世界地下鉄(3)ギマールのパリ地下鉄、遺跡だらけのアテネ地下鉄など

(「世界の地下鉄15選」は数回に分けて掲載します。過去の記事については店舗名、個人名などを検索すると見られます)
【銀座新聞ニュース=2013年5月16日】トリップアドバイザー(渋谷区恵比寿西1-10-11、03-6416-9333)はこのほど、「バケットリスト 死ぬまでに訪れてみたい 世界の地下鉄15選」を発表した。

トリップアドバイザーが発表した「バケットリスト 死ぬまでに訪れてみたい 世界の地下鉄15選」で7位のパリの地下鉄メトロ12号線の駅「アベス駅」だ。入り口のデザインはアールヌーボー建築の代表とされながら「忘れられた建築家」ギマールが設計した。

トリップアドバイザーの「バケットリスト(Bucket List、棺桶=かんおけ=リスト)」シリーズのひとつで、英語の口語表現では「死ぬまでにやっておきたいことの一覧」という意味になる。今回は「世界の地下鉄15選」で世界を代表する主な地下鉄を紹介する(順位は不同)。

7位がフランス・パリの地下鉄メトロ12号線の駅「アベス(Abbesses)駅」だ。パリ最初の地下鉄建設に際して、1899年4月にパリ都市鉄道会社(Compagnie du chemin de fer métropolitain de Paris: CMP)が設立され、同社が建設の一部と運営を担うことになった。この結果、「メトロ」という言葉はパリの地下鉄の通称となったのみならず、地下鉄を表す名称として世界中で用いられるようになったといわれている。

1900年に1号線がパリ万博の開催に合わせて開業した。パリの地下鉄はCMPが1号から6号線を1909年までに開業させ、その後に設立された南北地下鉄会社が、架空線集電方式で12号線を1910年に、13号線を1911年に開業させた。南北地下鉄会社の2路線はその後、CMPに合わせて第三軌条化され、1930年には、CMPに運営が一元化された。こうして1935年には、現在の14号線を除く大部分の地下鉄網が完成している。

トリップアドバイザーが発表した「バケットリスト 死ぬまでに訪れてみたい 世界の地下鉄15選」で8位のアテネの地下鉄2号線「アクロポリ駅」だ。地下鉄建設で多くの古代ギリシャ時代のアテナイの遺跡が発掘されたため、一部はそのまま駅構内にレプリカが展示されている。

RATPは1948年3月21日に、公共旅客輸送事業者としてパリ交通公団(Regie Autonome des Transports Parisiens、略称・RATP)が設立され、パリメトロを運営していたパリ都市鉄道会社(Compagnie du chemin de fer metropolitain de Paris、略称・CMP)と、パリ地域で路線バスを運営していたSTCRP(パリ地域公共交通会社、1921年設立)の資産を統合する形で発足し、以降RATPがイル・ド・フランス圏(パリ首都圏)の地下鉄と他の公共交通システムを管理・運営することになった。

現在、イル・ド・フランス圏には、地下鉄のほかに、郊外鉄道、郊外と都心を結ぶ地域急行線(RER)、ライトレール、オルリーVAL(新交通システム)があり、地下鉄、RER(一部)、ライトレール、オルリーVALはRATPが、郊外鉄道とRER(一部)はSNCF(フランス国鉄)イル・ド・フランス圏旅客局が運営している。

トリップアドバイザーが発表した「バケットリスト 死ぬまでに訪れてみたい 世界の地下鉄15選」で9位がアメリカ・ロサンゼルスのハリウッドの地下鉄にある「ハイランド駅」だ。この駅の側にはアカデミー賞授賞式の会場である「ハリウッド&ハイランドセンター」のドルビーシアターがあり、授賞式ではテロ対策のため、駅は閉鎖される。

1935年に一部開業した11号線は、1958年に地下鉄として世界で初めてゴムタイヤ式車輪を採用した。現在では5路線(1、4、6、11、14号線)がゴムタイヤ式となっている。また、2号線のポルト・ドーフィン(Porte Dauphine)駅などの終端駅や中間駅での折り返しに、ループ線を利用する例が見られる。

地下鉄14号線の建設計画は、メトロ東西急行線(メテオール=METEOR)計画と呼ばれ、パリ中心部を連絡する高速新線として計画され、63年ぶりの地下鉄新線として1998年10月に開業し、ホームドアがついた全自動無人運転が実施されている。

その後、2003年に延伸され、当初計画された全線が開業した。2007年6月には南側への延伸工事が進められている。今後、2006年に発表された総合地方計画で、2013年までに、1971年開業の3ビス(bis)線と1967年開業の7ビス線を統合・連絡し、15号線とする予定だ。

また、2010年以降を目途に、1号線の無人運転化が実施される予定で、このために必要な信号システムの更新やホームドアの設置計画が発表されており、既存駅でのスクリーンドアの試行設置が実施されている。

アベス駅はパリの18区にあるメトロ12号線の、モンマルトルのアベス広場に出る駅で、1900年にパリに地下鉄が開通した年から残っている入口が特徴で、駅自体は1912年10月31日に開業したが、入り口のデザインはアールヌーボー建築の代表とされながら「忘れられた建築家」ギマール(Hector Guimard、1867–1942)が設計した。組み換え自在な構築物となっている。

8位がギリシャ・アテネの地下鉄2号線(ラインカラーが赤)「アクロポリ(Akropoli)駅」だ。地下鉄建設にあたり、ザクザク遺跡が出土するアテネの地下鉄で、アクロポリ駅のように、発掘された品々がそのまま展示されているところも少なくない。

アテネ地下鉄は、ギリシアの首都アテネの地下を走る公共交通機関で、ISAP社(Ilektrikoi Sidirodromoi Athinon-Pireos、アテネ-ピレウス電気鉄道)とアッティカ・メトロ社(Attiko Metro Operations Company)という2つの事業者により運営されている。

ISAP社が運営する1号線(ラインカラーが緑)は1869年にアテネとピレウスを結ぶ蒸気鉄道として開業し、1904年に電化され、今日では郊外のキフィシアまで開通している。全長約26キロで、グリーンラインとして知られている。

開業当初が蒸気鉄道だったことからもわかるように、ほとんどの部分が地上走行で、地下鉄部分はアテネ市内のごく一部のみである。2号線と3号線とは経営母体が違うが、切符は共用であり、車内放送や駅の案内も含め、実質的には一体運営となっている。

地下鉄2号線と3号線の建設は、アテネ市内の交通渋滞の削減とスモッグの減少を目的に、アッティカ・メトロ社により1991年より建設が開始された。工事中に市内至る所で遺跡が発見され、調査が行われた結果、工期の遅れと工事費の増大に悩まされた中で、ともに2000年1月に開業した。

2号線は赤、3号線は青で表示され、アッティカ・メトロにより運営されている。また、工事中の2004年夏にアテネオリンピックが開催されることが決定したため、3号線はオリンピックに間に合わせるようにアテネ国際空港までの区間を開業し、空港への直接乗り入れを開始、2007年5月にはエガレオまで開通した。

2号線と3号線は、延伸を計画しており、現在工事中である。また3線ともに、アテネの近郊鉄道と接続している。路線長は、3号線の空港直通の近郊鉄道区間を含まない部分の延長は16.4キロ、2号線の延長は約11キロ、3線の営業キロの合計はおよそ77キロに及ぶ。

地下鉄アクロポリ駅の建設に際しては、多くの古代ギリシャ時代のアテナイの遺跡が発掘され、一部はそのまま駅構内にレプリカが展示されている。

9位がアメリカ・ロサンゼルスのハリウッドの地下鉄にある「ハイランド駅」だ。アカデミー賞の授与式が行われるドルビー・シアターの最寄駅だけあって、西海岸らしいクールなデザインが特徴という。

1993年に南カリフォルニア高速交通局と、ロサンゼルス郡交通委員会を統合する形で誕生したのが「ロサンゼルス郡交通局」で、1993年に開業した地下鉄路線「レッドライン」を運営している。レッドラインはユニオン駅とノースハリウッド間の約28キロを運行し、第三軌条方式で、年間利用者数が3630万人(2005年)、建設費が45億ドル(4500億円)としている。

「ハイランド駅」の側にはアカデミー賞授賞式の会場である「ハリウッド&ハイランドセンター」のドルビーシアターがあり、授賞式ではテロ対策のため、駅は閉鎖される。