中央の百貨店1月、銀座三越等3店4カ月ぶり増、外国人売上高増える

【銀座新聞ニュース=2020年2月4日】中央区とその周辺の主要百貨店の1月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋高島屋、銀座三越、松屋銀座の3店が4カ月ぶりにプラスに転じた一方で、日本橋三越、大丸東京店の2店が4カ月続いてのマイナスと店舗差が出た。

1月の売上高で4カ月ぶりにプラスに転じた銀座三越。

1月は増税前の駆け込み需要について「一部カテゴリーにおいては消費増税の影響が残」(三越伊勢丹ホールディングス)っているが、他方で中国の春節が2019年が2月4日から10日だったのが、2020年は1月24日から30日と1月になったこともあって、訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)が回復の兆しを見せた。

ただ、新型肺炎の拡大により、中国の海外団体旅行禁止などに伴い、「中国人の来店客数が月末に減少した」(同)ことから、2月への影響が懸念される。

2014年4月の消費税増税後の影響は日本橋三越が14.7%減、日本橋高島屋が15.9%減と大きく減少したが、大丸東京店が3.6%減、松屋銀座店が5.8%減の減少幅で、銀座三越が1.1%増とプラスだった。

同年5月は日本橋三越が4.5%減、日本橋高島屋が9.6%減とマイナスが続いたが、銀座三越が4.5%増とプラスを続け、大丸東京店が2.3%増、松屋銀座店が6.7%増とプラスに転じている。

同年6月は日本橋三越が6.1%減、日本橋高島屋が3.2%減とマイナスが続き、松屋銀座店が1.5%減とマイナスに転じたが、銀座三越が1.4%増、大丸東京店が3.0%増とプラスを続けた。

同年7月は日本橋三越が2.9%減、日本橋高島屋が4.2%減とマイナスが続き、松屋銀座店が11.0%増にプラスに転じ、銀座三越が6.0%増、大丸東京店が2.5%増とプラスを続けた。

6年前と同じく増税した昨年10月から4カ月目となる今年1月に店舗の差が出てきたようだ。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比9.5%減(12月速報値7.9%減、確定値8.6%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は5月から未公表)と店頭ベースでは4カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同0.7%増(同速報値5.7%減、確定値5.7%減、但し空港型免税店の売り上げを除く)と4カ月ぶりにプラスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは「一部カテゴリーにおいては消費増税の影響が残り、また暖冬で冬物アイテムが伸び悩んだことに加え、1月下旬から新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大による消費マインドへの影響」があった。

とくに首都圏の基幹店計では、好調なアイテムは時計、ハンドバッグや子ども服などとし、1月後半から春物に対するお客の関心も高まり、レディスでは春の新色のドレスやカットソー、メンズではカジュアルシャツやパンツなとに動きがあったとしている。

訪日外国人観光客売上高に関しては、中国の海外団体旅行禁止に伴い、中国人の来店客数が月末に減少したが、春節などのプラス与件もあり、8カ月ぶりに前年比を上回り、好調に推移した。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同1.2%増(同速報値3.6%減、確定値3.5%減)と4カ月ぶりにプラスとなった。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小している。

店頭売り上げは、暖冬の影響による衣料品をはじめとする季節商材の苦戦や、消費増税前の駆け込み需要の反動などにより、全体では前年実績を下回った。訪日外国人観光客売上高は、春節が今年は1月であった影響などにより、前年比11.1%増となった。ただし、春節期間対比では、同14.7%減だった。17店舗ベースの商品別では特選衣料雑貨、食料品が前年比プラスとなった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同2.9%減(同速報値4.9%減、確定4.8%減)と4カ月続けて前年を下回った。

百貨店事業は記録的な暖冬により、クリアランスセールを中心として冬物ファッションが苦戦し、さらに下旬には新型肺炎の感染拡大に伴い入店客数減少のマイナス影響を受けたものの、化粧品、ラグジュアリーブランドが売り上げを伸ばし、訪日外国人観光客売上高も好調に推移したことなどにより、全体では前月よりもマイナス幅を縮小させたとしている。大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は対前年比約29%増(客数同13%増、客単価同15%増)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、12月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同3.7%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同2.0%増(同速報値1.5%減、確定値1.5%減)と4カ月ぶりにプラスとなった。

銀座店は、暖冬の影響を受け、コートを軸とした冬物防寒衣料や婦人靴、バッグなど関連雑貨が苦戦する中、ルイ・ヴィトン、セリーヌ、フェンディなどの売上高が前年に対してふた桁増となるなど、海外ラグジュアリーブランドが館全体を力強く牽引した。

一方、訪日外国人観光客売上高については、春節のズレもあり、春節期間中の売上高は前年に対し68.6%増と大きく上振れし、月全体でも前年に対し29.8%増と大幅な伸びを示した(一般品前年比37.6%増、消耗品前年比7.1%増)。

ただし、新型肺炎などの影響で中国からのお客の買い上げ動向は前年とはやや異なったが(売上高前年比約3%減)、タイ、台湾を筆頭としたその他の国からのお客の売り上げが約2割増となったことが訪日外国人観光客売上高全体を牽引し、前年の春節の同日対比で置き換えても4%の伸びとなった。

また、依然、苦戦する婦人衣料品などが要因となり、国内のお客の買い上げ動向についてはやや鈍さを感じるものの、ラグジュアリーブランドのニーズが増大する中、新たに導入したグッチのポップアップイベントも成功裡に終了し、銀座店全体の売り上げが前年を上回った。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内76社208店舗(総従業員6万3930人)の12月売上高(店舗調整後)は前年同月比5.0%減の6404億0821万円で、4カ月続けてのマイナスとなった。

12月は「依然、消費増税後の反動が残る中、一部商材に回復傾向が見られたものの、暖冬で主力の重衣料など冬物商材が苦戦した」という。また、土曜日・祝日の2日減、さらに、円高などによる訪日外国人観光客売上高の不調などマイナス与件が重なったとしている。

顧客別では、国内市場(シェア95.3%)が5.2%減だったのに対して、訪日外国人観光客売上高(シェア4.7%)が0.8%減と3カ月連続のマイナスだったが、前年並みに戻しているとしている。

商品別では、主要5品目すべてで前年割れとなったが、年末商戦ではクリスマスケーキや手土産需要、生鮮食品などに動きが見られた。衣料品は天候与件からコートなどアウターの動きが鈍かった。

2019年の年間売上高は前年比1.4%減の5兆7547億円で2年連続のマイナスだった。訪日外国人観光客売上高は客数減を購買単価でカバーする形で、2.0%増の3461億円と3年連続のプラスで、過去最高額を更新した。

全国の百貨店の12月の営業日数は前年と同じ31.0日、113店舗の回答によると、入店客は12店が増え、69店が減ったとし、84店舗の回答によると12月の歳時記(歳暮、クリスマス、年末年始商戦)の売り上げについては9店が増え、34店が減ったとしている。東京地区(12社25店)の12月の売上高は同3.2%減(店舗調整後)の1750億3973万円と3カ月続けてのマイナスとなった。

国内91店舗の訪日外国人観光客需要の12月の売上高は同0.8%減の約299億2000万円と3カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが4.7%としている。

このうち、一般物品売上高は同5.6%増の約177億2000万円で、2カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同8.7%減の122億円、購買客数が同1.6%減の約43万7000人と7カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同0.8%増の6万8000円で、2カ月ぶりに前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年11月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から11月2位)が7カ月連続で2位、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位、6月、7月3位、8月4位、9月から11月3位)が4カ月連続で3位だった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から11月4位)と4カ月連続で4位だった。5位に子ども服が5位に戻った。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年11月まで1位)、2位は香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から6月3位、7月2位、8月から11月3位)が3位から2位に上昇した。

3位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位)で3位に下げた。4位に韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から11月4位)で4カ月連続となった。

5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月、11月5位)で、3カ月連続だった。6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月、11月6位)が3カ月連続、7位がマレーシア(2018年1月から2019年11月まで7位)と変わらなかった。