ヤマハ銀座でスピーカー14台展示、ボーンチェがデザイン、島田学が曲

【銀座新聞ニュース=2017年12月9日】大手楽器メーカーのヤマハ(港区高輪2-17-11、03-5488-6611)とグループのヤマハミュージックジャパン(港区高輪2-17-11、03-5488-5443)は12月12日から2018年1月18日までヤマハ銀座店(中央区銀座7-9-14)1階で「Hairy Creature Speakers」展を開く。

12月12日から2018年1月18日までヤマハ銀座店で開かれる「ヘアリー・クリーチャー・スピーカー(Hairy Creature Speakers)」のイメージ。14台のスピーカーがインスタレーションのように上から吊るされている。

「ヘアリー・クリーチャー・スピーカー(Hairy Creature Speakers)」は「灯りと音が同時に出現する立体のデザイン」をテーマとしたインスタレーションで、2016年11月に英国ロンドンのシューズブランド「トレイシー・ヌールズ(Tracey Neuls)」のメリルボーン店で初めて披露したもので、今回、銀座店で展示する。

オランダのデザイナー、トード・ボーンチェ(Tord Boontje)さんが、ヤマハのインテリアオーディオシリーズ「レリット(Relit)」を題材に独自の感性でデザインした14作品を展示し、ロンドンで活躍する、音(ソニック)を操るソニック・アーティストの島田学(しまだ・まなぶ)さんが書き下ろした楽曲が流れる。プロデュースはヤマハデザイン研究所の二村花央(にむら・かおう)さんが担当している。

ヤマハのスピーカーを使って独自にデザインしたトード・ボーンチェさん。

「レリット」は「毎日の暮らしのなかに灯りとともに音楽が溶け込む」というオーディオのあり方を提案しており、今回は14台の「レリット」が「灯りと音が同時に出現する立体のデザイン」をテーマに、照明とオーディオの機能を維持したまま、ハンドクラフトのオブジェに変身するという。トード・ボーンチェさんが日々の生活の中に存在する物を暖かみのある、愉快で、興味深いものにしたいという願望から生まれたとしている。

会期中は展覧会のためにデザインされた12.2チャンネルのサウンドスケープが再生され、このサウンドスケープはヤマハのフィールドレコーディングが使用された「ミュージック・コンクレート(楽音ではなく、人の話し声、自然界の音、都市の環境音などの日常音を録音編集、変化させて、さらに再構成した音楽)」と「ヘアリー・クリーチャー・スピーカー」に触発された、ピアノと弦楽器のための「ミニマルミュージック(音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽)」から構成されている。

スピーカーから流れる音を作曲した島田学さん。

今回、展示される機器はインテリアオーディオシリーズ「レリット」の「LSX-70」と「LSX-170」、アコースティックバイオリン、トランペット、トロンボーン、サイレントバイオリン、サイレントビオラ、サイレントチェロ、エレクトリックバイオリンなど。試奏体験用楽器としてはヤマハエレクトリックバイオリン「YEV104」と「YEV105」、ヤマハサイレントバイオリン「SV250」を使用する。

「High-Brandos.com」によると、トード・ボーンチェさんは1968年オランダ生まれ、1991年にオランダのアイントホーフェン・デザイン・アカデミーを卒業、1994年に英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)でインダストリアルデザイン専攻を卒業、1997年に「トランスグラス(tranSglass)」や1998年に「ラフ・アンド・レディ(Rough and Ready)」、2001年に「ウェンズデイ(Wednesday)」に代表されるローコストやコストフリーの作品をつくりだした。

12月27日にミニライブを開くマッズ・トーリングさん。

2002年に「ハビタ(Habitat)」の「ガーランド(Garland)」、スワロフスキのシャンデリア「ブロッサム(Blossom)」をデザイン、2004年にミラノ・サローネのモローゾ(MOROSO)のショールームに展示した「ハッピー・エバー・アフター(Happy Ever After)」のデザインで注目された。2005年より照明、グラフィック、テキスタイル、陶器、家具、プロダクトなどの分野で企業とコラボしている。

2003年に英国デザインミュージアムの「デザイナー・オブ・ジ・イヤー」、エル・デコ(Elle Deco)の「デザイン・オブ・ジ・イヤー」、2005年にオランダの「デザイン・オブ・ジ・イヤー」、2006年に「iFデザイン賞」、2007年と2013年に「レッドドットデザイン(red dot design)賞」などを受賞している。

島田学さんは英国ゴールドスミスロンドン大学大学院で電子音響作曲を修了、2005年よりロンドンを中心にヨーロッパ各地でライブ活動を行い、サウンドインスタレーションなどのアート作品を発表、2012年より東京に拠点を移し、自身が結成したサウンドデザインユニット「フォントワープ(phontwerp)」として活動、2016年に最初のアルバム「ピース・フォー・ハー(Pieces for her)」を発売し、現在はロンドンを拠点に活動している。

ヤマハデザイン研究所は楽器やAV機器などのデザインを担当しているプロダクトデザイン専門の研究所で、全員で25人程度しかいない。二村花央さんは2005年に静岡文化芸術大学生産造形学科を卒業、ヤマハに入社した。

会期中、12月23日、27日にイベントを開く。

23日18時から18時45分まで「島田学 トーク&サウンドスケープ ウイズ(with)上条慎太郎(かみじょう・しんたろう)」を開く。島田学さんが、サウンドスケープの仕組みについて解説し、ライゾマティクス サウンドエンジニアの上條慎太郎さんが日本と英国のサウンドとアートについて語る。対談後は、実際に「ヘアリー・クリーチャー・スピーカー」の輪に入って、サウンドスケープを体験できる。

上条慎太郎さんは長野県安曇野市生まれ、映画録音技師、サウンドエンジニア、プログラマーとして映画やアートプロジェクトに参加し、オンラインの電子音楽レーベル「プラスマス(+MUS)」を主宰し、現在株式会社ライゾマティクスに所属している。
27日16時30分と18時からジャズバイオリン奏者兼作曲家のマッズ・トーリング(Mads Tolling)さんによるエレクトリックバイオリンを使ったミニライブを開く。

マッズ・トーリングさんはデンマーク生まれ、アメリカ・バークリー音楽院を首席で卒業、スタンリー・クラークバンドやタートル・アイランド・カルテットのメンバーとして9年間活躍し、タートル・アイランド・カルテットとして2度のグラミー賞を受賞した。

2016年に「ダウンビートマガジン」誌の批評家選抜のライジングスターバイオリニストの第1位に選ばれた。2017年に石川県立音楽堂で開かれた金沢ジャズストリートのオープニングコンサートで、オーケストラ・アンサンブル金沢、秋吉敏子(あきよし・としこ)さんと共演している。

開場時間は11時から19時(12月30日と1月3日は18時30分)まで。12月31日から1月2日は休み。

注:「上条慎太郎」の「条」は正しくは旧漢字です。原則として名詞は現代漢字(常用漢字)を使用しています。