永谷商事、神田山緑が神茂等日本橋老舗巡り

【銀座新聞ニュース=2018年8月12日】不動産会社の永谷商事(武蔵野市吉祥寺本町1-20-1、0422-21-1796)が運営する「お江戸日本橋亭」(中央区日本橋本町3-1-6、日本橋永谷ビル、03-3245-1278)は8月17日に神田山緑さんによる「講釈師と一緒に歩く歴史と文化の散歩ラリー」を開く。

永谷商事が8月17日に開く「講釈師と一緒に歩く歴史と文化の散歩ラリー」で「日本橋老舗めぐり」を案内する神田山緑さん。

不動産会社で都内で寄席を運営する永谷商事が毎月1回から2回程度、定期的に開催している「講釈師と一緒に歩く歴史と文化の散歩ラリー」シリーズのひとつで、講談師が名所旧跡などを解説しながら一緒に歩いて回り、その後、お江戸日本橋亭で寄席を鑑賞する。

今回は3月に真打に昇進した講談師、神田山緑(かんだ・さんりょく)さんが「日本橋老舗めぐり」と題して、「日本橋由来の碑」(中央区日本橋1-1-1先、日本橋南詰西側)から味付け海苔(のり)の元祖「山本海苔店(やまもとのりてん)」(中央区日本橋室町1-6-3、03-3241-0261)。

かつお節の「にんべん」(中央区日本橋本町1-9-4、03-3241-0241)、はんぺん、かまぼこの「神茂(かんも)」(中央区日本橋室町1-11-8、03-3241-3988)、和紙の老舗「小津和紙(おづわし)」(中央区日本橋本町3-6-2、03-3662-1184)と小津本館ビル3階の史料館を見学し、お江戸日本橋亭に移り、食事後に日本橋お江戸寄席を鑑賞する。

「日本橋由来の碑」は1936(昭和11)年に当時の日本橋区が設置した碑で、日本橋の由来が書かれている。1603(慶長8)年に江戸幕府開府の際、南北の交通路として木橋が架設されて以来、幾度かの変遷を経て、1911(明治44)年に現在の石橋が完成しており、国の重要文化財に指定されている。日本橋は東海道、奥州街道、日光街道、中仙道、甲州街道の5街道の起点になっている。

「山本海苔」は1849(嘉永2)年に初代山本徳治郎(やまもと・とくじろう)が日本橋室町の現在地に海苔の専門店を創業したのがはじまりで、1869(明治2)年に味付け海苔を創案、宮内省(当時、現宮内庁)の御用達となり、1946年に「株式会社山本海苔店」に改組し、1961年に大田区大森東5丁目に山本海苔店研究所を設置、1963年に大森作業所を竣工、1965年に本社新社屋を竣工した。

1971年に神奈川県に秦野作業所を竣工(2003年に秦野工場)、2000年に秦野作業所を増築し、大森作業所の業務を移行し、山本海苔研究所を秦野工場に移設し、2007年に丸梅商貿(上海)有限公司を設立、2014年に佐賀県に佐賀工場を竣工し、1992年に6代目山本徳治郎さん(1950年生まれ)が社長に就任している。

「にんべん」は勢州(現三重県)四日市出身の初代高津伊兵衛(たかつ・いへえ、1679-1729)が1691(元禄4)年に江戸に上り、日本橋小舟町の雑穀商「油屋太郎吉」で年季奉公をし、1699(元禄12)年に20歳の時に日本橋四日市の土手蔵(現日本橋1丁目野村証券本社の付近)で、戸板を並べてかつお節と塩干類の商いをはじめたのが創業年とされている。

1704(宝永1)年に小舟町にかつお節問屋を開業、1705(宝永2)年に伊兵衛と改名し、屋号を「伊勢屋伊兵衛」とし、のれん印(商標)を伊勢屋と伊兵衛の「イ(にんべん)」をとり、商売を堅実にするためのお金と合わせて、「カネにんべん」とし、江戸の町民からは「にんべん」と呼ばれた。

1720(享保5)年に日本橋瀬戸物町(現室町2丁目)に小売店を出し、現在の本社となった。1918(大正7)年に個人商店の「伊勢屋伊兵衛」から「株式会社高津商店」にした。2009年に創業310周年を機に代表取締役社長に高津克幸(たかつ・かつゆき)さんが就任している。

「神茂」は1656(明暦2)年に神崎屋長次郎(かんざきや・ちょうじろう)が大坂(神崎川周辺)より江戸に出て漁業に従事し、1683(天和3)年ころに日本橋魚市場で売買されたサメを使い、かまぼこの技術ではんぺんを製造、1688(元禄1)年に創業している。

1819(文政2)年に神崎屋茂三郎(かんざきや・もさぶろう)と改め、明治に入り、屋号を「神茂」とし、はんぺん、かまぼこを中心に伊達巻き、おせち料理、おでん、すじなどの商品も扱っている。神茂では、半ぺんの原料として青サメとよし切りサメを使っており、静岡県焼津漁港や千葉県銚子漁港から毎日仕入れている。

「小津和紙」は伊勢出身の小津清左衛門長弘(おづ・せいざえもんながひろ、1625-1710)が1640(寛永17)年に江戸に出て紙問屋の「佐久間善八の店」で奉公し、1653(承応2)年に独立して大伝馬町に紙問屋「小津清左衛門店」を創業したのがはじまりとされている。

1880(明治13)年に東京洋紙会社の事業を引受け、「小津洋紙店」に社名を変更し、1920(大正9)年に小津細糸紡績所、武林洋行を吸収合併して「小津武林起業株式会社」を設立、1929(昭和4)年に「合資会社小津商店」を設立、1939(昭和14)年に「小津商事株式会社」を設立、1944(昭和19)年に「小津産業」に社名変更、1996年に株式を店頭公開し、2001年に東京証券取引所に上場、2009年に和紙事業を小津商店に譲渡している。

神田山緑さんは1976年東京都中央区日本橋生まれ、敬愛大学を卒業、トヨタ自動車に入社、営業マンとして新人賞を受賞、退社後、健康食品会社を立ち上げ、代表取締役に就任し、「日本話し方センター」副所長の山越幸(やまごし・みゆき)さんに師事し、神田(かんだ)すみれさんの講談教室に通い、2005年に神田すみれさんに入門した。

2006年に講談協会「前座」、2009年9月に「二ツ目」に昇進、2011年に「日本講話塾」(講談教室)を設立、2014年10月に中野区観光大使に就任、2015年に「ロス・プリモス」の専属司会となり、2016年4月にNHK文化センター講師、清泉女子大学特別講師を務め、2017年に東洋大学特別講師、2018年3月に真打に昇進、7月に明治大学特別講師を務めている。

時間は10時から16時30分で、10時に日本橋たもとに集合し、昼ころまでにお江戸日本橋亭に移り、13時30分から「日本橋お江戸寄席」を鑑賞する。料金は弁当、飲み物、寄席代を含めて3500円で、交通費などがかかる場合は自己負担となる。申し込みは永谷商事まで。

13時30分からの日本橋お江戸寄席は前座の立川幸太(たてかわ・こうた)さん、二ツ目の立川三四楼(たてかわ・さんしろう)さん、真打の神田山緑さん、真打の三遊亭遊之介(さんゆうてい・ゆうのすけ)さん、ギター漫談のあさひのぼるさん、真打の三遊亭鳳楽(さんゆうてい・ほうらく)さんが出演する予定だ。