丸善丸の内で山本容子「プラテーロ」展、波多野睦美、大萩康司も

【銀座新聞ニュース=2019年10月24日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は10月23日から29日まで4階ギャラリーで山本容子さんによる「物語に出会いを求めて-『詩画集 プラテーロとわたし』刊行記念」展を開く。

丸善・丸の内本店で10月29日まで開かれている山本容子さんによる「物語に出会いを求めて-『詩画集 プラテーロとわたし』刊行記念」展に出品されている「ロンサール」(2019年)。

1956年にノーベル文学賞を受賞したスペインの詩人、J.R.ヒメネス(Juan Ramon Jiménez Mantecon、1881-1958)の詩集「プラテーロとわたし」(縮約版1914年、完全版1917年)に、銅版画家の山本容子(やまもと・ようこ)さんが絵を描いた「詩画集 プラテーロとわたし」(翻訳は波多野睦美=はたの・むつみ=さん、理論社、税別1700円)を10月に刊行したのを記念して、展示会を開いている。

「プラテーロとわたし」はアンダルシア地方の自然や人々について、ロバのプラテーロに語りかける形で描かれている。日本大百科全書(ニッポニカ)によると、「銀色のロバ、プラテーロ(小さくて、むくむく毛が生え、ふんわりしている)に託して、モゲールの自然やそこに住む人々との交流を歌ったもの。全編に流れる生きとし生けるものに対する愛と善意に裏打ちされた繊細な叙情性、ときおり織り込まれる哀切なドラマティズムは、散文でありながら詩の極致を思わせる」としている。

この詩集には、イタリア生まれのユダヤ系作曲家、カステルヌオーヴォ=テデスコ(Mario Castelnuovo-Tedesco、1895-1968)が作曲したギターと朗読のための28曲がある。今回は、メゾソプラノ歌手・波多野睦美さんが「音楽に合わせた朗読」にふさわしい日本語訳を手掛け、その世界を包みこむような山本容子さんの銅版画、大萩康司(おおはぎ・やすじ)さんのギター演奏とあわせて、全28曲の2枚組のCDとしても刊行されている。その詩画集版が理論社から刊行された作品だ。

山本容子さんは1952年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ、1966年にカトリックの洗礼を受け(洗礼名ベルナデッタ)、1972年に京都市立芸術大学美術学部西洋画科に入学、1975年に第27回京展紫賞を受賞、1976年に第1回アート・コア賞、1977年に第2回京都洋画版画美術展で新人賞、第2回現代版画コンクール展でコンクール賞、1978年に結婚(1982年に離婚)、京都市立芸術大学美術学部西洋画専攻科を修了、京都市立芸術大学の非常勤講師、第2回日本現代版画大賞展で西武賞を受賞している。

1980年に京都市芸術新人賞、エイボン女性年度賞芸術賞、1983年に第4回韓国国際版画ビエンナーレで優秀賞、1992年に「Lの贈り物」で第23回講談社出版文化賞ブックデザイン賞、1996年に再婚(2004年に離婚)、2000年にキリンビール「キリン21世紀ビール」(2000年11月数量限定発売)の缶のパッケージデザインを担当している。

26日17時から山本容子さん、翻訳で朗読する波多野睦美さん、ギター奏者の大萩康司さんによるミニトークと、終了後にサイン会がある。ギャラリーにて対象書籍、CDを購入すると、先着80人に整理券を配布している。

開場時間は9時分から21時(最終日は16時)まで。入場は無料。