丸善日本橋で万年筆展、中屋や大橋堂等、石丸のインク調合も

【銀座新聞ニュース=2019年3月4日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は3月6日から12日まで1階と地下1階などで「第10回世界の万年筆展-歴史を綴る」を開く。

丸善・日本橋店で3月6日から12日まで開かれる「第10回世界の万年筆展-歴史を綴る」のフライヤーで、限定販売品が紹介されている。

丸善・日本橋店が2007年に全面改装し、3周年を記念して2010年から開いている恒例のイベントで、世界各国の名前の知られているブランドから国内の手づくり万年筆まで世界の万年筆を展示販売する。また、ペンクリニックや万年筆組立て教室などのイベントも開く。

希少万年筆が淡いグリーンと深みのあるグリーンはシーグリーンと呼ばれ、ストライプ軸の中では珍しく、残存数が極めて少ないという「ユーロボックス ペリカン 500NN シーグリーン ストライプ」(1956年製、税込13万8240円)で、ペン先がM(中)。

ウェーブとバーレー模様が、8角のキャップとバレル全体に細工されている、シルバー製としては初期の1924年頃に製造されたモデルで超希少「ユーロボックス モンブラン シルバーオクタゴナル セーフティ No.1ウェーブ&バーレー」(1924年頃製、29万7000円)で、ペン先がM。

オリジナル万年筆として出品されるのは、プラチナ万年筆(台東区東上野2-5-10)の子会社、中屋万年筆(台東区東上野2-5-16、岩原ビル2階)が「十角赤溜軸(じゅっかくあかだめじく)」をベースに、「付描き溜透かし(つきえがきためすかし)」という技法で日本橋の象徴、「日本橋」を描いた「シガー十角付描き赤溜透かし 日本橋」(税込16万2000円、限定20本)で、ペン先が14金、字幅がUEF(超極細)、EF(極細)、F(細)、SF(細軟)、M(中)、SM(中軟)、B(太)、BB(極太)の8種類。

仙台大橋堂(宮城県仙台市青葉区中央3-8-5、新仙台駅前ビル1008、022-266-2332)が何層にも異なる色の漆を重ね、最後に凹凸部分を削り出し、下地の色を見せた「本漆 削り出し万年筆 暁月夜(あかつきづくよ)」(14万400円、限定10本)で、ペン先は21金にし、字幅がF、M。

笑暮屋(えぼや、荒川区荒川1-38-6、03-3891-5258)がエボナイトを組み合わせ、黒、緑、黄色で製造したランダムレイヤーのエボナイト素材で仕上げた、春の息吹と若さ溢れ、力強さを3色で表現し、元号が改まる新時代が栄えるようにという願いを込めた「宝珠型エボナイト万年筆 Lサイズ 栄彩」(5万4000円、10本限定)で、ペン先が14金、字幅がF、MF、M、Bの4種類。すでに予約で完売している。

M600モデルにオレンジを採用した「ペリカン M600 バイブラントオレンジ」(4万8600円)はペン先が14金、字幅がEF、F、M、Bの4種類。ステンレスワイヤーが編みこまれた特徴的なボディ「ポルシェデザイン P3110 テックフレックス万年筆」(6万4800円)はペン先が18金、字幅がF、M。

ブラックラッカーの光沢で、アクセントの上位モデル、ラミーの「アクセントBRブライヤーウッド万年筆」(3万4560円)でペン先が14金、字幅がEF、F、M、Bなどだ。

丸善オリジナルインキで、1916(大正5)年から製造販売されている「丸善アテナインキ」の日本橋店限定で、第10回を記念して丸善が日本橋に社屋を構えた年を冠したインク「日本橋 一八七〇」(2160円、300個限定、1人3個まで)も出品される。

そのほか、丸善・日本橋店オリジナル万年筆袋2万1600円(20袋限定、約4万円相当)と1万800円(50袋限定、約2万円相当)は6日9時30分から1階地下鉄側入口で販売する。2万1600円は「セーラーのプロフィット21万年筆黒軸中細字」(2万1600円)や「スリップオン ペン&メガネスタンド スクエア WDI-2601 BK」などが入っている。

1万800円は「プラチナ センチュリー万年筆 黒軸 細軟」(1万800円)や「プラチナ ミクサブルインク2色」などが入っている。

ウイキペディアによると、「万年筆」は1809年にイギリス人がペン軸にインクを貯蔵するペンを発明し、特許を取得したのが最初とされ、1883年にアメリカの保険外交員ルイス・エドソン・ウォーターマン(Lewis Edson Waterman、1837-1901)が、調書にインクの染みを作ってしまい、契約を取り逃がしたことをきっかけとして、毛細管現象を応用したペン芯を発明したことが万年筆の基となった。

万年筆が日本に入ってきたのは1884年で、横浜のバンダイン商会が輸入し、東京日本橋の丸善などで販売された。当時は「針先泉筆」と呼ばれ、「万年筆」と命名したのは、1884年に日本初の国産万年筆を模作した時計商の大野徳三郎(おおの・とくさぶろう、生没年不詳)と言われている。戦前は日本の万年筆製造が盛んで、1940年には世界生産量の50%を日本で生産していたといわれている。

万年筆はペンとともに1960年代頃まで、手紙やはがき、公文書などを書くための筆記具として主流であったが、徐々にボールペンに取って代わられ、1970年代に公文書へのボールペンの使用が可能になり、また水性ボールペンが開発されたことにより、万年筆は事務用、実用筆記具としては利用されなくなっている。

パーカーなどによると、パーカーは1888年にアメリカ人のジョージ・S・パーカーがペンの特許を申請し、アメリカで筆記具の製造をはじめ、1894年にインク漏れを防止するインク供給システム「ラッキー・カーブ」を発明し、2件目の特許を取得、1906年に金とスターリングシルバーを使った「スネークペン」を発売、1914年に戦場の兵士のために作られた、乾燥した固形インクが装着され、水に浸すだけでインクの役割を果たし、すぐに書き出せる「トレンチペン」が誕生し、1918年に売上高が100万ドルを達成した。

1921年にオレンジ色と25年保証の最高ライン「デュオフォールド(Duofold)」が発売され、1931年に3年間で1021回もの実験を経て開発した速乾性インク「クインク(Quink)」が発売され、1933年に「矢羽クリップ」(1957年からブランドの正式なアイコンとなる)を初採用し、当時の一般的なペンの2倍以上のインク容量とインク残量を目で確認できる「バキューマティック」が発売され、社長を引き継いだケネス・パーカー(Kenneth Parker)が1941年に創業51年を記念して「パーカー51」を発売し、1945年5月7日にドイツの降伏文書の調印にドワイト・D・アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower、1890-1969)が「パーカー51」を使用した。

1954年にパーカー初のボールペン「ジョッター」が発売され、初年度に350万本を販売し、1962年に英王室から「ロイヤルワラント(王室御用達)」の称号を授かり、パーカーが英王室御用達となる。1987年にスターリングシルバーを使った4つの「パーカー75」モデルがカスタムメイドで登場し、12月8日に中距離核戦力全廃条約への調印の際に、アメリカ大統領のロナルド・レーガン(Ronald Wilson Reagan、1911-2004)と旧ソ連書記長のミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Sergeevich Gorbachev、1931年生まれ)さんが「パーカー75」を使用した。

1987年に英国資本が入り、本部を英国に移転し、1993年にプロクター・アンド・ギャンブル傘下のジレット社が買収し、2000年にニューウェル・ラバーメイド・グループのオフィス用具部門のサンフォードの傘下になり、2009年に英国工場が閉鎖され、生産拠点がフランスとなっている。

期間中、1階催事フロアでは6日から12日の11時から19時まで笑暮屋がエボナイト万年筆を販売する。

6日から10日の11時から19時まで「ユーロボックス」がビンテージ万年筆を販売する。
6日から12日の11時から19時まで「手作り万年筆の大橋堂」が手作り万年筆を実演販売する。

7日から9日の11時から19時まで「中屋万年筆」が手作り万年筆を実演販売する。

10日から12日の11時から19時(最終日は15時)まで「セーラー万年筆」のインクブレンダーで入社以来30年以上経つ、石丸治(いしまる・おさむ)さんがインクの調合の実演販売をする。1人1色2本(1本は50ミリリットルで2160円)まで販売する。9時30分から予約を受け付ける。

石丸治さんは1953年山口県宇部市生まれ、1976年にセーラー万年筆に入社、天応工場(広島県呉市)研究科に配属され、2005年にインクブレンダーとして全国で「インク工房」を始めている。

6日9時30分から17時30分まで「パイロットコーポレーション」が万年筆筆圧測定を行う。

地下1階では、6日と7日の9時30分から17時30分まで「パイロットコーポレーション」のペンドクターによるペンクリニックを行う。9時30分から予約を受け付ける。

8日と9日の9時30分から17時30分まで「サンライズ貿易」(千代田区岩本町2-13-6、03-5833-7701)のペンドクターの宍倉潔子(ししくら・きよこ)さんがペンクリニックを開く。9時30分から予約を受け付ける。

3階では8日と9日の11時から19時まで「パイロットコーポレーション」が万年筆組立教室を開く。参加費は税込540円。整理券を9時30分から配布する。

開場時間は9時30分から20時30分まで。