丸の内で東京初の伝統工芸品大会、開会式に小池知事も

【銀座新聞ニュース=2017年11月1日】東京都(新宿区西新宿2-8-1)伝統的工芸品月間推進協議会事務局(東京都産業労働局商工部経営支援課、03-5320-4778)は11月3日から6日まで「丸ビル」(千代田区丸の内2-4-1)などで「第34回伝統工芸品月間国民会議全国大会」を開く。

11月3日から6日まで「丸ビル」(千代田区丸の内2-4-1)などで開かれる「第34回伝統工芸品月間国民会議全国大会」のフライヤー。

伝統的工芸品月間国民会議全国大会は、1984年11月に開かれて以来、伝統的工芸品の普及を目的として、通産省(現経済産業省)と全国の自治体によって毎年、全国各地で行われており、2017年度に初めて東京・丸の内エリアで開かれる。

今回は東京国際フォーラム(4日から6日、千代田区丸の内3-5-1)ホールB7、B5、東京ビル(千代田区丸の内2-7-3)トキア(TOKIA)1階ガレリア(西側貫通通路)、JPタワー(千代田区丸の内2-7-2)キッテ(KITTE)1階アトリウム、地下1階東京シティアイ、丸ビル(千代田区丸の内2-4-1)1階マルキューブの4カ所で伝統工芸品などを展示する。

東京国際フォーラム・ホールB7では、東京都の「東京手仕事展」として40品目を展示し、全国では「第20回日本伝統工芸士会作品展」として50以上の出展者が作品を展示する。ホールB5では、実演コーナーや、体験ワークショップ、トークイベントを開く。

東京ビルでは「江戸後期の伝統工芸とくらし」とし、衣、食、楽、住の4つのコーナーを設置して、江戸後期の暮らしぶりや、現代の暮らしに伝統工芸品を生かす術を提案する。

衣コーナーでは、江戸時代後期の呉服問屋の一画を絵図などの資料を参考に表現した展示を行う。また、伝統工芸を現代の装いに取り入れたファッションを提案する展示では、伝統工芸の技術を用いて作られたストールやネクタイ、チーフなどのファッションアイテムを紹介する。

食コーナーでは、江戸ガラスの皿やグラスなどを使って江戸の料亭を表現し、また、日本の伝統的な歳時をテーマに、伝統工芸品を取り入れた12カ月のお膳のコーディネートを現代風にアレンジして展示する。お膳の背景にある解説文パネルでは、12カ月をイメージした色を伝統工芸品の江戸から紙で表現している。

楽コーナーでは江戸時代の日本橋にあった「十軒店」という地名の雰囲気を伝える。「十軒店」には数軒の店が並び、3月の桃の節句には内裏びなや禿人形、5月の端午の節句には兜人形や鯉のぼりなどを売っていたという。展示では、江戸木目込人形によるピラミッドや江戸押絵羽子板ウォールのディスプレイなどで紹介する。

住コーナーでは、江戸商人の家を表現し、現代のリビング、玄関、寝室、書斎のシーンに、伝統工芸品を取り入れたインテリアコーディネートを展示する。

JPタワーの1階アトリウムでは江戸時代後期の呉服問屋の一画を絵図などの資料を参考に表現した展示を行う「衣コーナー」とし、伝統工芸の技術を用いて作られたストールやネクタイ、チーフなどのファッションアイテムを紹介する「実感ゾーン」や、伝統工芸の将来の可能性を探る「未来ゾーン」、職人のカンやコツを科学の力で可視化することに挑む「科学ゾーン」を設ける。

地下1階東京シティアイでは、都道府県のPRコーナーを設置する。本大会のインフォメーションコーナーもあり、多言語対応のガイドマップも用意されている。

丸ビル1階のマルキューブでは、全国伝統的工芸品公募展の入賞作品を展示する。また、東京の伝統ある技や老舗の産品などを新たな視点で磨きをかけ、その価値や魅力を国内外に発信するプロジェクト「江戸東京きらり プロジェクト」も開く。

一般財団法人「伝統的工芸品産業振興協会」(港区赤坂8-1-22、03-5785-1001)によると、伝統的工芸品とは1974年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」で定められており、「的」とは「工芸品の特長となっている原材料や技術・技法の主要な部分が今日まで継承されていて、さらに、その持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した製品作りがされている工芸品」と意味づけされている。

「伝統的工芸品」には、法律上では次の要件が必要と規定されている。1)は「主として日常生活で使われるもの」で、冠婚葬祭や節句などのように、一生あるいは年に数回の行事でも、生活に密着し一般家庭で使われる場合は「日常生活」に含まれる。2)は「製造過程の主要部分が手作り」で、製品の品質、形態、デザインなど、製品の特長や持ち味を継承する工程は「手作り」が条件とされている。ただし、持ち味が損なわれないような補助的工程には、機械を導入することが可能となっている。

3)は「伝統的技術または技法によって製造」で、伝統的とはおよそ100年間以上の継続を意味し、工芸品の技術、技法は100年間以上、多くの作り手の試行錯誤や改良を経て初めて確立すると考えられている。技術と技法は一体不可分だが、技術は「一人ひとりの作り手の技量」や「精度」に関わりが強く、技法は「原材料の選択から製法に至るノウハウの歴史的な積み重ね」に関わるものとされている。

4)は「伝統的に使用されてきた原材料」で、100年間以上の継続を意味し、長い間吟味された、人と自然にやさしい材料が使われている。ただし、すでに枯渇したり、入手が困難な原材料もあり、その場合は、持ち味を変えない範囲で同種の原材料に転換することも伝統的と考えられる。5)は「一定の地域で産地を形成」で、一定の地域である程度の規模の製造者があり、地域産業として成立していることが必要で、ある程度の規模とは、10企業以上または30人以上が想定されている。

こうした「伝統的工芸品」は2017年1月に経済産業大臣が指定するものとして、全国に225品目あり、国、地方自治体から毎年10億円以上の補助金が投じられている。織物 (業種は37)、染色品 (同11)、その他繊維品 (同4)、陶磁器 (同31)、漆器 (同23)、木工品・竹工品 (同32)、金工品 (同15)、仏壇・仏具 (同17)、和紙 (同9)、文具 (同9)、石工品 (同4)、貴石細工 (同2)、人形・こけし (同8)、その他工芸品 (同20)、工芸材料・工芸用具 (同3)となっている。

ウイキペディアによると、2013年2月に日高振興局管内沙流郡平取町二風谷の工芸品2点が指定を受け、すべての都道府県において1品目以上の指定があり、指定品目が多い都道府県は京都府が最多の17点、次いで新潟県、東京都が16点、沖縄県が15点となっている。生産額は1980年代には年間5000億円前後で、1984年に5237億円とピークを迎えた。

しかしながら、国民の生活様式の変化やバブル崩壊後の長引く景気の低迷、海外からの安価な生活品の輸入などにより、2003年には2003億円と半減し、2003年度における各産地の関連工芸品総生産額は約6037億円あり、指定伝統的工芸品は工芸品総生産額の約3分の1を占めている。2006年には1773億円まで落ち込んでいる。企業数は1979年に3万4043社、2006年に1万6704社と半減し、従事者数も1979年の28万7956人から2006年に9万3365人と3分の1にまで減少している。

ただし、「伝統工芸品」は現在約1200あるといわれ、企業数は約2万5000社、従事者数は約14万人、生産額は約8000億円とされている。

4日10時30分から東京国際フォーラムホールB5で開会式を開く。東京都知事の小池百合子(こいけ・ゆりこ)さん、経産省の関東経済産業局長の後藤収(ごとう・おさむ)さん、一般財団法人「伝統的工芸品産業振興協会」代表理事の安藤重良(あんどう・しげよし)さん、日本伝統工芸士会会長の田畑喜八(たばた・きはち)さんらが出席する。

開場時間は11時から19時(国際フォーラムが6日17時、東京ビル3日21時)、入場は無料。