インドで日々8万超、日本向航空運賃、現地系が日系の半値(41)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年10月7日】9月29日現在、インド全土の感染者数は、615万人(回復者510万人、死者9万6318人)、2日前に600万人の壁を越えた。

プリーの宗教シンボル、12世紀創建の由緒あるジャガンナート寺院で、351人の僧と53人の事務関係者の集団感染が発生、住民を縮み上がらせた。コロナ禍には、神様のご利益も無効?(画像はウィキペディアより)

最悪州は依然マハラシュトラ(Maharashtra)で、135万人、次いでアンドラプラデシュ州(Andhra Pradesh)の68.1万人と続く。 だだし、1日の感染者数は8万2000人超と、ついこの間まで連日9万人超だったのに比べると、やや減少傾向にある。とはいえ、これも、今後の推移を見ないと、このまま減り続けるのかどうかはわからない。

東部の当オディシャ州(Odisha)も既に21万人を超え(実質陽性者数3万8000人超)、死者は800人超と、拡大が続いている。当地プリー(Puri)の実質陽性者数は1038人と、ここしばらく変わらなかったが、グランドバザールの名高いヒンドゥ教のジヤガンナート寺院(Jagannath Mandir)で404人もの僧並びに関係者の集団感染が発覚、大掛かりな感染に今後の宗教的行事の催行が危ぶまれている。

コロナ下でまだ一般開放されていなかったらしいが、主神のユニバースロード(宇宙の主)、ジヤガンナート神をはじめとする三位一体神が祀られた聖域(サンクチュアリー)のスペースが十分でなく、大勢の僧が儀式を行うにあたって、密になったことが原因のようだ。

それにしても、恒例の山車祭を6月に無観客で敢行したときには、大丈夫だったのに、以後、全土規模の解除て、気が緩んだということかもしれない。わが家の隣のテンプルも毎朝夕、小規模の集会を催しているが、大丈夫だろうかと、心配になってしまう。密になるほどの大人数でなくても、祈りの唱歌や、お経で飛沫感染もありえそうだ。

初期にイスラムやシク教(Sikh)の集会における集団感染が問題になったが、お膝元での宗教関係感染には、さすがの私も驚いた。やはり、宗教集会というのはインドならではのネックである。周辺エリアに住んでいる甥一家は一旦避難所としていた当ホテルから帰宅しながら、数日前からとんぼ帰り、またしても仮住まいを強いられる羽目に陥った。

当C.Tロードのホテル街に観光客はほとんどおらず、レストランも休業しているところが多く、開けていても、開店休業状態である。しかし、路上に繰り出す地元民はずいぶんと増えた。浜の散歩はいつも、密を避けて午前中に出ていたが、今日は久々に夕刻に繰り出した。

砂浜では、子供たちがクリケットに興じており、人出も、朝に比べると多めで、当方を神経質にさせた。やはり、午前中の方がいいようだ。メインテンプルで大規模感染が発生した今、市中感染が広がることが怖い。

さて、そんな状勢下、臨時便(往路のみ)の情報を探っていた私は、チケット購入はインドの旅行代理店(いずれも可)を通さなければならないことを知り、10年くらい前に利用者した首都デリー(Delhi)の日本人御用達のトラベルエージェンシーに問い合わせてみた。

メールの返答でわかったことは、日本航空と全日空だけでなく、インド航空も、月1便出していることで、日本の航空会社が15万円前後と高額なことに比べると、8万円前後と、格安なことだった。

領事館からのお知らせでは、漏れていたもので、お得な情報に喜んだ。が、差し当たっては、亡夫の1周忌を11月22日に控えているので、それ以降ということになり、目下は情報収集のみに努めている。

ほかにわかったことは、予約は開始日に殺到してすぐ満席になるので、なるたけ早めがいいこと、その後キャンセルがぼちぼち入り、空きが出るとのことだった。また、8月頃までは、購入者は日本人オンリーだったが、インド人ビジネスマンも増えているとのこと、IT関係かと、推測した次第だ。

知る人ぞ知る、東京の西葛西はリトル・インディアとして有名で、私も物見遊山で訪ねたことがあるが、日本で勤務するITエンジニア集団が新興住宅地のマンションに暮らしており、インド人の溜まり場になっているのだ。インド料理レストランが何軒もあって、現地食材店もある。

日本も、ビジネス関係の外国人に限って国際線の門戸を開くと言われている昨今、既に商工会がチャーター便運航で、日印のビジネス往来が始まっているが、インド航空もそうした需要を見越した上での臨時便運航かもしれない。後、日本在住のインド人を運ぶついでの、帰路活用とも考えられる。

さて、一旦は封じ込めに成功したデリーの現在の感染状況だが、27万人超と急増、実質陽性者数も3万人超と倍増、しかし、同トラベルエージェンシーのオーナーによると、外国人旅行者に有名な安宿街・パハルガンジ(Paharganj)は、観光客がいなくて静かだが、ほぼ平常に戻っているとのこと、同店がロビーに入っている日本人御用達のホテルも営業中、さすがに日本人はいないが、近い将来利用するにも、問題ないようだ。

実は、デリー近郊の日系企業集積地・グルガオン(Gurgaon District)に滞在することも考えたのだが、土地勘がない未知の場所のため、やはり、慣れたところがいいかと、考え直した次第だ。送迎も、滞在先もセットでアレンジしてくれる顔なじみのところの方がコロナ下では、安心できる。

と書いていると、もう帰る気でいるみたいに思われるかもしれないが、実際のところは私にも、わからない。状勢次第、帰ると決めても、チケットが手に入らなければ、どうにもならない。流れに委ね、グッドタイミングが来たら、今だと動くつもりでいるが、友人連中は、冬はインフルエンザとのダブル攻撃も怖いし、暖かいインドで待機した方がいいのではと、懐疑的だ。

郷里福井在住の旧友など、インド帰りが広めるリスクを避けて、そこにとどまれと冷ややかそのもの、もろ敬遠された(トホホ)。

まるっきり感染者扱いだが、無理もない。私だって、息子が感染爆発都市ムンバイ(Mumbai)から帰郷したとき、警戒したもの、別棟のホテルに自主隔離した息子に話しかけるのも、距離を置いてで、極力接触を避けていた。母子や、旧知の友人との仲をも遠ざける、なんとも因果なウイルスなり。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

10月1日現在、インドの感染者数は622万5763人、死亡者数が9万7497人、回復者が518万7825人、アメリカに次いで2位になっています。州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。また、インドでは3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています)