中銀カプセルビル保存でTORIENAのミニライブとトークをLINEで配信

【銀座新聞ニュース=2017年3月17日】中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト(中央区銀座8-16-10、中銀カプセルタワービル)は3月21日17時から22時まで中銀カプセルタワービルでTORIENAさんによるトークとミニライブの配信を行う。

「中銀カプセルタワービル」内のカプセルと、3月21日にミニライブなどを配信するトリエナ(TORIENA)さん。

チップチューン(ゲーム機の内蔵音源チップから誕生した音楽で、ファミコンやゲームボーイ機を「楽器」として使う)歌手で、シンガーソングライターのトリエナ(TORIENA)さんが中銀カプセルタワービルの一室から、ミニライブ、コラボイラストの制作、カプセルをモチーフとした新曲デモ音源づくりの様子などを「ライン・ライブ(LINE LIVE)」から配信する。

放送に際して、クラウドファンディングを立ち上げ、番組内で制作された新曲、コラボイラストTシャツ、ポストカード、原画などの「リターン」(寄付金に対する返礼)を通じ、利益の一部を中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトの活動に充てる。

また、今回のイベントをライン・ライによる配信にするのは、場所がカプセルと狭く、一般客の来場が厳しいためで、しかも、光回線が設備されていないマンションなので、回線の設置、チェック、機材の選定などを行っている。

1972年以来、45年を経ても大規模修繕が行われず、老朽化が進んでいる「中銀カプセルタワービル」。

ウイキペディアによると、中銀カプセルタワービルは建築家の黒川紀章(くろかわ・きしょう、1934-2007)に設計し、1972年に竣工したカプセル型の集合住宅(マンション)で、当初は交換が予定されていたカプセルも一度も交換されず、大規模修繕工事も実施されていないため、老朽化に伴う取り壊しが検討されている。

地上11階(一部は13階)、地下1階で延べ床面積が3091平方メートル、ビジネスマンのセカンドハウス、オフィスとして想定され、内装はベッド、エアコン、冷蔵庫、テレビ、収納などが作りつけで完備され、洗濯機などの日用品は排されている。設備の老朽化と外壁内側の壁・天井・床全面にふき付けアスベストが使用され、2006年9月に開かれたマンションの区分所有者の総会によって、建て替えが決まったと報道されてが、過半数の所有者が賛成しただけで、区分所有法で定められている議決権及び区分所有者の80%以上の賛成を得られていなかった。

2007年4月に臨時総会で区分所有法に基づき、マンションの建て替え決議が行われ、5分の4以上に達したため建て替えが正式に決定したが、建て替えを担当するゼネコンが倒産し、建て替えのないまま2年が経過し、2009年に決議が無効になっている。2014年12月の総会で建て替えか大規模修繕かの決議が再度行われる見込みであったが、大規模修繕は否決され、建て替えに関する決議も保留されたままになっている。2014年に取り壊し反対派がクラウドファンディングで寄付を集めた際に目標150万円に対して最終的に200万円以上が集まるなど、保存すべきとの意見も根強くなっている。2015年には管理組合が禁止しているものの、ネットを通じた民泊という形のカプセル利用が行われている。

トリエナさんは1993年北海道生まれ、立命館大学文学部(中国文学専攻)を卒業、在学時に音楽サークルでゲームボーイ用の音楽制作ソフトを入手し、京都府を拠点に音楽活動をはじめ、2012年に音楽フェスティバルに出演し、2013年に「NNNNNNNNNN」と共にチップチューン専門レーベルを立ち上げ、2014年にアルバムを発売し、卒業後、ウェブ・デザイナーの職に就いたが、音楽活動に専念するため、3カ月で退職し、2016年にボーカル・アルバムを発売した。また、コナミ社やカプコン社などのゲームに楽曲を提供している。