補うことはできなかったとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同26.7%減(同速報値53.7%増、確定値52.4%増)と6カ月ぶりに前年を下回った。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小している。

店頭売り上げは、消費増税前の駆け込み需要の反動に加え、台風19号の上陸に伴い、12日に関東の店舗など10店舗を臨時休業した影響などにより、前年実績を下回った。訪日外国人観光客売上高は16.9%減だった。17店舗ベースの商品別では、、宝飾品や婦人雑貨をはじめ、いずれの商品群も前年を下回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同15.7%減(同速報値13.8%増、確定13.8%増)と3カ月ぶりに前年を下回った。

百貨店事業は、消費増税前の駆け込み需要の反動減影響がほぼすべての商品分野で見られたことに加え、台風19号により一部店舗が臨時休業や営業時間短縮などによるマイナス影響を受けたことにより、大丸松坂屋百貨店合計では前年比19.1%減だった。訪日外国人観光客売上高(速報値)は同15%減(客数同11%減、客単価同5%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、9月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同5.7%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同20.4%減(同速報値18.4%増、確定値18.4%増)と2カ月ぶりに前年を下回った。

銀座店は、消費税率引上げ前の駆け込み需要の反動が、主に高価格帯のラグジュアリーブランドや化粧品に影響があったこと、10月中旬以降に気温が引き締まったことにより、秋物ニットやジャケットに動きが見えるも、高価格帯の防寒衣料において前月の駆け込み需要の反動が顕著、大型台風による臨時休業、営業時間短縮(全体におよぼす影響度合いは5.4%減)、その後の断続的な自然災害等の影響もあり、入店客数が前年に対して二桁減となったことなどが響いたとしている。

訪日外国人観光客売上高についても、元安の進行なども要因となり、一般品・消耗品ともにマイナスだった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内78社212店舗(総従業員6万5335人)の9月売上高(店舗調整後)は前年同月比23.1%増の5153億1607万円で、2カ月続けてプラスとなった。

9月は「消費税率引上げを目前にした最終局面で駆込み需要が盛り上がった」としている。前年の自然災害(台風・地震)による休業・営業短縮などの反動増や各店で実施した改装効果も相まって、美術、宝飾・貴金属、高級時計、ラグジュアリーブランドなど高額商材を中心に業績を押上げた」という。

顧客別では、訪日外国人観光客売上高(シェア4.9%)が2.7%増(253億円)と2カ月ぶりにプラスだった。購買客数(7.1%減、3カ月連続)は前月より3.4ポイントダウンした。一方、国内市場(シェア95.1%)は24.4%増と10カ月ぶりにプラスとなった。

商品別では、主要5品目すべてで前年を超えた。高額品(美術・宝飾・貴金属、2.9%増)と化粧品(34.1%増)を含む雑貨(51.2%増、8カ月連続)と、身のまわり品(32.6%増、2カ月連続)、家具(46.3%増)、家電(82.8%増)を含む家庭用品(30.7%増、2カ月連続)は、前回の消費増税前の実績(2014年3月、総売上高伸び率25.4%増、雑貨67.2%増、身のまわり品38.6%増、家庭用品39.1%増)に次ぐ高い伸びとなった。

主力の衣料品(19.2%増、2カ月連続)はコートなどの重衣料や呉服などに動きが見られ、食料品(1.5%増、5カ月ぶり)は、生鮮食品(2.3%減)が依然苦戦しているが、軽減税率の適用外となるワインなど酒類や食品催事が好調で、食料品全体で前年実績を確保した。

全国の百貨店の営業日数は前年同より0.6日多い29.9日、124店舗の回答によると、入店客は60店が増え、27店が減ったとし、うち86店舗の回答によると9月の歳時記(敬老の日、彼岸)の売り上げについては12店が増え、22店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の9月の売上高は同20.7%増の1434億2894万円と2カ月続けてのプラスとなった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の9月の売上高は同2.7%増の約253億2000万円と2カ月ぶりにプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが4.9%としている。

このうち、一般物品売上高は同1.8%増の約125億円で、2カ月ぶりに前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同3.5%増の128億2000万円、購買客数が同5.3%減の約38万4000人と4カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同8.4%増の6万6000円で、8カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年8月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から8月2位)が3カ月連続で2位、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位、6月、7月3位、8月4位)が前月の4位から3位に上がった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位)と前月の3位から下がった。5位に子ども服・雑貨(6月に5位、当時は子ども服・玩具)が6月以来、3カ月ぶりに5位に上がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年8月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位)が4位から上がった。3位に香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から6月3位、7月2位、8月3位)と前月と同じだった。

4位が韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位)と2位から下がり、5位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、1月から8月6位)が6位から上がり、6位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、1月から8月5位)が5位から下がり、7位がマレーシア(2018年1月から8月まで7位)は変わらなかった。