国立近代美で独在住のイケムラレイコ展

【銀座新聞ニュース=2011年8月21日】東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園3-1、03-5777-8600)は8月23日から10月23日までイケムラレイコさんによる「うつりゆくもの」を開催する。

画家で彫刻家、国立ベルリン芸術大学教授のイケムラレイコ(池村玲子)さんがドイツで制作してきた作品を中心に絵画、彫刻、ドローイング約145点を展示する。展示のデザインは建築家フィリップ・フォン・マット(Philipp von Matt)さんが協力している。

イケムラレイコさんは、キャンバス地から浮かびあがってくる女、キャベツの頭を持つ人、岩の中に見える怪物のような顔など、幽霊とも思えるような存在をつくる。それらは「動物と人間との間の進化論的関係、手つかずの自然と人間による文明」(東京国立近代美術館)などで、「相補的で、往復可能で、蛇行的(だこうてき)で、終わりのないものとみなし、それを自らの作品において表現している」(同)という。

東京国立近代美術館ではイケムラレイコさんは「エコロジカル」な面からも評価する。絵画は人間の身体に合わせた大きさ、彫刻の素材には土へと返りやすい粘土、ドローイングでは木炭やパステルに紙といった材料を使っているからだ。

イケムラレイコは1951年三重県津市生まれ、1972年に大阪外国語大学スペイン語専攻を学び、1973年から1978年までスペインのセビーリャ美術大学に留学、1979年からスイス・チューリッヒで暮らし、個展を開き、1983年にドイツのニュルンベルクに移り、1991年から国立ベルリン芸術大学の教授を務め、毎年スイスをはじめ、ヨーロッパで個展を開いている。現在、ドイツのベルリンとケルンを拠点に活動している。

8月27日13時から地下講堂でイケムラレイコさん、京都市立芸術大学准教授の加須屋明子(かすや・あきこ)さん、東京国立近代美術館研究員で本展企画者の保坂健二朗(ほさか・けんじろう)さんが「芸術におけるエコロジー」と題してシンポジウムを開く。

9月17日、10月15日、10月22日の13時から1階企画展ギャラリーで、保坂健二朗さんによるギャラリートークを開く。

加須屋明子さんは1963年兵庫県生まれ、1988年に京都大学大学院哲学研究科修士課程美学美術史学専攻を修了、1989年から1991年までポーランドのクラクフにあるヤギェウォ大学哲学研究所美学研究室に留学。

1991年に京都大学大学院哲学研究科博士後期課程美学美術史学専攻単位取得で満期退学、同年に国立国際美術館学芸課研究員、2000年に国立国際美術館学芸課主任研究官、2008年に京都市立芸術大学美術学部准教授に就任している。

保坂健二朗さんは1976年茨城県生まれ、1998年に慶応大学文学部哲学科美学美術史学専攻を卒業、2000年に慶応大学大学院文学研究科哲学専攻前期博士課程を修了、4月より東京国立近代美術館研究員を務めている。

開館時間は10時から17時(金曜日は20時)、休館日は月曜日。月曜日が休日の場合は翌日。料金は一般850円、大学生450円、高校生以下無料。シンポジウムもトークも入館すると無料で参加できる。