インド、検査数3倍が陽性者急増の一因、隔離怠るも致死率は3%(25)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年6月30日】インドの感染拡大は歯止めがかからず、今月末までに50万人に達するだろうとの予測はすでに立てていたが、本日25日で47万3000人(死者1万4894人)、2日後の27日には早々と大台に乗ってしまいそうだ。

コロナ禍前のプリーのビーチ。人が楽しそうに群れている。亜熱帯国の土壌ゆえ、インド国民には怠け癖があり、勤勉な日本人とは対照的。当地は田舎町ゆえ、それがとくに顕著で、コロナ下、こうしたルーズでいい加減な気性が裏目に出た形だ。

ひとつには、検査数が増えていることが挙げられ、検査数が1日5000回と少ないことを非難されていた首都デリー(Delhi)が、ムンバイ(Mumbai)同様、1日1万5000回に増やしたことで、当然のことながら陽性者も急増、一見感染爆発してしまったかに見えるという事情もある。

最悪は依然マハラシュトラ州(Maharashtra、14万3000人、死者6739人)だが、デリー(7万0390人、死者2365人)がタミルナドゥ州(Tamil Nadu、6万7468人、死者866人)を抜いて2位に踊り出、再度、ロックダウン(都市封鎖)の噂も飛び交う昨今、救いは何度も言っているように、回復率が55%以上と高いことと、致死率が世界平均の5%を下回る3.2%ということだ。

当オディシャ州(Odisha)も25日現在、感染者数5962人と6000人台に達する勢いで増大しているが、回復率は77%と高く、死亡者は17人、実質患者数は1815人である(当地プリー=Puri=は232人、うち155人が回復、死者1人)。

さて、こうしたコロナ真っ最中に、先日23日、無事無観客で恒例の名物山車祭が執り行われた。山車を引く信徒500人や僧をはじめ、関係者が厳かに祭式を執り行う中、僧の一団が法悦のあまり陶酔して踊り狂い、ソーシャルディスタンスをとっていない、密着しすぎるとの非難も後刻、飛び交った。

渋谷のディズニーストア前にて、往年のグループサウンズの王者「ザ・タイガース」がプリントアウトされたTシャツを着て佇(たたず)む息子(2017年7月)。

最高裁の指令で、お祭りに関わった全員とも検査を受けており、1人陽性者が出たというが、事前に病院に搬送されたとのこと、当日はプリータウン(Puritown)は完全封鎖、町外者が侵入できないようシャットダウンされたため、まるで初期のロックダウンが戻ってきたかのような静寂ぶり、表通りはしんと静まり返り、戒厳令下の町という物々しさだった。

10日後に帰社祭があり、3キロ離れた生誕寺院まで引いていかれた三位一体神の祀られた3台の山車が、またメインテンプルのジャガンナート(Jagannath)寺院に戻ってくるのだが、行き同様、町は完全封鎖されるだろう。

つまり、このお祭りが終わるまでは、ロックダウン継続ということで、私はすでに7月一杯続行を覚悟済みである。4カ月以上に及ぶ長いロックダウンになるが、ここまで来たらじたばたしたって始まらない、粛々と受け入れて、淡々と目の前のことをこなすだけだ。

今夜、いよいよ息子が帰省するが、感染爆発都市ムンバイ帰りで2週間の自宅隔離があるため、すぐには母子の対面はかなわず、ワッツアップ(WhatsApp)でコミュニケートしながらの、私邸と、隣接するホテルのビルの、2つのベランダ越しの対面となろう。

まるで、ロミオとジュリエットのような禁断の逢瀬、それにしたって、とにかくわが子が感染爆発都市を脱出できるのは、本当にほっとすることで、道中安全にたどり着くことを祈るばかりだ。

●コロナ余話/オディシャのスーパースプレッダー

北のハリヤーナ州(Haryana)のグルガオン(Gurgaon)から戻ったオディア(オディシャ州の女性)が、陽性にもかかわらず、2週間の自宅隔離を怠り、息子の誕生パーティーを催したり、結婚祝賀会に参列したせいで、17人の集団感染が発生し、ローカルメディアにスーパースプレッダー(Super Spreader)と揶揄され、恐れられている。

ほかにも、南隣のアンドラプラデシュ州(Andhra Pradesh)から戻った商人が隔離義務を無視し、取引のために州外に再度飛んだことで、感染が広がったケースがあり、いかにも、規律を守らないルーズな国民性を如実に反映する出来事だ。隔離センターや病院から逃げ出す人も続出、蔓延リスクを避けられず、懸念されている。

早期に全土ロックダウンを導入しながら、効果がいまひとつだったわけは、こんなところにある。世界最大の民主国家の弱点がもろに出た感じだ。州の権限が強いし、中央政府もまとめきれないのだ。共産主義国家のように強権発動でコントロールされない限りは、この野放図な国民を統制するのは至難の業だろう。

おうい、インド人、頼むから、ずるするのだけはやめてくれい、あなた自身と家族の大事な命を守るため、規律をちゃんと守ってくれい!と、日本人の私は土下座してでも懇願したい気持ちだ。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

6月30日現在、インドの感染者数は54万8318人、死亡者数が1万6475人。すでにイギリスを抜いて、アメリカ、ブラジル、ロシアに次いで4位になっています。州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。また、インドでは3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決めています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています)

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