中央の百貨店12月、5店とも3カ月連続減、増税前駆込反動が続く

【銀座新聞ニュース=2020年1月7日】中央区とその周辺の主要百貨店の2019年12月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店とも3カ月続いてのマイナスだった。

2019年12月は5店とも3カ月連続マイナスだった中で、前月並みのマイナス幅にとどまった大丸東京店。

12月は土曜日・祝日の2日減、クリスマスの曜日並びのマイナス要素があり、9月の消費税増税前の駆け込み需要の反動から回復基調にあるものの、依然として続いていることから5店舗とも3カ月連続して前年を下回った。

2014年4月の消費税増税後の影響は日本橋三越が14.7%減、日本橋高島屋が15.9%減と大きく減少したが、大丸東京店が3.6%減、松屋銀座店が5.8%減の減少幅で、銀座三越が1.1%増とプラスだった。

同年5月は日本橋三越が4.5%減、日本橋高島屋が9.6%減とマイナスが続いたが、銀座三越が4.5%増とプラスを続け、大丸東京店が2.3%増、松屋銀座店が6.7%増とプラスに転じている。

同年6月は日本橋三越が6.1%減、日本橋高島屋が3.2%減とマイナスが続き、松屋銀座店が1.5%減とマイナスに転じたが、銀座三越が1.4%増、大丸東京店が3.0%増とプラスを続けた。

このため、今回の増税後の反動減の方が依然として影響が大きいといえる。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比7.9%減(11月速報値9.6%減、確定値10.0%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は5月から未公表)と店頭ベースでは3カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同5.7%減(同速報値6.0%減、確定値6.0%減、但し空港型免税店の売り上げを除く)と3カ月続けてマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは「着実に回復基調にはあるものの、一部カテゴリーにおいては消費増税前の駆け込み需要の反動減の影響が残っている」としている。また、土曜祝日の2日減、クリスマスの曜日並びのマイナス与件もあったという。

首都圏の基幹店計では、手土産需要の和洋菓子や、お歳暮、おせちといった歳時記関連の売り上げが好調だった一方、改装工事による売場閉鎖や、この時期としては比較的気温が高かったこともあり、冬物衣料品への需要が伸びなかったとしている。

訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)に関しては、化粧品カテゴリーが引き続き低調だが、ラグジュアリーブランド、宝飾、時計の動きが堅調だったこともあり、全体としては11月よりもマイナス幅は縮小している。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同3.6%減(同速報値2.7%減、確定値2.7%減)と3カ月続けてマイナスとなり、しかもマイナス幅が拡大している。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小している。

店頭売り上げは、消費増税前の駆け込み需要の反動からは回復しつつあるものの、前年と比較し土曜日と祝日がそれぞれ1日少なかったことなどから、全店で前年実績を下回り、17店舗ベースの商品別でも、食堂、サービス営業を除く商品群で前年を下回った。訪日外国人観光客売上高は同13.8%減だった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同4.9%減(同速報値5.2%減、確定4.8%減)と3カ月続けて前年を下回った。

百貨店事業は休日が対前年比2日減となった影響が大きかったものの、化粧品、おせちが好調に推移したほか、ラグジュアリーブランドが前年並みとなるなど、着実な回復傾向が見られたとしている。大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年比約6%増(客数7%増、客単価2%減)となった。

また、2020年の初売りの商況は、化粧品やラグジュアリーなど定価商品が好調である一方、暖冬による冬物ファッションの苦戦に加え、長期連休によるマイナス影響などもあり、1月2日から5日の4日間累計で対前年比6%減で推移している。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、11月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同3.6%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同1.5%減(同速報値0.8%減、確定値0.8%減)と3カ月続けて前年を下回り、マイナス幅も拡大している。

銀座店は、婦人衣料品全般において、ジャケット、ブラウスなどの中・軽衣料が好調に推移するも、コートを軸とした高価格帯商材が苦戦したが、その一方で、クリスマス商戦においては、ルイ・ヴィトンなどの海外ラグジュアリーブランドが全体を牽引した1カ月だったとしている。また、消費増税後の動向については、実需品となる化粧品の売り上げが前年ベースとなるなど、回復基調にあるとしている。

訪日外国人観光客売上高については、ラグジュアリーブランドを軸とした一般品が前年に対してふた桁の伸びとなり、消耗品を加えた全体の売り上げでは11%増だった。しかしながら、曜日条件差異(休日2日減、その影響約3.8%程度)が影響し、銀座店の売上高は前年をやや下回った。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内76社208店舗(総従業員6万4395人)の11月売上高(店舗調整後)は前年同月比6.0%減の4937億8892万円で、2カ月続けてのマイナスとなった。

11月は「消費増税前の駆け込み需要の反動から高額商材を中心に影響が残ったことに加えて、気温が高めに推移したことで防寒アイテムなどの動きも鈍かった」としている。しかしながら、「各社が展開した販促策等による集客や、一部店舗における改装効果、土曜日1日増のプラス与件もあり」、10月(17.5%減)に比べてマイナスは大幅に縮小(11.5ポイント改善)し、「着実な回復基調を示している」とみている。

顧客別では、国内市場(シェア94.7%)が同6.0%減、訪日外国人観光客売上高(シェア5.3%)はハイエンドブランドなど一般物品売り上げは前年をクリアした(1.4%増)ものの、不安定な国際情勢を背景とした円高や訪日客の購買行動の変化から、消耗品を含む総額では5.3%減と2カ月続けて前年実績を下回った。

商品別では家庭用品(0.3%減)と、軽減税率対象の食料品(0.6%減)がほぼ前年並みだった。また、法人外商では好調な家電(161.7%増、6カ月連続)が高伸し、ギフト・自家需要とも堅調だった菓子(1.3%増)がプラスに転じ、食品関連の人気催事も集客に寄与したという。

一方、駆け込み需要の大きかった高額品を含む雑貨(10.3%減)や身のまわり品(9.7%減)は苦戦が続いている。前半の高気温から防寒商材中心に不振だった衣料品(8.6%減)は、下旬の気温低下でコートなど重衣料が動きを見せた。歳暮商戦は、ウエブ受注がふた桁を超える店舗も多数見られ、堅調に推移したとしている。

全国の百貨店の営業日数は前年と同じ29.9日、116店舗の回答によると、入店客は19店が増え、57店が減ったとし、うち88店舗の回答によると11月の歳時記(歳暮、七五三)の売り上げについては12店が増え、29店が減ったとしている。東京地区(12社25店)の11月の売上高は同4.7%減(店舗調整後)の1423億242万円と2カ月続けてのマイナスとなった。

国内91店舗の訪日外国人観光客需要の11月の売上高は同5.3%減の約261億5000万円と2カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが5.3%としている。

このうち、一般物品売上高は同1.4%増の約147億2000万円で、2カ月ぶりに前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同12.8%減の114億3000万円、購買客数が同5.1%減の約40万9000人と6カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同0.3%減の6万4000円で、10カ月ぶりに前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年10月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から10月2位)が6カ月連続で2位、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位、6月、7月3位、8月4位、9月、10月3位)が3カ月連続で3位だった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月、10月4位)と3カ月連続で4位だった。5位に婦人服が7月以来4カ月ぶりにランクした。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年10月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月、10月2位)で、3カ月連続で2位だった。3位に香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から6月3位、7月2位、8月から10月3位)と4カ月連続となった。

4位が韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月、10月4位)で3カ月連続、5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月5位)で、2カ月連続だった。

6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月6位)が2カ月連続、7位がマレーシア(2018年1月から2019年10月まで7位)と変わらなかった。