ヴァニラ、木村龍、近藤智美ら「幽霊画廊」、吉田怪談咄も

【銀座新聞ニュース=2018年8月21日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は8月21日から9月2日まで特別企画展「幽霊画廊4ー百物語」を開く。

ヴァニラ画廊で9月2日まで開かれている特別企画展「幽霊画廊4ー百物語」のフライヤー。

ヴァニラ画廊が2011年11月に最初の「幽霊画廊」を開き、小妻容子(おずま・ようこ=、小妻要=おずま・かなめ=、1939-2011)ら16人の作家の作品を展示し、2回目の2015年8月は「地獄の窯も開くこの季節、ヴァニラ画廊は恨み辛み満ちあふれ、成仏できずに彷徨(さまよ)い続ける魂たちが一堂に集う幽霊画廊」として開いた。

2016年の3回目は「この世から肉体が朽ちてしまったとき、人の魂はどこに行くのでしょうか。それは答えの出ない問です。それゆえに古来より現世に残った魂、悲しみ、恨み、嫉妬、羨望等の言葉にならない思いを、さまざまな形で幽霊という形に託し、イメージしてきました。(略)他界が近くなるこのお盆の時期、さらに新たな作家陣も加わり、さらに広角から幽霊のイメージの深層に迫る3回目の幽霊画廊」を開いた。

今回、4回目は「人間の無意識に潜む死者への畏(おそ)れと憧(あこが)れはまた、生きている人々の存在意義を根底から揺るがすのです。私たちとその祖先は、何に怯(おび)え畏怖(いふ)し結界をはり、そして祈祷をささげたのか。死装束(しにしょうぞく)の足のない幽霊から、あらゆる幽霊のかたち」を展示する。

今回、作品を出品するのは、人形造形、絵画の木村龍(きむら・りゅう)さんら現代作家の17人と、幕末から明治前期にかけて活動した浮世絵師、月岡芳年(つきおか・よしとし、1839-1892)ら江戸期の7人の浮世絵師の幽霊浮世絵コレクション作品を特別展示する。

出品者は、1950年生まれ、ボックスアート、球体関節人形を主に制作し、三鷹市で人形教室を主宰する木村龍さん、台湾の画家、KCNさん、1985年広島県生まれ、18歳で広島から上京して、渋谷で「マンバギャル(ガングロといわれたヤマンバの第2世代)」を経験し、その後、独自の画風で絵を描いている近藤智美(こんどう・さとみ)さん。

1946年静岡県島田市生まれ、中学卒業後、造船所の溶接工として働き、21歳の時、横浜「彫よし」により背に天女と龍の刺青を彫り、1971年に「彫よし」の弟子になり、1979年に「三代目彫よし」を襲名し、1985年にローマの「タトゥーコンベンション」に参加し、世界の刺青愛好家と交流している三代目彫よし(さんだいめ・ほりよし)さん。

和歌山県田辺市生まれ、京都造形芸術短期大学専攻科を卒業、イラストレーターで、2005年に血管肉腫により、右脚を股関節から切断している須川(すがわ)まきこさん、1989年生まれ、神奈川県横浜市で育ち、多摩美術大学絵画油画専攻を卒業、イラストレーターとして活動しながら、自らも制作し、とくに女の子を描くのが好きという空野菜摘子(そらの・なつこ)さん。

イラストレーターの高橋美貴(たかはし・みき)さん、作家の田村幸久(たむら・ゆきひさ)さん、1956年三重県明和町生まれ、2007年にヴァニラ画廊で個展、その後、主に三重県で個展を開いている所伸一(ところ・しんいち)さん、1994年栃木県生まれ、2017年3月に日本大学芸術学部を卒業、同年4月に同大学大学院造形芸術専攻修士課程に在籍している戸野塚(とのつか)はづきさん。

1982年生まれ、2002年から作品の制作をはじめ、「ガラスの小鳥社」を結成し、活動しているイラストレーターで創作人形作家の鳥居椿(とりい・つばき)さん、1998年に「恐怖の館DX」でデビュー、ぶんか社の「月刊本当は怖いグリム童話」や「都市伝説シリーズ」(2001年から2008年)、ホーム社の「コミック特盛」や「新耳袋アトモス」などで連載し、2007年に映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」のイラストや映画の中のマンガを制作し、2013年から2016年まで「サディスティックサーカス」のポスターを制作している呪(のろい)みちるさん。

1988年生まれ、2008年ころから独学で人形制作をはじめ、2011年にヴァニラマニアで個展、横浜浪漫館企画展に参加(2012年も)、2013年にヴァニラ画廊で個展を開いている泥方陽菜(ひじかた・はるな)さん、

多摩美術大学を卒業、2007年に同大学大学院美術研究科博士前期課程彫刻専攻を修了、三菱地所の「アート・アワード・トウキョウ」に参加、2014年に「みなとメディアミュージアム2014」に参加、2015年に「第3回ヴァニラ画廊大賞展」で大賞を受賞している横倉裕司(よこくら・ゆうじ)さん。

1984年愛知県生まれ、2007年に名古屋造形芸術大学(2008年に「名古屋造形大学」に改称)美術学科を卒業、鉛筆で女性を描く画家の水元正也(みずもと・まさや)さん、特殊メイク、特殊造形などを手掛ける相蘇敬介(あいそ・けいすけ)さんが率いる「リンクファクトリー(LINK FACTORY) 」、

アメリカの公私ともにパートナーで、セットデザイナー、フォトイラストレーターのステーシー・ランサム(Stacy Ransom)さんとアートディレクター、カメラマンのジェイソン・ミッチェル(Jason Mitchell)さんノユニット「ランサム&ミッチェル(Ransom&Mitchell)」。

また、特別出品として幽霊浮世絵コレクションを展示するのは、幕末から明治前期にかけて活動した浮世絵師、月岡芳年(つきおか・よしとし、1839-1892)、明治期の浮世絵師、旭斎国輝(三代目歌川国輝、あさひさい・くにてる、生没年不詳)、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい、1831-1889)。

幕末から明治にかけて活動した浮世絵師、豊原国周(とよはら・くにちか、1835-1900)、江戸時代末期の浮世絵師、歌川国芳(うたがわ・くによし、1798-1861)、江戸時代の浮世絵師、歌川豊国(うたがわ・とよくに、1769-1825)、歌川国貞(3代目歌川豊国、うたがわ・くにさだ、1786-1865)、明治時代の浮世絵師、望斎秀月(ぼうさい・しゅうげつ、生没年不詳)。

25日と9月1日の17時30分から19時30分まで怪談サークル「とうもろこしの会」会長で、オカルト研究家の吉田悠軌(よしだ・ゆうき)さんが「幽霊画廊怪談夜咄2018」を語る。参加料金はワンドリンク付で2000円だが、すでにいずれも募集を終了している。

吉田悠軌さんは1980年生まれ、オカルトスポットマガジン「怪処」の編集長を務めている。

開場時間は12時から19時(土・日曜日・祝日17時)で、入場料500円。無休。

注:「高橋美貴」の「高」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として現代漢字(常用漢字)を使用しています。